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求められる電子デバイスの活用スキル

メカニックの “リアル” な実情

最新の「車両故障診断」はここまで来ている

90年代以前の車両と違い、エンジンルーム内が完全にブラックボックスと化した近年のアメ車の整備を行うにはメーカー純正のスキャナーが必要不可欠であるということは周知の事実。だから各種スキャナー類を完備していない昔ながらの整備工場では、もはや現行モデル等を整備するのは不可能に近い。だが。そういった設備さえ整っていれば、最新モデル特有の電子制御トラブルはすべて解決できるのでは? という認識は間違いである。というのも、クルマ側の情報を取り込み現状を診断するスキャナーは、あくまでトラブルコードという「ヒント」を与えてくれるにすぎず、メカニックはそのヒントを頼りに原因を絞り込みながら、根気よくトラブル原因を特定していかなければならないからである。すなわち、スキャナーから得た情報を分析する能力に長けた、メカニックとしてのスキルが確実に必要なのである。

更新日:2016.11.30

文/吉田昌宏 写真/古閑章郎

取材協力/クワッドドライブ TEL 048-281-5853 [ホームページ] [詳細情報]

「カムポジションセンサーからの異常信号」ということすら見抜けないメカニックが存在する

 たまたま作業中だった。二台のアメ車の故障診断をしていた時である。ともにカムポジションセンサー(エンジン回転信号)のエラーで入庫したという。そしてオシロスコープを装着して異常波形を見ている時にちょうど取材で伺ったわけである。

 それにしても何故オシロスコープか?

 聞けば、「純正スキャナーや電圧計測テスターでは解明できない不具合の場合、オシロスコープを使用して波形までを見る」という。確実な原因究明にはここまでの対応が必要ということである。

 で、一台はオシロスコープで見るも症状が出てないため、只今診断途中である。で、もう一台には異常波形が出ている。波形に少々ノイズが出ていると。聞けばエンジン始動や走行にすぐに影響が出るわけでなく、微量なノイズのため、数百キロに一回エンジンコンピューターが異常を感知して警告灯が点灯するレベルであると。この後熟考診断。

 結果的に、この車両の診断としてはセンサー、配線、エンジンコンピューターが故障しているのではなく、車両の電装系から発生したノイズを2次的に拾ってしまっているとのことで、この後シッカリ対応して終了となった。ちなみに一台目は、さらなる原因究明のため症状を出すための試乗テスト等を行い診断究明に務めている。
 
 ということで、話を聞いて思ったのだが、近年の最新トラブル診断とはここまでレベルが上がっているのか、ということである。

 あくまで個人的意見だが、仮に他店なら、失礼ながらオシロスコープなど使わず(使えない)に、その前の段階で「エンジンコンピューターやセンサーをまず交換してしまうだろう(終わらせるだろう)。仮に、別のところに原因があったとしても、そこまでのピンポイントの究明ができずに構成パーツを消去法的に交換して一時しのぎをしてしまうのが関の山ではないか。

 もしくは、上記の例で言えば、「カムポジションセンサーからの異常信号」ということすら見抜けないかもしれない。

 というのも、近年のトラブル事情に鑑みれば、純正の電子スキャナー等を使いこなす必要が多々あり、それは単に持っているというレベルでは済まなくなり、使いこなせないとまったくもってトラブル解消がなされないからである。

林秀和 / 油染みひとつないクリーンな工場内で行われる的確な各種作業や難題修理。自らの睡眠時間を削ってまでも日夜アメ車作業に没頭する林氏を見ているとちょっとした感動すら覚えてしまう。

昔気質なメカニックがよく言う勘や経験だけでは絶対にこなせない修理が存在する

 たとえば、昔気質なメカニックがよくいう勘や経験だけでは絶対にこなせない修理であり、万が一こなせたとしても、修理に導くまでのパーツ交換や時間工賃等の費用はすべてユーザーに降りかかってくるわけである。

 再び上記の例であるが、一度の修理でトラブル解消となれば、10万円もかからず終わったところを、コンピューター交換で15万円、でも治らず、再び入庫し、今度はセンサー交換で5万円かかり…。で、最終的にクワッドに流れ着き、10万円で完璧修理となったとすれば、金額だけで20万円の遠回りをしたことになる(金額もすべて仮の話)。

 この話はあくまで筆者の頭の中の仮定の話であるから、どこか特定のショップの話をしているわけではないのだが、それでも、クワッドのこういった原因究明にかける情熱というか使命感みたいなものを見てしまうと、やはり他店ではどうなっているのか?と思いを巡らさずにはいられない。

