TEST RIDE

[試乗記]

シルバラードに初設定のオフロードラインナップ

2022 シボレーシルバラード ZR2

F150ラプターに匹敵する性能

シルバラードに初設定のオフロードモデルZR2。スペースYOKOHAMAに入荷した個体を取材した。

更新日:2022.10.07

文/石山英次 写真/古閑章郎

取材協力/スペース YOKOHAMA TEL 0455300139 [ホームページ] [詳細情報]

砂漠を走れるプレミアムピックアップ

 2022年にラインナップに加わったZR2。いわゆるシボレーピックアップのオフロードラインナップである。こうしたピックアップのオフロードモデルといえば、フォードF150ラプターやラムTRXが有名だが、ZR2はズバリそうしたカテゴリーにGMが放つ期待の一台である。

 だが。とはいえオフロードに特化したラプターと比較すれば、そこまで極端なレーシングマシンというわけではなく、どちらかといえばプレミアム感を備えたオフロードマシンということであり、ラプターよりZR2の方が入りやすいのではないか、そんな気がするほどの違いを感じる。

 それにしても近年のGM車は本当に素晴らしい。特に作りや質感やそれら操作感がこれまでよりも二段階以上一気に良くなっており、正直フォードやダッジと比較してももはやレベルが違うな、という気がしてならない。

 特にC8コルベットが誕生した2020年以降のGM車、個人的に取材したり試乗したりしたC8やキャデラックエスカレード、シボレータホ、GMCユーコン等は、良くなり過ぎちゃっている感じを受けるくらいだし=その分一気に高級感が増しているから当然価格も向上しているわけだが、だがそれでも乗れば納得するほど良くなっているのだから致し方ない。

▲2022年に登場したシルバラード初のオフロードマシンZR2の新車。今や珍しいV8搭載のフルサイズピックアップでもある。

▲ボディカラーはグレイシャーブルーメタリック。

 余談が過ぎたが、ZR2。シルバラードのゴツイ顔をより一段と厳つくしたフェイスを持ち、ブラックアウトされた大型グリルとスキッドプレートがZR2の真骨頂。

 搭載されるエンジンは6.2リッターV8で420hp、最大トルク460lb-ftを発生させ10速ATと組み合わされる。

 またボディカラーは通常のラインナップにZR2用の3色が加えられ、ダークアッシュ、サンドデューン、グレイシャーブルーメタリックであり、取材車はグレイシャーブルーメタリックである。

 これまた余談だが、ZR2の場合、グリルやボンネットフード上のインサートにブラックパーツが組み合わされるから、ブラック系のボディカラーだとそれが目立たない。一方で取材車のようなブルーであればブラック&ブルーのバイカラーが味わえ、またそれがカッコイイ。

 続けて足回りは、固有のスプリングに専用のマルチマチック40mmDSSVスプールバルブダンパーが使用され、専用の18インチホイールに33インチのオフロードMTタイヤが組み合わされることでハードなオフロード走行が可能になっている。

▲搭載されるエンジンは6.2リッターV8で420hp、最大トルク460lb-ftを発生させる。

▲ブラックアウトされた大型グリルとスキッドプレートがZR2の真骨頂。

▲グリルやボンネットフード上のインサートにブラックパーツが組み合わされている。

▲専用の18インチホイールに33インチのオフロードMTタイヤが組み合わされる。

 こうしたサスペンションのアップグレード、オフロード技術の向上、またエクステリアの強化によって、オフロード走行やロッククローリング等、オフロードでのパフォーマンス向上と最適化が行われる一方で、日常的なドライビングの快適性が求められているのが他のライバルとの明確な違いである。

 例えばインテリア。ベースとなるシルバラードでは、LTトリム以上のインテリアをベースに刷新され、新しい素材を取り入れる等より広々としたプレミアム感のあるデザインが整えられている。

 まるでプレミアムSUVかと思わせる全体の素材感に12.3インチのドライバーメーターが目前に広がり、センターコンソールには13.4インチタッチスクリーンとボタン操作を加えた10速ATシフトノブが設えられる。また専用ステッチを備えたレザーシートが標準で設定され、サンルーフも装備されている。

 こうしたすべての操作系の印象は、一言、これまでとは比較にならないほど高級感に溢れており、まさしくプレミアムの名に恥じない質感である。だから運転席に座っている限りにおいては、決してハード走行をしたいとは思えない(笑)。そのくらいピックアップのレベルとしては予想を上回る。

▲専用のマルチマチック40mmDSSVスプールバルブダンパーが使用されている。

▲プレミアムピックアップらしい質感の高いインテリア。

▲センターコンソールには13.4インチのタッチスクリーンが備えられる。

▲6.2リッターV8には10速ATが組み合わされる。ATシフトはボタン操作を加えた新世代のもの。

 ちなみにベースはクルーキャブだからリアシートももちろん使えるサイズを有しており、いわゆるタンドラやF150ラプターといったフルサイズピックアップと遜色ない広大なリアシートスペースが用意されており、リアの荷台にはトノカバーが装備されているから、ボディサイズを気にしなければファミリーカーとしても十分に使えるだろう。

 くわえてこのシルバラードにはオプションのマルチフレックステールゲートが装備されているから、荷台を本格的に使用する方にはかなり使えるテールゲートだと思う。

 2020年以降作りにおいて圧倒的な進化をもたらすGM車であるが、その一方で日本に直輸入される車両自体はどんどん少なくなっている。それは良くなっている=システムが改良され進化している=それに対応出来る日本のショップが少なくなっている、からである。

 要するに複雑化した2020年以降のGM車に対応するには、それ相応の機材とそれに精通する人員が必要になる。今現在、こうした2020年以降のGM車のシステムに対応出来るショップは日本全国でも5軒もないだろう。

▲センターコンソールに設置される各種コントロール系ボタン等の質感はかなり高い。

▲12.3インチのドライバーメーターの視認性はかなりいい。

▲10速ATはパドルシフトにて操作可能。

▲専用ステッチを備えたレザーシートはアメ車らしい大きくふっくらとしたもの。

 もちろんスペースYOKOHAMAはその一軒であり、だからC8もエスカレードもタホもGMC等の最新車両を直輸入し自社で販売&整備が可能であるのだが、そういう関係でシルバラードZR2も日本ではかなり数が限られる存在であるということは知っておくべきである。

 まるでオフロードマシンであるかのようなF150ラプター、一方で砂漠を走れるプレミアムピックアップのZR2。どちらもかなり魅力的なピックアップで間違いないが、他と差別化を図りたい方には日本でも少数派(ラプターよりも)のZR2がオススメだと思う。

▲リアシートは下手なセダンやSUVよりも確実に広い。マジで使える。

▲シートの背もたれには小物入れスペースが備わる。

▲座面下にもご覧のようなスペースがある。

▲オプション装備のマルチフレックステールゲートは、ゲートが分割式になっており、上半分のみが開く状態が可能。

▲もちろん全開にもなる。

▲全開にした状態で上半分の分割部分を開くとステップとしても使える優れもの。

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