前々回の特集でASDNがテストしている2011年型シェルビーGT500についてレポートした。そのGT500は富士スピードウエイを走ることで、車輌のテストとチューニングにおける煮詰めを行っているのだが、その時に聞かれたいくつかのポイントが下記内容である。
・エンジン、ミッション、デフ等の熱対策
・ブレーキの甘さ
・サスペンションのセッティングetc
サーキットを全開で走ると、当たり前だが日常走行とは異なり各部に負荷がかかり、全般的な油音水温が沸騰する。そして全開からコーナーに向けてフルブレーキングを繰り返せばブレーキも次第にもたなくなる。サスペンションのセッティングに関しては、あくまでセッティングなんで、これはウイークポイントではないから、まあこの先もテスト繰り返せば、試行錯誤するもいずれ答えが導き出せるに違いない。
まだテスト中であるから、各部の調整&チューニングにより、この先完成度は日に日に高まるはずであるが、これが2011年型シェルビーGT500を全開で走らせた時の実情であったことは間違いない(否定しているわけではないので誤解なく。ノーマルでサーキットを走れるレベルのクルマだからこそのテストであるわけだから)。
なんでこんな話をしたのか? それは2013年型のシェルビーGT500に乗ってしまったからである。
2013年型シェルビーGT500は、驚くほどの変貌を遂げている。それはエクステリア全般の話ではなく各種装備においてであり、上記に記した2011年型GT500をサーキットでテストしているウイークポイントをすべて聞いていたかのような『進化』なのである。
まずはブレーキ。これまでも同じブレンボだったが、4ピストンから6ピストンに変更され、ローターも1インチ拡大された15インチローターが装備されている。あわせてリアローターも拡大されタイヤサイズも変更(F:265-40ZR19 R:285-35ZR20)。
また取材車輌にはSVTパフォーマンスパッケージが装備されており、パフォーマンスタイプのサスペンションと減衰力調整式のビルシュタイン製ショックが装着されており、また同時にトルセンLSDが組み込まれるなど、ロードゴーイングカーとしてはかなり締め上げられた足回りを実現しているのだ。
さらに13年モデルから新たに設定されているトラックパッケージもセレクトされており、強化エンジンオイルクーラー、トランスミッションクーラー、デフオイルクーラーなどの熱対策もなされている。
つまり、2013年型は各種パッケージオプションを組み込むことで、そしてそれらがベースモデルの完成度と合わさることで、旧型を遥かに凌駕するマシンとなるのである(2011年型のサーキットテストでのネガをも一蹴してしまう)。しかも、2013年型にはまだまだ大きな変更がなされている!
それがエンジンパワーの増強である。2012年型まで搭載されていた5.4リッターV8スーパーチャージドエンジンから排気量が400cc拡大された5.8リッターとなり、スーパーチャージャーの容量も拡大され、圧縮比も変更。ブースト圧を上げる等して662hp、最大トルク631lb-ftを発生させるマスタング史上最強エンジンが搭載されたのである。2012年型までが550hp、最大トルク510lb-ftだったから、一気に112hpアップしたことになる!(当初は650hpというアナウンスだったが、最終的には662hpとなった)
カマロZL1との比較テスト映像だが、シェルビーGT500のインカーをかなりリアルに見ることが可能。サウンドも意外に聞けます(実際に乗って聞くともうちょっといいんだけどな)。2分半くらいからインカーが見れます。あんなワインディングでV8唱わせたい!(後半の映像はZL1になります)
こうして出来上がった2013年型をひと言で表現すれば、「最強の官能マシン」となる。662hpを受け止めるボディやシャシーの頑強さは特筆ものだし(かなり進化している)、ハンドリングも格段にキビキビしており、街中では持てる力の20%も使っていないのは承知の上なのだが、それでも速さ云々関係なくコイツは格別に気持ちいい!
特にエンジンを回していくと高まる各種サウンドが「ギュルルル〜〜ン」と響き渡る瞬間がたまらない(いろいろなアメ車のサウンド聞いてますけど、かなり独特のサウンドです)。しかもそれは、絶品のV8サウンドをMTで操れるという、このクルマでしか味わえない特有の快感である(V8+MTのマスタングもかなり近い魅力を持っているけどね!)。
しかもシフトがかなりいい。ストロークが短くカチッと硬質なフィーリングで、さらにボールタイプのシフトの操作性も抜群なのである。
このクルマのキモは、やはり完成度が高まった「走り」に対するアプローチであることは間違いないし、しかもそれは旧型モデルを圧倒的に上回り、さらにライバルとなる各メーカーのスポーティカーおよびGTカーのそれをも完全に凌駕している。そしてさらに独自の美点をも持ち合わせたという、過去に例を見ないほどのマシンなのである。
今回は撮影中の移動時のみの試乗だったので、走りに関する完成度の高さを存分に体感することは出来なかったが、それでも速さ以外の魅力を体感できただけでも役得であったと思っている。
ちなみに、この2013年型のベース価格は758万円である。2011年型が635.8万円(当時の円高還元価格だった)ということを考えると、その差約120万円。パワー差112hpを埋め、足回りや熱対策費などのチューニングに120万円をかければ2013年型と並べられるか?(120万円では足りない?)
そんなことも考えてみたが、やっぱり2013年型を新車で買うことが正しいような気がするし、叶うなら買い換えを検討しても良いと思う。それほど2013年型の完成度は高く、絶品である!(1馬力当たりの単価は他国の高級車よりも断然安いし)
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