今年2月に取材した際に、世間話的に2024年モデル以降の日本仕様への改善作業の難しさについて話をした。
だがその時、林氏は「それよりもヘッドライトの検査変更の方が厄介ですよ」と語っていたのだが、筆者はその時点で、なぜ厄介なのか、を全く理解していなかった。
それから三ヶ月以上が過ぎるが、ゴールデンウイーク前あたりから色々なショップで上記のヘッドライトの件を耳にするようになっていた。しかも会社で所有しているバンが2004年車ということでその対象になる!
ということで、改めてその厄介さについて林氏に解説していただいた。
まずは、その内容についての概略である。
「車検におけるヘッドライトの検査内容は光量、光軸、カットライン、ケルビン数(色温度)を基準に行われ、いずれかの項目が基準を満たしていない場合は再検査が必要となりますが、基本ハイビームでの検査でした。
ですが、2015年9月1日に車検基準が変更され、2018年からロービームでの検査が開始されました。が、原則ロービーム検査なのですが、万が一ロービームで検査を満たさない場合、「ハイビームでも可」という除外規定があったのです。
しかし、2024年8月よりこの除外規定が廃止され、1998年9月1日以降に生産された車両は全車種ロービーム検査が義務化されるという通達がありました」
要するに、これまでロービーム検査を満たさない車両はハイビームでの検査で車検が通過できた=そういう車両はロービームでの検査は満たしていないわけだから、上記の「ロービーム検査」が義務化されることで、車検を通過できない車両が多く現れる・・・・。
ちなみに、上記の義務化の理由は、1998年9月1日以降に生産された車両は、ロービームを基準にヘッドライトが設計されている。これは、日本の交通事情の変化に伴い、ハイビームでの走行機会が減少したことによる。よってロービーム検査の方が、実際の夜間走行時の視界に近い状態での検査が可能となる。したがってハイビームのみの検査では、ロービームの光軸や光量が不適切な場合があっても見逃され、夜間の視界確保に影響を与える可能性があるからという(国土交通省)。
正直、上記の理由を聞いたからと言っても、ツッコミどころは満載である。
しかも、これら義務化は地域によってまちまちというから驚く。全国に10ある運輸局のうち、6つの地域で2年延期というから地域差が生じるのだ(2024年5月14日に延期の発表あり)
■2024年8月から完全移行
北海道・東北・北陸信越・中国
■2026年8月から完全移行(2年延期)
関東・中部・近畿・四国・九州・沖縄
よって2024年8月から完全移行する北海道・東北・北陸信越・中国地域においては、これまでどおりのハイビーム検査が通用しない可能性が非常に高いから注意して欲しい。
当然車検対応にするには何らかの処置が必要になり=オーナー負担が増えることが予想されるから。
余談だが、クワッドドライブの管理ユーザーにおいては「ロービームで車検対応可能な車両は40%程度」というから、残り60%程度の車両は何かしらの対応が求められる可能性があったというから莫大な数だろう(「可能性があった」とは話を聞いた時点で2年延期の通知を把握していたから)。
なお車検におけるヘッドライト検査の不合格の要因は、レンズのくもり、内部リフレクタの劣化、不鮮明なカットライン、バルブの光量 etc があり、それぞれの対応が今後より一層求められるということだ。
特にレンズのくもりや内部リフレクタ、バルブは経年劣化するだけに、今後ユーザーも意識を高める必要がある。
クワッドドライブでは、車検に関して(各車検場のライトテスターもまちまちだったりする中で)、十分過ぎるほどの対策を事前に社内で行い車検場に向かうため落検した経験はほとんどないということだから、このヘッドライトの一件もプロに任せることが最善の一手であることに間違いはないだろう。
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