TEST RIDE

[試乗記]

上げても下げても「普通に走れる」ストリートスタイル

2005 クライスラーPTクルーザー & 2010 シボレーシルバラード

年式やメーカー、搭載エンジンetcを問わないのがレーストラック流

PTクルーザーにシルバラード。年式やメーカー、搭載エンジンといった部分になんの脈絡もない二台だが、ご覧のようなマシンに仕上げてしまうのがレーストラックである。

更新日:2022.11.03

文/石山英次 写真/山田泰弘

取材協力/ジャパンレーストラックトレンズ TEL 0356613836 [ホームページ] [詳細情報]

修理力を生かしたカスタマイズ

 工場内を見れば分かるが、往年の旧車から現行モデル、さらには欧州スーパーカーまでもがレーストラックの修理を求めて列をなしている。

 これだけ幅のある車種が扱えるのは、「プロの修理屋」として車体構造やエンジンメカニズムに詳しく、様々なパーツ情報にも精通しているからであり、目先のパーツ交換でしか対応できない所謂チェンジニアではないからである。

 ちなみに入手不可能になった生産終了のパーツは独自に製作して対応可能ということであり、車種年式問わず「直せないものはない」というのが彼らの口癖である。

 そんなレーストラックは、修理ができるからこその強みを生かしたカスタマイズを積極的に行っており、その代表的存在がPTクルーザーである。

▲レトロ調の穏やかなデザインを激変させるXENONエアロ。まるでホッドロッドマシンのような迫力のフロントバンパー&フォグランプ。走りの雰囲気を高めるサイドエアロも装備される。ブラックのボディに映えるオレンジペイントのホイールが輝く。

▲エンジン全域において「手を加えた感」がにじみ出ており、そのピックアップの素早さと一連のサウンドが素晴らしく魅力的。

何年経っても壊れない

 このPTクルーザーは、外装のみならずスーパーチャージャーを装着しエンジン内部にまで手を入れることでノーマル状態とはまるで別物のモンスターマシンに進化を遂げている。

 一般的なショップであれば、スーパーチャージャーの装着で「ハイ終了!」となりそうなものだが、ヘダースをワンオフで製作しカムを換え、またそれらの調律を整えるためのエンジン内部の強化と調整を行うことで他店では得られない本物のチューニングを味わわせてくれる。

 しかも理詰めのチューニングは何年経っても壊れないというから素晴らしい。

 一方で、個性は出したいが実用性も残したいというようなユーザーの希望にも対応可能であり、修理同様、年式車種問わず様々なカスタムアプローチを提案してくれるから、ちょっとした気分転換や衣替え的な変化を求める方々からも絶大なる支持を得ているのである。

▲エアクリーナーやアーシングなどのファインチューニングが行われ、スーパーチャージャー、ヘダース、クレーンカムといったスペシャルなパーツが惜しげもなく使用されている。

▲第一段階のハイライトとなるウイップル製のスーパーチャージャー。その段階でマフラーが変更されていたため、両者だけでもかなりの効果が体感できたという。

▲スーパーチャージャー等を含めたトータルバランスを重視して吸気効率を上げるK&Nエアフィルターを使用している。

技術力と柔軟な発想が必要

 ベース車両は05年型の2.4リッター直4エンジン搭載モデル。新車で購入されたオーナー氏が「変化」を求めたどり着いた先がレーストラックであった。

 というのもPTクルーザーはレトロ調のデザインと効率的な室内パッケージを備えた理想的な小型車ではあったものの、あくまで実用車であり、そこに走りのエッセンスを加えるためにはレーストラックの持つスペシャルな技術力と柔軟な発想が必要だったから。

 そしてすぐさま大改造が始まった。それが今から10年以上前の話である。

 まずはウイップル製のスーパーチャージャーを装着し、それをベースにXENONエアロ、スタビ、ダウンサス、大径ブレーキ等で全体を強化する。

 これだけでも十分に迫力あるサウンドを奏でたというが、それから一年後にワンオフ製作のヘダース加え、そしてさらに一年後にクレーンカムの装着にて最終完成を果たす。

▲ヘッドライト上部のボディを切り、メッシュ加工を施すことで、エアクリーナーへのエア導入口をワンオフで作り出している。

▲低速域でのピックアップを向上させるためにミッドチューブのヘダースをワンオフ製作し、スーパーチャージャーのプーリーの小型化でパワーとピックアップの最良を見い出す。

▲スーパーチャージャーを交換しヘダースを入れカムを交換したのちに点火系の最終セッティングを行っている。赤いパーツはMSDデジタルイグニッションコントロールユニット。

効果的なワンポイント手法

 一方エクステリアにもワンポイントを望むオーナー氏の意向に沿いすでに装着されていた大径ホイールのインナーとスポークのサイド面にペイントを施している。

 使用されたカラーは当時のポルシェGT3の純正カラーといい、ソリッドカラーながらも明る過ぎず暗過ぎずの絶妙なオレンジカラーであり、ホイールを新たに交換した気になれるほど効果的な手法であったという。

 これらカスタマイズを施しかれこれ15年以上が経過するというが、「たったの一度もトラブルはない」というからさすがのひと言である。

▲ヘダースから繋がる両サイド出しのワンオフマフラーからはPTとは思えない野太い重低音サウンドが響く。

▲インパネのメーター前に小さな排気温度メーター、上部にHKSのブーストメーターを装備。

▲横浜ホイールのAVS18インチにオレンジペイントを施すことでホイールを交換したかのごとき変化を出すことに成功している。

迫力と実用性の間で調整

 CK時代からピックアップのカスタマイズを得意とするレーストラックが放つ2010年型シルバラードのライトチューンモデル。

 2010年型のシルバラードともなればCK時代と比較してボディサイズがひと回り以上大きくなっているから、そこに当時のカスタマイズ手法を当てはめれば全高が高くなり過ぎてしまい日常使用時の実用性を失ってしまう。

 具体的には最低地上高が設定されている立体駐車場には入れないとか、サイドステップを装着していても乗降性があまり良くないとか。特に助手席ユーザーには辛いという。

 ということでフロント、リア共に2インチのリフトアップを施し20インチタイヤを組み合わせ、また3インチのオーバーフェンダーを装着することで、CK時代と目線の高さは遜色ないレベルでありながらも迫力の向上と実用性を両立するカスタマイズスタイルを完成させている。

▲STILLENの3インチオーバーフェンダーを装着することでボディ全体のバランスを整える。あえてビスが見えるワイルドな仕様がシルバラードに良く似合う。

▲日本においてピックアップトラックを日常使用する場合には荷台のトノカバーは必需品。LEERのハードトノカバーを使用することで四季に対応する。

▲ストラット上にスペーサーを配置して2インチアップを施し、ショックにはランチョを使用することで硬過ぎず柔らか過ぎずの足回りを実現している。

▲FUEL OFF-ROADの20インチホイールに275/30ZR20インチ(フロント/リア)を組み合わせ、実用リフトアップの足先を支えている。

▲今全米で流行っているアムトラックフォーンを装備。通常のクラクションからは想像もつかないような刺激的な警笛が鳴り響く

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