もともと次世代メカニックの技術習得の一環として入手したテスラモデルX。林氏自身が直接EVに乗ることで「メカニカル部分」を知ることができ、また充電等の「インフラ」についても知ることが可能になり、同時にEVの中古車を入手することで入手時点の「消耗」やその後の「劣化」といった実態についても知ることが可能になるという目的を持った試みであった。
だが、その後の過程はこれまでの記事に記した通り、メカニックとして直接触れられるメカニカル部分が極端に少ないことを把握。徐々にメカニックとしての興味というよりは、一個人としての興味、もしくは楽しみへと移行していった。
その最大のポイントがオートパイロットだという。
「テスラのオートパイロットは精度が非常に高く、最小限のアシストで高次元の走りが可能です。制限速度認識(標識認識)、オートレーンチェンジ (車線変更)、レーダークルーズの制御は不安定な挙動が少なく比較的安定しており想像以上のものでした」
▲林氏が所有する2021年型モデルXに乗りながらお話が聞けた。オートパイロットを含めた完成度の高さは今もなお揺るがない。
▲モデルXは、EVとしての性能も高いが、デザインやドア形状など、オーナーを楽しませる要素が非常に多い。
そして極めつけが昨夏ロスで体感してきたFSD(前回の記事に動画つきで解説)。日本ではまだ認可されていない自動運転技術のことだが、実際にロスの街中で使用したことで、新たな刺激を受けたという。
「FSDに関しては日本で認可されていませんが、テスラがあれだけの能力を持ったクルマであるということが分かりましたし、将来のクルマの姿が見えた気がしています」
今、日本でもレベル4の自動運転のテストが各地で行われているが、実際にそれらが日本で解禁される日が来るのかどうかはわからない。だが、少なくとも世界レベルで言えば、そうしたクルマの未来が確実にやってくることは明白である。
そしてその中心にテスラがおり、その能力を持った車両(日本では使えないが)を日本で乗ることができるということに価値を感じるという。
「何度も言っていますが、テスラはただ速いという機関系のパフォーマンスのみが優れているというわけではありません。オートパイロットの自動運転精度、携帯アプリからのコントロール、サモン(自動駐車、遠隔操作)、OTA、通信速度、学習機能、充電の利便性 etc それらが今から10年も前の2015年に確立していたことに驚きを感じますし、それらが年々進化し熟成し、無人タクシーにまで行き着くところまで考えられていたということに凄みを感じます。そういう意味でも、他の自動車メーカーが作るEVとは一線を画すと思ってますし、あえてテスラを選ぶ理由となっていると思っています」
▲昨年10月に発表されたテスラロボタクシー。3万ドル以下の価格帯で2026年生産開始と言われているが、果たしてどうなるか?
▲二人乗りの完全自動運転車なので、ハンドルやペダルはない。しかも充電はワイヤレス。いわゆるEVと自動運転の行き着く先と言われている。
今回お話を聞く時に乗っていたのが2021年型モデルX。それ以外にも2022年型モデルYともう一台モデルXの計3台をいま所有しているが、それ以前にもモデルXを3台、モデル3を一台所有していたから、3年間で合計7台のテスラ(モデルX5台、モデル3、モデルY)を購入している。
そしてそれらはすべて中古車であった=中古車の「消耗」「劣化」を見極めたいという当初からの試みである。
「テスラの場合、バッテリーおよびドライブユニットのメーカー保証が8年もしくは19万2000キロ(モデルYパフォーマンスの場合)、車両のメーカー保証が4年または8万km(いずれか早い方)がありましたからさほど心配することなく、中古車が選べたということもあります。
また実際に7台の車両を購入してきましたが、どの車両にもトラブルはなく、消耗や劣化もほとんど感じることはありませんでした。そういう意味では購入車両に不満等は一切ありません」
▲今現在、モデルX2台、モデル3の計3台を所有している。
3年前の一番最初の段階でのモデルX購入時に体感したテスラサポートの塩対応にはかなりびっくりした(笑)とのことだが、それから3年が経ち、そうしたサポート体制に関しての慣れ、またテスラ車両自体に対する慣れもあり、テスラに関するバツの部分に関してはほとんどないという。
