久しぶりのクワッドドライブ。いつ来ても常に整備車両でいっぱいである。それでも二人のメカニックが縦横無尽に動き回り一台一台効率的に適切な処置を施している。
取材当日対応していた車両は、2010年モデル以降の現代車から最新モデルに至り、またテスラありと、今の日本のアメ車ファン層を表した、まさに理想的な工場に見えた。
そんな中で最初に目についたのがテスラモデルX。過去に当記事内で紹介したテスラの一台が旅立っていくという。この個体を購入された方はテスラ車を乗り継いでおり、すでに購入できなくなったモデルXに「一度乗ってみたい」ということで購入されている。
▲クワッドドライブは最新車両を中心とした現代車の整備等に特化している工場である。その代表である林氏が今回ASEを取得した。
▲クワッドドライブに研究対象とされていたモデルXの一台が販売され、納車前の整備が行われていた。
▲整備中の状況がこちら。しっかり整備され納車される。
「今現在、納車整備中で、もうじき納車です」ということだが、林氏は続けてテスラについて語る。
「テスラに関してはここ3年から4年くらい研究対象として携わってきましたが、それはあくまで今後増えるであろうHBD、PHEV、EVに備えた研究となります。よって直ぐに業務転嫁されることは有りませんので現段階では将来的、個人的な要素が大きいです。
EVに関してはシステムが簡素化されており、今までの内燃機関車とは維持も修理方法も全くの別物です。今後については閉鎖的なメーカーがどれだけインディペンデントの修理工場に技術を開放するかにより我々の方向性も変わってくるかと思います。
ですが、整備工場ではなく、車両販売ということだけで言えば比較的売りやすいクルマではあるかもしれません。それは上記のように事前整備がさほど必要ないからです。ただし、売るには売るで、事前のサポートが必要になりますから、その辺のテスラに対する知識は大いに必要だと思いますが」
続いて、林氏は直近でアメリカの整備士資格「ASE(Automotive Service Excellence)」を渡航して受験し、ライセンス取得をしている。その意味と意義についてうかがった。
▲ASEとは、アメリカの自動車整備士の技術を認定する資格制度で、自動車整備士としての技術レベルを証明する一つの指標である。
▲アメリカではご覧のような称号がメカニックの右肩に貼られ、その方のレベルがわかるようになっている。
ちなみにASE (Automotive Service Excellence) とは、アメリカの自動車整備士の技術を認定する資格制度で、自動車整備士としての技術レベルを証明する一つの指標として、アメリカだけでなくカナダやメキシコなどでも広く認知されている資格。ASE認定は、整備士の技術力を示す一つの指標として、海外でも評価されていることから、技術力の証明やキャリアアップに繋がる重要な資格となる。
また、アメリカ車を整備する上で、ASEの取得は、アメリカの整備士資格であるからこそ、当然武器になる。
「率直に、自分を高めるために、そしてグローバルで通用し評価される人間になるために、あえて日本からASEの資格取得を目指しました。
当然、今後の経営戦略も有りますし、日本にも移民が増えてきておりますので英語の使用頻度が増えてきています。特に米国から移住されてきた方々に対して、弊社では本国と同等のサポートが提供できます。都内のデパート、レストラン、スーパーでも普通に英語で接客している店員をよく見かけますよね。そんな時代です」
▲ASE資格は5年ごとに全科目の再試験が必要なため、常に高い技術力と最新の知識が求められる。今後は数年単位でASEの資格を全部取得するつもりで数ヶ月ごとに渡米する予定という。
日本にも整備士資格は存在するが、日本の場合、その資格で差がつくことはほぼない。実はアメリカでも資格がなくてもクルマ屋を起こすことは可能である。
だが、そのクルマ屋にASE資格を持ったメカニックがいれば人の見方が変わる。その人のことを知らなくても、その資格を持つことで、ある程度の評価基準が成立するのである。それほどの資格である。
「試験を受けに渡航して、試験場で驚かれました。『今までそんなはヤツ見たことない』と」
受験申請にあたっては、クワッドドライブでの業務内容や私的な経歴を申告し、もちろん英語で、それらが認可されたことで受験可能になった。日本で受ける整備士資格試験よりも難易度が高く、試験科目も多く、クワッドドライブでの実務を終えた後に、日夜準備を続けてきた。
クワッドドライブで日夜実技を磨き、ASEのために英語で申告書や試験勉強を行い、そして渡航し受験し合格。この一連の作業や準備等の努力により、グローバルな世界で活躍可能なことが認められた。
「受験を終え、改めて『基礎』の大切さを認識しました。クワッドドライブでの実戦作業にて培われた能力でASEに対応することが可能な部分が多かったですが、常に実戦を行っていると、分かりきっていることにあえて触れることはありません。分かっているからこそ、飛ばして先に進み時間を省きます。ですが、実際に試験を受けてみて、分かっていて飛ばしている部分=基本的な認識部分の大切さを再認識しました。そういうことも含めて非常に有意義な時間でした」
▲こうした作業待ちの車両にASEメカニックとしての高い技術力が注ぎ込まれる。
ASE資格は5年ごとに全科目の再試験が必要なため、常に高い技術力と最新の知識が求められる(日本の整備士試験には再試験はない)。
「今後も数年単位でASEの資格を全部取得するつもりで、最高峰とされる「Advanced Level Certification」の取得を目指していきます。今現在のスケジュールですと数ヶ月ごとに渡米する予定です。これからもまだ沢山のテストがありますので。またその後も更新し続けていきます。それ以外にも今後、EV車、ハイブリッド、及びADASの資格も米国で取得します。日本ではそれぞれに特化したテストや資格は有りませんので」
すでに「日本における屈指の整備工場」との評価を確立しているにもかかわらず、この期に及んでも自分を高めようとする意識の高さ。林氏のそうした意識の高さや向上心は、クワッドドライブに入庫するクルマたちに『能力の高さ』として注ぎ込まれる。
「将来的には、日本に住む米国人アメ車オーナーが「ASEがあるならクワッド行こう」と思ってもらえる店にしたいんです」
グローバルな世界でも通用するクワッドドライブが確実にやって来る。
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OTHERS
ウエストクラブインターナショナル
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