1990年にブロンコIIの後継車として登場した初代エクスプローラーは、強靭なラダーフレームを持ち、4リッターV6OHVエンジンを搭載したSUVであった。
ここで紹介するエクスプローラーは1994年から1999年まで続いたその2代目モデル。しかも2ドアボディで4リッターSOHCエンジン搭載車。2ドアモデルは、1994年からエクスプローラー・エクスペディションという名称で正規輸入され、4ドアが1996年から右ハンドル化されたにもかかわらず、2ドアは左ハンドル仕様のみであった。
90年にデビューしたエクスプローラーの2代目モデルには、エクステリアの大幅変更が施され、空力を考慮した丸みを帯びたデザインへと進化した。エンジンは、4リッター(3958cc)V6 OHVを搭載し、162ps、トルク31.1kg-mを発生。それとともに、新4リッター(4009cc) V6 SOHCが新たにバリエーションに加わり、210ps、トルク34.4kg-mを発生した。駆動方式はコントロールトラック4WDと呼ばれる自動制御式で、走行状況に合わせて駆動力を配分するタイプである。ちなみにグレードも各種あり、「リミテッド」、「エディーバウアー」、「XLT」、「XL」、それに2ドアボディの「エクスペディション(EXPEDITION)」などが存在。ここで紹介するエクスプローラーは、 V6 SOHCを搭載した97年型の2ドア・エクスペディションとなる。
クルマ(アメ車)はやっぱり乗って見なくちゃ分からない!。たとえば、2000年型、実走行1万キロのD車ともなれば、仮にそれが11年前の中古車だとしても、「極上の部類に属するクルマかもしれないなぁ」と、ある程度は予想できるはず。たとえそれがネット上の写真だけを見たとしても。
だが、この4万4500キロ走行の、しかも97年型2ドアSUVを見て、「へぇ〜」と思う方はいるかもしれないが、その個体が「調子良さそう」だと思う方が、一体どれだけいるだろうか? しかも58万円。14年前の中古車としてもかなり安いと思うし、この情報だけを頼りにするならば、大方の読者が「それなりかな?」と想像するに違いない。
実は筆者もそのうちの一人だった(店頭で実際にその個体を目にしても、それまでの予想を裏切るようなことはなかったし)。第一印象は、14年落ちの普通の中古車だった。
撮影に際して、代表の小川氏とともに試乗を開始した。改めて車両について聞くと、97年型フォードエクスプロラーの2ドアモデル。4リッターSOHCエンジンを搭載したD車である。現状、リア荷室にキャンピングキットを搭載し、8ナンバー登録となっている。車両価格は58万円。
撮影場所につき、いよいよ試乗である。事前の概要を頭に入れ中古車と向き合う。これまでに15年、ざっと500台以上の中古車に乗ってきたので、ある程度の経験値はあると自負しているし、何というか、中古車って運転席でも助手席でも、乗った第一印象でだいたいわかる(気がする)。酷いのは酷いし、それなりはそれなりだし、良いものは良い。当たり前だが、この第一印象こそが、重要!
だがこのエクスプローラー、最初に助手席に座ったのだが、そのシートが非常にふかふかで、意外にヤレていないことに驚いた。そして走っても骨太な感じがまだまだ十分に残った、非常にたくましい走りが可能だった。実際に運転させてもらうと、まずステアリングの反応が非常にシッカリしている。しかもガッチリしたボディの感覚は、「さすがラダーフレーム」と唸るほど剛性感が伝わってくるし、ブレーキなどのタッチもかなりのレベル。第一印象こそ14年落ちの普通の中古車だったが、この時点で、当初の予想からかなりの方向修正が必要だった。
試乗した場所は銚子界隈で、アップダウンや道幅の増幅など、知らない道ということもあり、かなり気を遣う運転だったが、クルマが余計な動きをほとんどせず、ドライバーの意図した、予測通りの動きを確実に遂行してくれるため、そういった道でもかなり楽しい走りが可能だった。
撮影に際して各部を見て行くと、足回りにはビルシュタインのショックが装着されており、これが動きのダイレクト感を高めてくれていた可能性が高いと発見。エンジンルームは、初見だが、かなりキレイな部類に属すると感じた。しかもそれは、この取材のために手を入れた感じ(人工的なギトギト感)ではなく、ある程度定期的にメンテナンス等をしていたような自然なヤレ方をしているのが分かる。
一方、内装にはそれなりの使用感が各部に見られた。インパネ周りには以前に使用されていたナビかレーダーのような跡がはっきりと分かるし、スイッチ類にもそういった使用感が残る。だが、それら各部の動作機能に衰えや異常はまったく見られなかったことは報告しておこう。
余談なのだが、このクルマの販売元であるガレージジョーカーというのは、非常に面白いアメ車屋さんである。聞けば「売れるクルマを探して売るよりも、売りたいクルマを売る」という。代表の小川氏が、その辺りをミュージシャン話に例えて語ってくれた。
「たとえばさ、今ってグループ組んで流行っぽいメロディにして、イマドキの振り付けいっぱい入れてさ〜、そんな感じで歌えば売れそうな感じがするじゃん。だけど、そういった流行を追いかける人々が大勢いる一方で、コダワリのある奴らってのもいてさ〜。そういった奴らってあえて『歌いたい曲』を歌うわけよ。売れるとか売れないとか関係なくね、自分たちのメッセージを発するんだよ。そういうものが商売として成り立つかどうかなんて関係なくさ。実際に商売になっていない方が多いかもしれないんだけどね(笑)。
クルマも同じなんだよ。うちのクルマたちは、ボクが自分で仕入れているアメ車ばかりなんだけど、流行とか売れる売れないとか関係なく、アメ車が好きなボクが自分のコダワリで選んだものなの。そのコダワリをあえて言葉で表せば「個性と走り」になるかな。うちの中古車をみてもらえればわかるけど、なんら脈絡のないラインナップ。どれも個性的だよね。けど、商品として出す前に走るということに関してだけは、不満が出ないようにやってる。1台1台に『ここを味わって欲しい』というメッセージを込めて整備してるんだよね」
ちなみに小川氏は、自ら整備士の資格を持つメカニックでもある。氏が自ら仕入れた中古車は、走行距離数にとらわれない、実践的な目利きによるものなのだ。
こういう話を聞くと、このエクスプローラー、なんとなく分かります!。ショップとしてのメッセージが込められた1台。つまり、見栄えや内装のキレイさとか、そういった目に見える部分ではなく、中身にコダワった1台。中身とはつまり、エンジンとか走りとかそうった実の部分。
だからか、一見すると普通の14年落ち中古車。だがその実、走ると驚くほど良く走るかなりの上物。
パッと見のキレイさにこだわる人には向かないかもしれないが、『アメ車』が大好きという方にはたまらないほど輝いて見えるはずだ。
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