ただし、実際にオーナーとして頻繁に乗るようになって感じたバツの部分が日本国内のインフラ整備の遅れといま現在のテスラの中古車価格という。
「私自身では岐阜あたりまで遠出していますが、その際もテスラのスーパーチャージャー充電で不安なく乗れましたし、スーパーチャージャー以外でもサービスエリアの食事休憩中にCHAdeMO(チャデモ)での充電も可能でしたから、全くストレスはありませんでした。また日常使用でも同じように充電不安を感じることはありませんが、他メーカーのEVではそうはいかないと思います。特に大きな電池を搭載し航続距離の長さを謳う高級EV車ユーザーは、いまの日本のインフラ構造に不満を感じないのだろうか、とは感じています」
▲テスラ車を所有して直接的なバツ部分を感じることはなかったという。ただし、テスラ車やテスラ社に慣れるまでには文化の違いを感じたという。
テスラは、最初から充電とセットで開発されていたからこその利便性を持ち、今なおその利便性は日々進化し続けているのだ。
「全くの余談になりますが、最新のモデルXは、スーパーチャージャーと自宅充電は可能ですが、日本国内のCHAdeMO(チャデモ)充電ができない仕様になっています。モデルSもそうなっています。購入時にはその辺もよく確認した方がいいと思います。実際に乗っている身からするとCHAdeMO(チャデモ)充電も使えた方が圧倒的に便利ですから(林氏の所有している年式まではチャデモも使用可能)」
充電のほか、今の中古車価格についても聞いた。
「全体的にかなり安いという印象があります。オーナーとしてはあまり好ましい状況ではありませんが、ですがこれから購入する方にとってみれば逆に嬉しい状況とも言えるかもしれません」
あくまで推測だが、アーリーアダプターの車両が乗り換え等で中古車市場に出回ったことで価格が下がったということではないか。ただし、新たなるテスラ生活を比較的安価に始められるという利点もある。
筆者の知人が新しいモデルYに興味を持ちテスラ新宿ショールームに見に行っていたが、新モデルYはデザインを含めかなりの反響という。そして実際に売れている。3月末までに契約すれば「5年間スーパーチャージャー使用料無料」というサービスも付帯するらしく、それも好調の一因になっているのだろう。
▲新しく登場したモデルY。すでに予約販売が始まっているが、初年度分の在庫はあと僅かという。
▲新モデル3ではウインカーレバーはなくなったが、新モデルYではウインカーレバーは復活している。
▲新モデルYのリア後席の広さや快適性が向上している。
ただ、テスラの細かい部分までの情報を独自に収集している林氏は、「新モデルYよりも高年式のモデルYの中古車を買うという手もある」という。
「ボディデザインやいろいろな部分での熟成があるのは承知してますが、旧モデルYと比較しての大きな違いがハードウェア3(HW3)がFSDハードウェア4(AI4)に進化している点。
それによりカメラの解像度が上がり、オートパイロットの動き等も確実に変わっていますが、FSDが使用できない日本においてはハードウェア3(HW3)でもほぼ問題ありません。ですので、中古車価格が安い今の時期ならなおさら旧モデルYの中古車でも十分にテスラワールドを楽しむことが可能だと思います」
日本では今、ジープからアベンジャーが登場し、今夏キャデラックからリリックがデビューする。どちらもフルEVであり、徐々にではあるがアメリカ製EVが日本の道を走り始める。
だが、現状、そうしたニューカマーが登場したとしてもテスラの優位性は変わることなく、ひょっとするとそうしたニューカマーが登場するに連れテスラの凄さ(充電を含めたEVとしての優位性)が再認識される可能性が高い。
3年間、7台のテスラと共にした林氏は、「今後もテスラの進化を見守り、必要性を感じれば新しいモデルに乗り換えます」と語ってくれた。
▲他メーカーのEVとは最初のコンセプト時点から異なり、充電とセットで利便性を追求しているところがテスラの真骨頂。
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