コルベットC8が開発され始めたのが2014年という。2014年とはC7コルベットがデビューした年である。
その頃からC8のミッドシップ化は検討事項として俎上に上がっていたということだから、実際にはそれ以前から「FRはC7まで」と決まっていたのかもしれない。
だから、まずはC7コルベットの価値は非常に高いということである=コルベット開発陣の理想型こそがC7。
「やり残したことはひとつもない」と開発責任者が後に語っていたから、V8OHV+FR+トランスアクスル+リアリーフサスといったパッケージを使用したFRコルベットとしての一つの完成型として確実に歴史に名を残すだろう。
ちなみに最後の最後に登場したZR1は755hpマシンだった。2駆の1600kg弱のボディに755hpである。
チャレンジャーヘルキャットも真っ青な、ある種常軌を逸した速さであったが、その後のコルベットがそれ以上のパフォーマンスを望むのであればFRでは無理。トラクションが得られない=ミッドシップという流れが出来上がっていったのだろう。
で、こうした流れのなか登場したC8は、C7の世界感とはまるで異なるミッドシップスポーツカーとして生まれ変わった。それまでのC7がアメリカ的FRスポーツカーだったのに対しC8はグローバルスタンダードなミッドシップスポーツカーだ。
それが証拠に、見た目のデザインはC7からの継続を意識させるが、そこに継続使用されているパーツはほとんどない。99%以上のリニューアルである。
たとえばボディフレームには、アルミ、マグネシウム、カーボンといった複合素材を使用することでイマドキの超高剛性ボディと軽量化を実現し、サスペンションは横置きリーフサスを廃止し、4輪ダブルウイッシュボーンのコイルオーバーサスを使用。
ミッションには8速DCTを装備して、6.2リッターV8OHVエンジンを駆動する。だがそのV8OHVには、ガソリン直噴や気筒休止システムを加え、さらにドライサンプ化してOHVと言えども現代風のテイストをアレンジしているのである。
さらにAT等の操作系は電気式スイッチに変わり、インパネ内のメーター類もすべてデジタル化され、ハイテク満載の現代的スポーツカーが誕生した。
いわゆる進化、洗練によって、中身に旧コルベットを感じさせるものはすべて消し去り、アメリカ的だったFRのコルベットとはまったく次元が違う世界基準のミッドシップスポーツカーに生まれ変わったのである。
さらに、当然ながら「速さ」もついてきた。メーカー公式発表のC8コルベットZ51パッケージ装着車の0~60mph加速が2.9秒。この数値は、C7の650hpマシンのZ06の2.95秒を上回っている。
また、ニュルブルクリンクのラップタイプが7分29秒9だが、これはノーマルのC7よりも約10秒速いタイムであり、同じシボレーのカマロZL1(650hp)の7分29秒6とほぼ同程度の速さということになる=ミッドシップによるトラクションの良さ等が如実にタイムに現れているのである。
今後登場するであろうC8系のスーパースポーツモデルでは、より速さやタイムアップに繋がるはずである。
ということで、非常に長い前置きだったが、C8の実車である。この2020年型C8はスペース横浜が直輸入したZ51パッケージ装着車の2LTである。すでにもろもろを済ませ納車直前に(先週)撮影させてもらった(もうすでに公道を走っているかも)
初めて間近で見るC8。最初に言っておくが、「ごめんC7」。完全なる個人的な敗北である。これまで筆者は、「コルベットはFR、だからC8認めない」と何度も語っていたが、完全ノックアウト。「良いですよ、C8」
とはいえ、簡単に買える代物ではないが、5年後、8年後を考えれば、「入手可能かもしれないと」期待を抱かせる。それくらい魅力的だ。取材前に何本ものyoutube動画を見て研究し、実際に実車に触れてみて、そしてちょとだけ動かしてみての感想は、モノが違う。
人間でも時折言うかもしれないが、品性があるという言葉。その品性とは生まれ持った品のこと。それってある意味天性のものだから、もしくは出自によるものだから、あえて身に付けようとしても付かないもの。C8にはそれがある。
