更新日:2025.09.30
文/石山英次 写真/古閑章郎
今年に入り比較的よく姿が見られるアメ車の一台がブロンコスポーツである。ブロンコではなくスポーツの方。
都内街中でも二度ほど見たし、ショップを回れば、展示車としてはもちろん、整備待ちや今まさにリフトに挙げられ納車整備を受けているブロンコスポーツを目にする機会が多い。ボディカラーも白、黒、AREA51のほか、ワインレッドやヘリテージモデルといった個体も見かけている。
「たいぶ馴染んだんだな」というのが正直なところ。ブロンコスポーツのデビュー時は、ブロンコへの期待が大きく、ブロンコスポーツは、ブロンコの小さい版的なイメージがあったのかもしれない。各ショップでもブロンコ推しが続いていた。
だが、円安為替で車両の価格帯が向上した結果、ブロンコスポーツへの期待が高まった。同時に2023年にヘリテージエディションが出て、魅力度がさらに一段アップした感じである=ルーフも固定の上質な室内空間があるから、日本における使い勝手は抜群に良く満足感の高いSUVである。

▲ブロンコファミリーの中でサイズの一番小さいモデル。実車の見た目のサイズ感はジープコンパス程度。

▲ボディは小さく都会派SUVにもかかわらずオフロード走行も得意。シンプルかつクリーンなボディスタイルのデザインは魅力的で安っぽさは皆無。
くわえて本国メディアへの露出もブロンコスポーツは圧倒的に多い。特にアウトドアシーンでの露出が多く、ルーフにカヌーやサーフボード、テントを積んだシーンをよく見かけ、対ジープ戦略車としてのイメージも高まりつつある。
実際ブロンコスポーツのオフの走破性は想像以上にレベルが高い。もちろんロッククローリングをするならブロンコだろうが、そこまでしない&必要のないユーザーであれば、ブロンコスポーツで十分事足りる=今流行りのアドベンチャーSUVである。
アドベンチャーSUVとは、ぱっと見は普通のSUVに見えるが、本格クロスカントリー要素が強いのが特徴。ただし、ラダーフレームを採用した従来のゴツいSUVとは異なりモノコック構造を採用し、オフロードだけでなく街乗りも楽しめるSUVのこと。
すなわち、日本のオフロード好きを十分に満足させるだけの性能の持ち主である。

▲搭載されるエンジンは2リッター直4エコブーストターボエンジン。245hp、最大トルク275lb-ftを発生させ、8速ATと組み合わされる。他に1.5Lモデルも存在する。

▲一見シンプルに見えるインテリアだが、実物は想像以上に質感がよく、ウォッシャブルなフロアやシートバック素材が採用され、内張りには様々な小物を取り付けておく仕掛けがある等、アクティブに使うための工夫が凝らされている。

▲シフトは、センターコンソールに配置されたダイヤル式タイプ。8速ATとなる。
もう一つ。ウクライナ戦争や円安為替等によりジープブランド車両の価格帯が軒並みアップ。ラングラーに至っては2020年時と比較して250万円以上の値上げである。
そういった要素にプラスして目新しさを求める方々が積極的にブロンコスポーツへ動いた可能性は非常に高い。もちろんラングラーの新車価格よりも安価である。
ということで、ブロンコスポーツであるが、注意点としては2種類のエンジンが存在するということ。1.5リッター直3エコブーストターボと2リッター直4エコブーストターボエンジンである。
両エンジンに組み合わされるミッションは、ともに8速ATであり、2.0L直4に組み合わされる8速ATのみセレクトシフト付きのパドルシフト装備となっている。
■1.5リッター直3エコブーストターボ:181hp、最大トルク190lb-ft 8速AT
■2.0リッター直4エコブーストターボ:245hp、最大トルク275lb-ft 8速AT+セレクトシフト付

▲各種スイッチ類の並びや質感に安っぽさは微塵も感じない。余談だが、グレードによる質感の差異が大きいから購入時にはよく確認すべし。

▲シンプルだが発色の良い視認性の高いセンターメーター。全体的に安っぽさがないから、こういったメーターにも質感を感じる。

▲ステアリングの奥に「+−」を表示したパドルシフトが装着される。これは2リッター直4ターボエンジンにのみ対応される。
筆者はともに取材で乗車したことがあり、どちらも走行性能に不満はないが、街中から高速を走り、特に高速移動を中心とした距離を走る方は直4モデルを選んだほうが現実的だろう。
ボディは、FFベースのモノコックボディ。足回りはフロント、リアともに独立懸架。駆動方式は4WDでクラストップの悪路走破性を誇る。また「BASE」、「Big Bend」、「Outer Banks」、「Badlands(最上位)」の4つのラインナップが存在している。
一方インテリアは、洗練されたSUVといった印象。それでも傷が付きにくく、ウォッシャブルなフロアやシートバック素材が採用され、内張りには様々な小物を取り付けておく仕掛けがある等、アクティブに使うための工夫が凝らされている。
もちろん、センターコンソールには8インチのモニターが装備され、インフォメントシステムが内蔵されている他、各種運転支援機能が採用されている。

▲ブラウンとブラックのツートーンカラーのシート。デザイン、サイズ感、質感、ホールド性も良好。アウトドア使用を考慮してウォッシャブルな素材を用いている。

▲セカンドシートも同様な素材感のシートを用いている。4ドア5名乗車を満たす居住空間もブロンコスポーツの魅力である。

▲荷室の容量も必要にして十分のサイズ感。
ということで、取材車両。2022年型の「Badlands」。ブロンコスポーツは、平たく角ばったデザインをしているが、ドライバーズシートに収まると窮屈さは微塵も感じない。逆に、このサイズにしては驚きの室内空間であり、5人乗車としてはかなり広々とした印象だ。
というのも、着座位置が低く調整されているため、デザインから感じる頭上の狭さは皆無であり、また着座位置が低いから乗降性が良く、非常に好感。くわえて目前に広がるインテリア全体の質感が高く(Badlandsだから)、これまた想像以上に良いから驚く。
また、ボディは驚くほどしっかりし、加速、ブレーキ、ハンドリング等にクセがなく、想像以上に上質だから、乗ればワンランク上のSUVのような存在感である。
ブロンコと名がつくからアクティブなマシンをイメージするが、実際は上質なSUV。いわゆる街中&高速を中心とした一般使いならフレームボディなんていらないし、スポーツのようなモノコックで十分。
それでいて日本人がイメージするアウトドアシーンではジープブランド車に引けを取らない走りをするわけだから、目新しさを含め人気を得つつあるのだろう。

▲リアハッチのガラスウインドーのみの開閉も可能。使い勝手に優れる。

▲シンプルな箱型ボディでありながらも居住空間も走りも充実。街中中心にもアクティブなアドベンチャーSUVにも使える。
138,000円
PERFORMANCE
GDファクトリー千葉店
18,900円
EXTERIOR
ウエストクラブインターナショナル
132,000円
PERFORMANCE
ウエストクラブインターナショナル
3,300円
OTHERS
ウエストクラブインターナショナル