TEST RIDE

[試乗記]

60年代フォードの「知性」が宿る傑作モデル

1963 フォードフェアレーン500

ギャラクシーとファルコンの中間を埋めるサイジング

フォードフェアレーン500を取材した。

更新日:2025.10.27

文/石山英次 写真/古閑章郎

取材協力/BUBU / ミツオカ TEL 0120-17-2290 [ホームページ] [詳細情報]
     BUBU横浜 TEL 045-923-0077 [ホームページ] [詳細情報]

フォードが開拓したインターミディエートの傑作

 1960年代前半、アメリカ自動車産業は「大きさ」だけでは語れない時代へと移りつつあった。高性能なフルサイズカーに憧れながらも日常的に使いやすく、経済的で、しかもスタイリッシュなクルマを求める声が高まっていた。

 フォードがそのニーズに応えて送り出したのがフォードフェアレーンである。フェアレーンはギャラクシーとコンパクトなファルコンのちょうど中間にあたるインターミディエートとして登場。

 なかでもフェアレーン500は、その上級仕様としてより上質なインテリアトリムを備えたモデルであった。

 また、軽量ボディにフォードスモールブロックV8エンジンを搭載し、直6から289cuinV8に至る豊富なエンジンラインナップも特徴であった。

 そのうちの289cuinV8エンジンは64年に登場するマスタングにも搭載されている!

▲63年型のフェアレーン500。221cuinV8(3.6リッターV8)を搭載している。

▲サンドシェルベージュのボディカラーに包まれた洗練された各部のデザインが際立つ。

 豊富なラインナップのなかでも221cuinV8(3.6リッターV8)エンジンは、当時のフルサイズ用V8よりも小さく軽量、かつ高効率な設計を採用しつつ145hp、最大トルク22.6kg−mを発生(当時のスペック)させた。

 エンジンラインナップの中には直6のスムーズさとV8のトルク感といった幅広い選択肢がチョイス可能であったが、221cuinV8は直6とV8の中間を絶妙についたような存在であり、まさにその当時の革命的なV8エンジンであった。

 で、フェアレーン500であるが、エクステリアは直線貴重の2ドアクーペ。サイドを走るクロームモールやリアの丸型テールライト(フィン)にフィフティーズ的特徴を見る。

 フロント丸型2灯のヘッドライトと広がりあるフロントグリルからリアテールに至るまで全域にデザイン的な洗練を見せ、クラシックかつ上品な雰囲気を醸し出している。

 一方で、インテリアはモケット調のシート、ツートーンダッシュボード、そしてフェアレーン500専用のメッキトリムが上質感&上級感を演出。シンプルでありながらも決して安っぽく見えない、こだわりのデザイン&設計がポイントである。

▲搭載される221cuinV8(3.6リッターV8)エンジンは、キャブレターやエアクリーナーが交換され、タワーバーも入るなどキリッとした現代的な走りが可能である。

▲熱対策としてアルミラジエーターや配線処理も行われている。

▲17インチの社外品のホイールを履く。エンジン系のチューンやタワーバー等と関連して走りの質を高めている。

 ということで、取材個体。63年型のフェアレーン500。この個体はBUBUビンテージの日本人スタッフが現地にてオーナーさんとの直接交渉のすえ入手した個体。

 決めては「メカニズムを含めた全体の完成度の高さ。オーナーさんの愛情が注がれた個体であった」とのこと。

 以前も記したが、仕入れの難しいビンテージ個体において、日本人の目利きが直接現地で仕入れる。それがBUBUビンテージのこだわり。この個体も直接見て触れて、そしてオーナーさんと話し、納得した上での仕入れ。

 だからこそ、驚くほど状態がいい。まるでフルレストアカーのごとき輝きとコンディションを誇る。

▲フロント丸型2灯のヘッドライトと広がりあるフロントグリルが特徴的。

▲サイドを走るクロームモールやリアの丸型テールライト(フィン)にフィフティーズ的特徴を見る。

▲砲弾型のリアテールに憧れる方は多い。

▲ボディ各部にはうっすらとピンストが入る。

 ボディカラーはサンドシェルベージュ。それに基づきインテリア各種もベージュとブラウンのツートーンで構成され、基本ノーマル状態を維持している(後付けメーター類で温度関係の管理をしているが)。

 エクステリアも全般的にコンディションは優れているが、インテリアとは異なり、こちらには各部に手が入っている。例えば車高は若干下がり、ホイールも交換され、ボディ各部にはうっすらピンストが入る。だが、それらの個性が突出することなく、全体的に調和しているのがこの個体の特徴である。

 搭載エンジンは、221cuinV8(3.6リッターV8)で、キャブレターやエアクリーナーが交換され、熱対策としてアルミラジエーターや配線処理も行われる。

 またタワーバーが入ってることも特徴で、車高やホイールを含め、現代の道路事情にも対応した走行性能を保つようセッティングされている。

▲ボディカラーに基づいたベージュとブラウンのツートーンで構成される、フェアレーン500ならではのインテリア。

▲3連メーターは、使用されるフォントを含め、後に登場するフォードマスタングにも通じるデザインとオシャレさ。

▲組み合わされるミッションは2速AT。クリアタイプのATゲージも非常にオシャレなデザイン。

▲各部の純正装備品が今なおそのまま現存しているレアな個体。

 フォードフェアレーン500は、大き過ぎず、遅すぎず、けれど安っぽくないクルマを追求した結果、誕生したインターミディエートの傑作と言える存在。

 上質なデザイン、十分な性能、そして実用性を絶妙なバランスで保ち、かつV8エンジン搭載=バランスの良さこそがフェアレーン500の特徴であり、なかでも221cuinV8搭載モデルは当時の理想的組み合わせとも言われていた。

 小型ボディに小排気量V8という組み合わせは、のちに登場するフォードマスタングにも直結する思想であり、すなわちフェアレーンには60年代フォードの「知性」が宿っていたのである。

 そんな個体が今、目の前にある。その当時の情景を思い描きながら、存分に走りが楽しめる良好な状態で。前オーナーの痕跡(カスタマイズ等)が各部に残っているが、それがカリフォルニア在住のオーナーによるものと知れば何故か愛おしくも感じる。

 この個体には写真からでは感じ得ない空気感が宿っているから、フェアレーン500を探していた方がいるなら、是非実車を見てみて欲しいと思う。

▲インテリアにおいては後付けメーターのみ手が加えられている。

▲ドア内張りパネルも非常に洒落たデザイン。ウインドーレギュレーターもスムーズ極まりない。またドア下りは皆無である。

▲インテリア全体の雰囲気とシートがマッチした抜群の洗練性を見せる。60年代当時にこの出来栄えとは見事の一言。

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