 ちなみに、上記例に出てきた純正の電子スキャナーの話だが、最新事情で言えば、これすら各ショップのレベルを図る物差しとなっているという。今の時代、「スキャナーありますよ」というのは当たり前であって、「使いこなせますよ」というのが常識だからである。

 しかもこの純正スキャナー、まずもって導入時の金額的負担が大きく、しかも同時にパソコンスキルも求められ、くわえて本国メーカーとの直契約が必要になる。であるから、当然英語の読み書きレベルでの知識も必要になり、万が一パソコンがクラッシュすれば、それらシステムを再び自ら再構築しなければならないわけである(本国オペレーターとのやりとりもすべて英語だ)。

 と同時に、たとえば GM、FORD、CHRYSLER、US TOYOTA、US NISSANとそれぞれのメーカー純正テスター、各メーカーテスターが年式によって対応機種が異なる場合を含めると10台以上のスキャナーを持たなければならない。

 また、メーカーとの契約で決められた年間使用料も別途支払わなければならず、仮に上記5社だけの話でいっても導入から年間使用の初期投資だけでも数百万円レベルの話となってしまい、当たり前だが、それらが毎年永続的に発生するわけである。

スキャナーを使用した故障診断は、「ヒント」はくれるが正しい「回答」はくれない。その回答を導くのはメカニックの使命である。回答を見つけるまでの能力差は、車両オーナーへの金銭的負担となって現れるのである。

近年のスキャナー事情はショップに対する敷居の高さとなって現れる

 余談だが、最近ではこういった近年のスキャナー事情を踏まえた最新車両のトラブル診断を諦めるショップも多数出ているという。求められる金銭的レベルが高く、それらがすべてショップに対する敷居の高さとなって現れているというのである。

 しかも、これらスキャナーは、持っているだけではまったく意味をなさず、仮にコンピューターの故障コードを読み取ることができても、そこからどう確定診断するかが必要となり、難しい診断になれば、その故障コードだけでは完璧な修理が行えない場合が多数待ち受けているのである。

 つまり、スキャナーを持つだけでも敷居が高いのに、それを使いこなす技術的なレベルも求められ、メカニックに求められるスキル量が半端なく増大しているというわけである。

 で、再び冒頭のカムポジションセンサーのエラーの話。

 スキャナー診断で出たエラーコード。だから普通に行けばセンサーを交換するメカニックが多いはずだ。だが、クワッドではこれらコードの診断と長年の経験とスキルを生かして確定診断をさらにおこなうわけである。

 具体的には、カムポジションセンサーのエラーコードが出たからといって、直接センサーが原因ではない可能性が多々あるということ彼らは過去の実戦的経験から知っているのである。

 そこでオシロスコープを使い波形の異常を見ていたというわけであり、実際に一台は波形に異常なしだから他の原因を探すことになり、もう一台は波形に異常が出ていたということで、その原因を探ることになり、電装系から出るノイズが原因であるということを突き止めたわけである。

 ちなみに、ここには書いていないが、最終的な原因確定に至るまでにもまだまだ診断過程がいくつもあったのである。

トラブル解明に必要となるスキャナー類だが、そのスキャナーたちを維持するためには多大なる労力が必要になる。それが出来ずに最新車両の故障診断を諦めるショップが多発しているのである。

クルマのレベルが段違いに進化、当たり前だが メカニックも同様に進化すべき

 一見するとかなり複雑に見える故障診断だが、彼らに言わせると、「ここまでするのが当たり前」という。くわえて「現代の車両はとにかく作業精度が要求されます。それにベースとなる知識が必要であることは言うまでもありません。プラスして昔ながらの勘や経験も当然必要ですが、とにかく異常を感じる心眼といいますか、見抜くための観察力とか洞察力が不可欠なんです」とも。

 機材導入とスキル向上を積極的に行っているクワッドドライブを見ていると、かつてアメリカ本国で見たとあるディーラーファクトリーを思い出す。クワッドドライブは、まさにそレベルの機材とスキル量で作業をこなしていると言っても過言ではないのである。

 ひと昔前の話で言えば、「アメ車はこんなもんですよ」が合言葉のように出回っていたが、今やクルマも段違いのレベルに進化している。「こんなもんですよ」では済まないレベルなわけである。だからユーザーも、確実に頼れる彼らのような真のプロフェッショナルを、自身の足で探し出す必要が絶対あると思うのである。

クワッドドライブは、本国メーカーと直接契約を結び、本国ディーラーと同等の設備を揃えながら、最新情報を常に習得できる環境を整え、さらなる知識と経験を得るために努力と設備投資を惜しまない。

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