通称セカンドカマロが存在したのが1970年から1981年まで。その間に2度ほどマイナーチェンジが行われているから(1974年と1978年に)、1981年型カマロは、製造期間12年における最終型&集大成モデルとなる。
1978年の変更は、その前年まで採用されていた大型バンパーが消え、ボディ同色のソフトウレタン製バンパーが採用され、力強いイメージが強調されるようになった。加えてリアのテールレンズが丸型4灯から横長なデザインへと変更され、ラインナップにおいてはTバールーフがオプションに加わっている。
このセカンドカマロのパフォーマンスは、他のアメ車と同じく排ガス規制に苦しみ、5.7リッター350 V8エンジンを搭載する81年モデルの最強モデル・Z28でさえ175hpに留まっている。
しかし当時は、それでもカマロに対する評価は上々だった。なぜならカマロはシャシーの強化をはじめ、エンジン出力以外のスポーティな要素を十分に煮詰めていたから。フロントのサブフレームは剛性アップし、リーフスプリングを吊るシャックルも強化、もともと評価の高かったハンドリングに関しても、さらにレスポンスを向上させていたのである。
そんな第2世代カマロは1978年に27万超という販売台数を記録。これは1967年から続く歴代カマロの中でも、最高の販売台数を誇る数字だったのである。
パワーダウンの波に飲まれたこの81年型カマロの350 V8エンジンは、5.7リッターの排気量から175hpのパワーを絞り出す。数字だけを見れば、少々頼りなく感じるかもしれないが、実際に乗ってみると現代のインジェクションに慣れたわれわれにとってはじつに気持いいエンジンだった。
確かに速くはない。だがキャブレターの吸気音といい、レスポンスといい、スポーツカーとしての魅力を十分持ち合わせている。特に2000rpmを超えたあたりから始まるV8特有のエンジンサウンドは、独特なメカニカルハーモニーを伴ってじわじわと吹け上がる。圧倒的な加速力がないぶん、ドライバーはその音を、そのフィーリングを、じっくりと楽しむことができるのである。
足回りは、「ノーマル」だと聞いていたが、そうは思えないほどしっかり感がありよく踏ん張る。荒れた路面でもきっちりとショックを吸収し、ロールも少ない。ブレーキも思ったより良く効き、ちょっとした山道を走り回った時でもしっかりとついて行くことができ、フェードの兆候もまったく見せなかった。ボディも年式程のヤレた感じはなく、適度な剛性感を残している(ホイールは非ノーマル)。
このセカンドカマロは、クルマ全体から発せられる軽快感と見事な足回り、そしてパンチはないが抜群のフィーリングを持ち合わせるエンジンで、いつもと違ったアメ車の味を感じさせてくれたのである。
最後に。個人的な趣向を書かせてもらえれば、歴代カマロの中で、もっともキレイで美しいデザインだと思う。たった数時間しか乗っていないので、歴史ある名車について偉そうに語れる資格はぜんぜんないのだが、その上であえてひと言だけいわせてもらえば、とにかくステキなクルマだった。
刺激的でダイレクトで、現代の無機質なクルマに慣れてしまった身には、とにかく「心に沁みるな~」としか言いようのない感慨を与えてくれる。
C3コルベットの時にも感じたのだが、こういう素晴らしき遺産は後世に絶対に残すべきだ。新しくなるにつれなくなってきた(カクカクしたデザインに変遷していく前の)流麗なスタイルはまさにこの時代のみの財産であり、いまなお絶品でだったのだから。
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