角目のゴツいSUVと言えばシボレーK5ブレイザーというのが定説である。
だが、一見するとK5ブレイザーは旧車のような風情をもたらすから、オールドスタイルのキャブレター車か? と思うかもしれない。
が、例えば今回取材した91年型K5ブレイザーだとインジェクション車両だから、サードカマロと同じくらい気軽な感じで乗れてしまう。
くわえて91年型車であるにもかかわらず、角ばったボディを持つフルサイズSUVである。
いわゆる近代的なSUVが見せるラグジュアリーな雰囲気は皆無であり、これぞアメリカの迫力と旧時代の産物が見せる趣味性の高さが特徴的であり、なんともアメリカ的で人気がある。
ちなみに、K5ブレイザーでも70年代ともなると丸目のヘッドライトを持つ、これまた魅力的なボディデザインを持ったSUVであるが、70年代車両ともなれば当然90年代のK5ブレイザーよりも維持の手間がかかる。
そういう意味では取材個体のような90年代のK5ブレイザーは、ある意味非常に貴重な存在である。
なお、K5ブレイザーはSUVの元祖とも言える存在で、1969年に初代がデビュー。その時代のライバルはフォードブロンコである。
そして1973年に二代目モデルがデビューし、それが1991年まで続く。そして三代目が1992年に登場するが1994年いっぱいで終了となり、そのまま「タホ」へと名称を変更する。
すなわち、K5ブレイザー(以下、K5)とは、今なお存在するシボレータホの祖でもあったのだ。
で、取材個体は1991年型だから二代目最終モデルであり、非常に貴重な存在と言えるのである。
さて、そんな91年型K5には5.7リッターV8エンジンが搭載され、4速ATと組み合わされる。
上記した通りインジェクション搭載のV8だから現代でも気兼ねなく乗れるし、定期的なメンテナンスを加えることで長い間良い状態を維持することも可能である。
くわえて組み合わされるミッションもオーソドックスな4速ATであるから、これまた定期的なオイル交換等で調子を維持することが可能であり、実際、取材個体は32年前の車両であるにもかかわらず、「エンジンとミッションはオリジナル状態のまま」というから、いかに適切な整備を受けてきたかがわかるだろう。
だが。とはいえ、32年前の車両ともなれば、ノントラブルというわけにはいかない。実際、各種センサーや補記類等のパーツが寿命になりそれぞれを交換してきたという。
例えばアイドルスピードセンサーとか水温センサーとかブレーキオイルのタンクが腐食するとかetc である。
が、ずっと面倒を見てきたレーストラックによれば、「エンジンやミッションといった基本ベースが非常にタフなので、そしてこれまで交換してきたセンサー類や補記類は、ある意味消耗品なので、はっきり言って『故障と呼べる故障』はないんですよ」
なるほど。この車両、よく見れば、1インチ程度リフトアップしてホイールが社外品に交換されているが、それ以外はほぼほぼノーマル状態である=過度なカスタマイズ等が加えれれることなく丁寧に乗られ、かつ適切な整備を受けてきたことで、32年経った今でも全く違和感なく普通に乗れるのだろう。
ただし。車両の基本ベースは非常に頑強ということだが、内外装=ボディ外板やインテリアにおいてはサビや擦れや破れといった瑕疵によって浸食されており、それらは年代物の宿命とも言える「ヤレ」であり、ある程度の費用をかけそれらの対応も行っている。
具体的には、ボディの板金やシートの補修である。
ボディは、外板を補修し同じ純正色でペイントし、ヤレたシートは、アメリカ本国から生地を取り寄せ日本国内で張替えを行っている。
で、見ればわかるが、ご覧の通りのコンディションである。ピカピカに輝くライトブルーのボディにホワイトのキャノピーがよく似合う。くわえてK5らしさを失わせないライトなカスタマイズもマッチしており、めちゃくちゃカッコイイ、というかオシャレである。
インテリアを見ても、シートを張り替えただけではあるが、見違えた非常にクリーンな印象をもたらしている。
もともと、ダッシュボードにひび割れがあったりその他に大きな瑕疵があったりするわけではないので、シートを替えるだけでも十分な変化が感じられるのだろう。
「この車両は、メンテナンスを中心としたコンディション重視のオーナーカーでして、今回はレストア的作業を行いました。レストアというとちょっと大げさかもしれませんので、若返り作業の方が適切かもしれませんね」
一台のアメ車に長く乗って行くと、ある時点で「どうしようか」と岐路に立つことがある。もちろん売却し違う車両に乗ることも一つの案だが、もしも長く乗るつもりなら、こうした若返り作業も一考の余地ありだろう。
オーナーさんにしてみれば、ボディやインテリアが見違えたことで、今後より一層大切に乗る気持ちが増え、定期的な整備にも精が出ること間違いないのである。
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