TEST RIDE

[試乗記]

まるでアメリカンフルサイズSUVのごとく

2019 テスラ モデルX 100D

モデルYやモデル3と比較してかなり趣味性の高いEV

モデルXの中古車を取材した。

更新日:2024.11.27

文/石山英次 写真/古閑章郎

取材協力/ブルート TEL 0489529260 [ホームページ] [詳細情報]

EV界のスーパーカー的存在

 2017年から発売が開始されているテスラモデルX。テスラモデルSに続くEVモデルであり、同社初のSUVである。

 ボディサイズは全長5030×全幅2070×全高1680ミリ、ホイールベースが2965ミリ。くわえて車重が約2.5トンというからまさしくフルサイズ級のSUV。

 丸みを帯びたクーペ風のデザインを有し、3列シートを持った6人乗車または7人乗車(取材車は7人乗車)を可能とし、室内空間は驚くほど広い。

 で、特徴の一つがリアのファルコンドア。ガルウイングとも言えそうだが、実際の動作を観察すれば二重ヒンジにする等ガルウイング以上に複雑な機構を持ち天井部まで開口する。

▲まるでアメリカンフルサイズSUVのごときサイズと風格を放つモデルX。

▲2019年型の中古車でグレードは「100D」

 これによりスライドドアよりも狭いスペースでのドア開閉を可能にしており、30センチほどのスペースがあれば開閉可能という。

 このファルコンドアによって後席へのアクセスが格段に良くなり、2、3列目へのアクセスも超楽。しかも3列目の足元スペースの上下幅もあるから楽に座れるのもモデルXのポイントの一つである。

 さて、このデビュー当時のモデルXには「75D」「100D」「P100D」という3種類のグレードが存在。「75D」と「100D」の違いは75kWhと100kWhのバッテリー搭載量の違いであり、100kWh仕様にはさらなるパフォーマンス仕様が存在し、それが「P100D」ということになる。ちなみに、DはAWDを表している。

 当時の公式発表されていた最大航続距離は「75D」で最大417キロ、「100D」で最大565キロ、「P100D」で最大542キロというから、テスラがいかに大容量のバッテリー電池を搭載していたかがわかるだろう。

▲モデルXの特徴の一つであるファルコンドア。30センチほどのスペースがあれば開閉可能。

▲フロント部分には大容量のトランクがある。

▲リアの荷室も広大。三列目シートを倒せば一段と広い室内空間が現れる。

▲購入時におけるサポート体制を充実させ、その他スマホへの登録や充電関連に関するサポート等も行っているという。

 ということで、取材個体は2019年型モデルX 100Dである。上に「P100D」があるから「100D」は下位モデル、もしくは廉価版と思うかもしれない。

 が、実際にはそうではなく、「P100D」の圧倒的なパフォーマンスよりは若干劣るというだけで、「100D」すら一般車両と比較して十分に速い。

 それが証拠に「100D」の0-100km/h加速が4.9秒(「P100D」は3.1秒)だから並みのスポーツカー以上の速さである。くわえて音もなく電気ならではの一気呵成の加速感で圧倒する。

 それでいてバッテリー電池が床全面に敷き詰められているから低重心であり(同時に広い室内空間に寄与している)、そのバッテリーが前後車軸に装備されたモーターを駆動する4WDという仕組みであるから想像以上に安定感があり、コーナリング時の腰高な印象は皆無。

 いわゆるアメリカンSUVらしい鷹揚とした乗り味は全くなく、逆にハンドルの遊びがほとんどなくキビキビ走るのがモデルXである。

▲255-45R/20インチタイヤに純正ホイールの組み合わせ。

▲グレードを示す「100D」のバッジ。

▲テスラ車の中ではまだ自動車的な名残が残っていたと言える時代のインテリア。メーター類も設置されている。

 モデルXの特徴というかテスラ自体の特徴になるが、上記の走行性能や搭載バッテリー電池のみならず、先進の運転支援システムであり、モバイルアプリの存在も見逃せない。

 運転支援システムの「オートパイロット」は複数のカメラと超音波センサーを使い、アクセルとブレーキだけでなくステアリングのアシストも行う。このオートパイロット、想像以上に便利な機能で(若干手を添える必要はあるのだが)、慣れるとかなり使えるという。

 というようなことを踏まえ実車。今回ブルートに入庫したモデルXは2019年型の中古車。キャデラックやリンカーン等を扱うブルートの新たなる販売車両である。

▲ステアリング右にシフトレバー、左にウインカーが設置される。

▲インパネに設置されるメーター類には各種ゲージ類が表示される。

▲センターコンソールにある巨大なタッチスクリーンにて操作する。

 実は同時にモデルYも取材していて(別項参照)、そちらは2022年型であり、それと比較するとテスラ内のモデル変遷や進化の幅を如実に感じ取ることが可能であった。

 単純に、モデルXはかなりガソリンエンジン車に近い雰囲気を持つ。運転席目前にはまだ液晶のメーター類が設置され、センターコンソールの液晶タッチパネルにも前時代的な感じが漂っている。

 ちなみにモデルYにはメーターディスプレイ自体がなく、センターコンソールのタッチパネルのみになり、インテリア全体が未来的な雰囲気を発しているし、年式が新しくなればなるほど極限までシンプルになっているのが特徴である。

▲インテリア時代は非常にシンプルな形状。年々シンプルさが増していく。

▲コンディションの良いシート。サイズ感も大きめで座りやすい。

▲二列目は3人乗車シート。さほどヤレを感じる部分がないのは嬉しい。

 なお、テスラ車の場合、年式が古くてもシステム自体はOTAによって更新されそのモデルの限界までは新しいバージョンのシステムにすることが可能であるから、年式が古い=システムも古いからダメとはならないところが、ガソリンエンジン車と大きく違うところである。よって2019年型のモデルXでも今から十分に楽しむことが可能である。

 モデルXは、デザインや価格帯を含め一種のスーパーカー的存在とも言え、実用性はもちろんあるが、モデルYやモデル3と比較してかなり趣味性の高いEVと言えるかもしれない=中古車市場に流通しているモデルXはあまり数が多くないだけに、気になる方はチェックしてみるといいだろう。

▲ご覧の通り店内アメリカンフルサイズSUVやミッドサイズSUVが展示される中でテスラ車も同時に並べられ販売されている。

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