TEST RIDE

[試乗記]

フォード車乗りの最後の砦として

フォード認定サービス拠点の今

ディーラーライセンスにより電子デバイス診断も可能

千葉浜野店ディーラーの後を引き継いだサービス認定拠点・株式会社高畠にフォードジャパンの撤退後10年について話を伺った。

更新日:2025.12.22

文/石山英次 写真/古閑章郎

取材協力/株式会社 高畠 TEL 0436-41-7111 [ホームページ]

2022年型までなら整備対応の実績あり

 フォードジャパンが日本事業を撤退したのが2016年9月。その後、同年10月から各フォードディーラーを引き継いだ認定サービス拠点が各地に設置されていたが、それらも稼働から早10年。

 すでにフォード車の国内ディーラー販売は行われていないから、認定サービス拠点が引き継いだのは、部品供給、車両保証継承、リコール及びアフターサービス業務etc といったところ。よってその当時からフォード車の裾野が広がることはほとんどなかった。

 ただし、認定サービス拠点の嬉しいところは、当時のディーラー車のみならず並行車にも同じフォード車として対応の間口を広げていたから、日本国内のフォード車ユーザーにとっては非常に有意義な拠点であった。

 そんな拠点の一つである株式会社高畠にて、この10年間の軌跡と現状について話を伺った。

 到着早々に、複数台のフォード車に目がいった。聞けば、その他作業待ちの車両が置場に4台あるということで、今現在8台のフォード車が高畠に集まっている。

▲フォードジャパン撤退から10年。未だフォード車乗りの救世主として整備対応に勤しむ高畠。

▲つい先週に取材したばかりだから、これぞフォード認定サービス拠点の今を表している。

 車検修理や個別の修理対応ということだが、こうしたフォード車が集まることに関してはまだまだ日常的に活発であるという。

 「当然、初期の頃よりも台数は減っています。ですが、未だ月に数百万円単位のパーツ発注を行っていますから、継続してフォード車が集まっているのは間違いありません」

 いやー、正直、驚いた。個人的には、「もう10年なんで一区切りです。そろそろ終焉かと思います」というような流れを予想していたからだ。だが、確かに数は減っているのだろうが普通に稼働している。いや、想像以上に積極的に稼働しているし、今まさに車検延長を行い「この先も乗る」といった根強いフォード車ファンもいる!

 くわえてフォード純正の消耗品各種のパーツ類のストックも充実しているから、継続的な対応をしている様が目に浮かぶ。

 現状で一番多く集まっている車種がエクスプローラーで、次にマスタング、さらには欧州フォード車と続き、それ以外にもラプターやエコノラインといった並行モデルの整備や修理も行っているという。

 「パーツ発注をしてもすでに入手できないものが若干数出てきているのは紛れもない事実です。しかも発注をかけてみないと生存の有無がわからないものですから、その段階で『直せる&直せない』という判断になります(年式的にフォード純正パーツの生産が終了してしまっているものが出現してきている)」

▲未だ月に数百万円単位のパーツ発注を行っているという。またフォード純正の消耗品各種のパーツ類のストックも充実している

▲年式によってはパーツ発注をしても入手できないものが若干数出てきているのが現状という。

 高畠は、フォード車以外にもGM、ダッジ、逆輸入車といったアメ車を扱っていることから、アメリカ国内でパーツを探すツテがあり、パーツ発注してないものに関しては、他のパーツを探すことも可能という。

 「もちろん、ユーザー様に説明をして、『純正品でなくてもOK』という方に関しては、他のパーツの代用で修理や整備をすることが可能です。一方で、純正パーツを望む場合は、その時点で諦めるといった選択をする方もいらっしゃいます」

 それでも、2011年にデビューしているエクスプローラー以降の年代であれば、未だに整備等に関しては問題ないという。

 「エクスプローラーに関しては、ほとんどパーツが大丈夫なのですが、最近あったもので言えば、ダッシュパネルのハザードスイッチが壊れた場合、スイッチのみの交換はできず、その周辺のパネルごとの交換になるのですが、そのパネルがもうパーツとして出ません。まだその程度で済んでいる感じです」

▲ディーラーライセンスを持っている高畠では、現在でもフォード専用の電子デバイスを用いたコンピューター診断を可能にしている。

▲フォードでは2022年型までの診断&修理を行った実績があるという。

 一方で2010年以前のモデルに関しては、外装系パーツ(ヘッドライト、ミラー、アンテナetc)の入手が難しくなっているといい、その他リフレクタータイプのヘッドライトを使用している個体に関しては、車検取得が難しくなっているという。

 また最近、日本国内のアメ車ショップにおいては、電子デバイスを用いたフォード車のコンピューター診断ができないということを多く耳にする。それに伴いコンピューター系にトラブルが起こった場合の処置の難易度が高まったと言われているが、高畠の場合はどうだろう?

 「確かにそんなお話を聞くことがありますが、弊社の場合、ディーラーライセンスを持っている(フォード認定サービス拠点であるから)ので、至って普通にアクセス可能です。並行車に関しても当然診断可能ですし、年式に関しては2022年型モデルまでは弊社で処置を行っている経緯がありますので、その辺の年式までは対応可能だと思います(22年までならパーツ手配も可能という)」

 現代の高性能モデルにおいては、フォード車のみならず、どのメーカー車においても、整備や修理において電子デバイスの対応が必要になる。

 高畠にはディーラーライセンスが発行されているため、現在においても電子デバイスを使用した確実な診断が可能であるというから非常に心強い。正直、この部分においてだけでも、フォード認定サービスディーラーに通う利点は大いにある。

▲まだまだこの先も乗るために継続車検を受けるエクスプローラー。この個体はスタビリンクのブーツ切れでパーツを交換中であった。

▲こちらがスタビリンクのブーツ切れに伴う新旧パーツ。上が新パーツ。下が旧パーツ。

 最後にフォード車乗りに対して整備の観点からアドバイスをお願いいたします。

 「2011年以降のエクスプローラーに関してですが、サンルーフ付きの車両は雨漏れが起こる前に対応して欲しいことがあります。サンルーフ周辺にあるドレンが詰まり、それにより雨水が流れず溜まりサンルーフから雨漏れするという構造になっています。

 ですので、定期的にドレンの詰まりを除去したりして詰まりを防止してください。そのドレンが詰まっていなければ雨漏れすることはありません。

 また、雨漏れしてきた場合は、同時にサンルーフのモーターが水に浸かり壊れている可能性が非常に大きいです。なので、雨漏れ=モーター交換にもなり得ますので、とにかくドレンの詰まり防止を心がけてください」ということだ。

 ちなみに、ドレンの詰まりは強烈なエアにより吹き飛ばすことが必要かもしれないため、サンルーフ付きの個体に乗っているユーザーさんは、整備に持ち込んだ際にプロに診てもらうといいだろう。

 フォード認定サービス拠点である高畠は、フォード車乗りの最後の砦として、今後も可能な限り(ディーラー車&並行車問わず)フォード車の整備やパーツに対応してくれる。

▲フォード整備に関する責任者である井川さん。「今後も可能な限りフォード整備に、誠実に対応します」と語ってくれた。

▲京葉道路蘇我インターチェンジから約10分のところに位置する株式会社高畠。広大な敷地内には整備リフトだけでなく、板金施設や自社塗装ブースを備え、クルマに関するあらゆる事象に対応可能。

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