TEST RIDE

[試乗記]

EV時代に先んじて独自テストを継続中

テスラ モデルYを新たに購入

年式ごとの「進化」を体感する

次世代車両の独自研究として始まったテスラとの生活。今年一月の時点では2台のモデルXを所有していた林氏だが、新たにモデルYを購入。その経緯を聞いた。

更新日:2024.07.02

文/石山英次 写真/古閑章郎

取材協力/クワッドドライブ TEL 048-281-5853 [ホームページ] [詳細情報]

可能ならどんどん新しいモデルに接したい

 林氏が新たに購入したテスラは2022年型のモデルYパフォーマンス。走行2万キロの中古車である。

 「これまで2021年モデルまでは体験していますので、新たに2022年モデルを購入しました。あえて中古車なのは2022年モデルの進化の幅を知るためと中古車としてのヤレ感を調査するためです」

 テスラは一年モデルが違うだけでかなりの進化が得られるという。よって2021年までを体感している林氏にとって2022年モデルの一体何がどう違うのか、そこに興味を持っての購入という。

 「体感上の違いをあげれば、まずはハードウエアの作動速度が全く違い、かなり速いです。そして充電性能においては250kwに対応していますし、電費もかなり良い印象です」

 購入してまだ一ヶ月ちょっとというが、乗った瞬間から各部に違いを感じ、一方で、2年落ち2万キロ走行の中古車の部分に明確な劣化を感じることはないという。

 「これまでに購入したモデルXでもそうでしたが、中古車として明確なヤレを感じることが非常に少ないのがテスラ車の特徴ではないでしょうか」

▲新たに購入された2022年型のテスラモデルY。走行2万キロの中古車である。

▲中古車としてのヤレを感じることはほとんどないという。が、リアスポイラーに不具合がありサービスセンターにて保証対応してもらったという。

 とはいえ、気になるポイントがないわけではないという。

 例えば今回のモデルYにおいてはリアスポイラーの不具合、またブレーキ時に異音を感じる時があるという。「ある」というのは慢性的な異音ではなく出たり出なかったりするからである。また足回りには改善余地が大いにあるとも。

 「リアスポイラーに関してはすでにテスラサービスセンターに連絡して保証対応してもらいますし、ブレーキの異音に関しては自分で原因を追求したのちにサービスセンターにて対応してもらう予定です」

 すでに複数台のテスラ車を所有していた経緯があり、それらモデル全てにおいてサービスセンターにて対応してもらった経験があるという。が、メカニカル的なものなら自分で対応可能ではなかったのだろうか?

 「いや、もちろん可能です(笑)が、自分で作業してしまうと保証継承が切れてしまうのです。ですので、原因追求までは自分で行いますが、それ以降はサービスセンターに対応をお願いしています」

▲固定概念を覆すシンプルなコックピット。自動車メーカーが製作するEVとは一線を画す。

▲各種操作は15インチのセンターモニターにて行う。

▲ワンペダル走行やオートパイロットはドライバーに新鮮なドライブフィールをもたらしてくれる。

 さて、モデルYであるが、2023年において世界で一番売れたクルマである=世界で一番売れたEV車でもあった。そんなテスラ車に対して林氏は、「テスラ車の理想的な乗り方は新しいモデルが出たら毎回買い換えることだと思いますし、実際にそれが出来たら最高ですね」という。

 例えば、筆者はmacユーザーだからiPhoneユーザーでありスマートウオッチを使用しており、macもiPhoneも新しいモデルが出たら全てにチェックを入れる。もちろんそのたびに買い換えることはできないが、「買い換えることが出来たらいいな、買い換えたいな」と思うことは毎回だ。

 おそらく林氏のテスラに関する思いも同じようなものではないか。

 余談だが、テスラ以外にもいま日本の道路を走るフルEV車は数多くある。ベンツBMWアウディポルシェレクサスにとどまらず、ボルボやフォルクスワーゲンにもフルEV車が存在する。

 だが、それらとテスラ車との決定的な違いは、クルマメーカーが作るフルEVか否かということ。だから、車内の物理スイッチも多く、扱いやすいし、各部の作り込みや仕上がりも良い。よってEVビギナーでも直ぐに慣れるし、乗り換えやすい(かもしれない)

▲ブレーキ、サスペンション、ハンドリングなどの味付けは成熟した老舗自動車メーカーのEVモデルの様にはいかない。だが、それを踏まえた上で別次元の刺激を与えてくれる。

▲林氏が所有する3台のテスラは全てホワイトレザーのインテリア。

▲2022年モデルはハードウエアの作動速度がかなり速く、充電性能においては250kwに対応し、電費もかなり良い印象という。

 一方でテスラ車は、既存の自動車メーカーが作るフルEVとは最初のアプローチからして全く違う。

 未来的なデザインに圧倒的なパワー、そしてシンプルなインテリアに航続距離の長さ、独自の充電設備網、オートパイロットやモバイルアプリetcは、従来の自動車開発部隊とは全く違う方々の発想によって生まれたものだ。

 そういう意味でテスラ車は自動車というより、固有の楽しさや快適さを持ったスマートデバイスにステアリングと4つのタイヤが付いたかのような存在であり、旧来の「クルマ」とは異なる新しい価値を持った存在と言える。

 ただし「逆に、クルマ全体の精度やブレーキ、サスペンション、ハンドリングなどの味付けは成熟した老舗自動車メーカーのEVモデルの様にはいかないし、テスラ社がそこを求めても研究、解析などにおける経験値が違い過ぎるだろうと思います」と林氏は言い、それらを理解した上での研究継続中ということだ。

 だから全てを受け入れつつもハマればニューモデルの進化が常に気になり、随時それらを味わいたくなるのだろう。

▲今年8月にロスに行き現地にてテスラのFSDを体験する予定という。土産話に期待したい。

 実際、林氏は2022年モデルまでを体感している。きっと来年には2023年モデル、2024年モデル・・・・とさらなる研究を続けていくのだろう。

 「今年8月にロスに行き現地の自動車事情を見ようと思っています。同時にテスラのFSD(フルセルフドライブ)を体験する手はずを整えています」

 FSDとは、日本ではまだ認可されていない自動運転技術のこと。アメリカではすでにバージョン12まで進化しており評判もいいという。それをロスにて体感するというからテスラへの興味は尽きない。

 最初は、自社研究のつもりだったかもしれない。が、数々のテスラ車両に触れたことで今や完全なる趣味の領域に達しているのではないか、そう思えるほどテスラ車は、興味を持った人間に、新たな価値観を含む刺激を与えてくれる存在なのだ。

▲既存の自動車メーカーではないテスラが製作したモデルY。だから既存のクルマたちとは一味違う。そこに興味を持てば新たなる自動車趣味に出会えるかもしれない。未来的なデザインにシンプルなコックピット、そしてホワイトインテリアが非常に素敵である。

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