コルベットがFRを捨て生まれ変わったことによって新たに得た収穫と言ってもいい。見た瞬間に人を虜にする品を、C8は持っている。だから、あくまで個人的な意見だが、別に速くなくてもいいと思えてしまうし、この品があればドライバーの所有欲は確実に満たされる。
簡単に言うと、ちゃんと高級車になってるんですよC8。各装備がらしい質感と華やかな雰囲気を醸し出しているから、余計にそう思える。このご時勢に、すなわち日本の公道を走るには200hpもあれば十分な時代に、必要なのはこうした華やかさじゃないかと思う。
これまでのC7は、華やかさというよりは、あえて粗野な雰囲気や荒々しさを演出することで多くのファンを虜にしてきたが、C8はどちらかというとセレブっぽい人気車になるのではないか。しかもそれでいて速いのだから、新たなファンを取り込んで世界中できっとブレイクするに違いない。
気なる中身であるが、まずは運転席に座るとこれまでとはまったく違う空間が待っている。まず視界が断然いい。C7比で600ミリ前に移動したドライバーズシートによって、フロントの視界の良さが際立ち、若干大きくなっているボディサイズだが、それを感じさせない。
また、座った瞬間に感じるコックピット感が強く、助手席との隔離はこれまで以上になってはいるものの(笑)、運転席としては極めてタイトで雰囲気が良い。
写真で見ていた時に少々やりすぎでは? とも思っていたセンターコンソールのモニターだが、シートに座ってみるとジャストな位置だとわかる。実際に走れば、頭をほどんど動かさずにモニターを見ることが可能なのだ。
プラスして異径のステアリングもいい。台径とも思える形状だが、下辺の平らな部分は乗降時の妨げにならず、上辺はその奥に見えるメータークラスターと同じ角度になっているから、メーターが抜群に見やすい。総じて、あらゆる部分がドライバーへの利便性向上として作りこまれているのである。
で、最後に。乗ってないからいい加減なことは言えないが、きっと走りもいいはず。てか、現代の最新車両においては、好みの違いはあるにせよ、走りが悪いはずがない。しかも、それ以前のC7のパフォーマンスを知っているから、なおさらそう思う。
と同時に、開発陣のプライドもあるだろう。「ミッドに変わった瞬間に落ちぶれた、失敗、駄作」なんて言われたくないはずである。
そんなプライドは、止まっているC8をいろいろ眺めただけでも伝わってくるし、各部に触れてみると如実に分かるし、とにかく素晴らしい質感に感心しきりだった。
なお、この車両を直輸入したスペース横浜では、新車を一早く輸入することで有名だが、人気の秘密はそれだけではない。日本でも5本の指に入る最新鋭の整備施設を持ち、正確な作業を行っていることが、他のショップとの決定的な違いとして多くのユーザーを満足させているのである。
C8になり、メカの電子化が一層進んでいるから扱えるショップのレベルが求められるが、スペース横浜ではもちろんそれらに対応しているし、現地の最新情報収集にも余念がない。「売るよりも売ったあとが大切」と彼らはよく言うが、口だけではなく本気で対応しているショップである。
だから、というか、当然ながら、店頭に並んでいる販売車にも偏りがない(メーカー問わず対応可能だから)。たとえばカマロZL1エアロ付きの6速MT車にチャレンジャーヘルキャットレッドアイワイドボディにチャレンジャーRTの6速MT車、さらにはリンカーンナビゲーターにジープグラディエーター等。
さらに先日発表があったデュランゴヘルキャットのオーダーを既に入れているというし、フォードブロンコの購入も決めているという。ちなみに、まったくの余談だが、最近のFCA車両はリコールやアップデートが多いから注意が必要であると教えてくれた。
そんなスペース横浜には、直近であと2台のC8がやってくるという(すでに売約済)からさすがである。
283,800円
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