まずは工場にて最近の修理事情について聞いてみたが、これまでとさほど変化はないという。すなわち、以前から続く定期整備や継続車検、改善作業といった通常整備が中心であり、これまで通りのクオリティで対応している。
以前よく記事内容にしていた難題修理に関しても、今やほとんどないという。ただし、それはこれまでの経験とノウハウ等の集積によって普通に修理対応が可能になっているという意味であり=難題に当てはまる事例は今や全くないということで、日々進化しているクワッドドライブならではとも言えるかもしれない。
そんなメカニック業務に勤しむかたわら、林氏が昨年から続けているのがASEのライセンス取得への勉強である。ASE=アメリカの整備士資格「ASE(Automotive Service Excellence)」のことであり、自動車整備士としての技術レベルを証明する一つの指標として、アメリカだけでなくカナダやメキシコなどでも広く認知されている資格。
この資格取得のため日夜勉強を続けており、昨年から複数回渡航し試験を受けている。今現在3種類の資格を取得済みで、次回は4月もしくは5月辺りを予定しているという。

▲通常整備を受ける現代的なアメ車たち。修理事情に関してはこれまでとさほど変わらないという。
ASE取得の試験は各種目ごとに8種類(8回試験を受ける必要)あり、それら全てに合格すると「ASE MASTER MECHANIC(マスターテクニシャン)」を取得する。ただし有効期限は5年間である(=再び試験を受け同じ過程を繰り返す必要あり)。
そしてこの段階で、さらなる高みになる「Advanced level engine performance specialist」の試験資格を得ることが可能になり、合格すればASE取得の最高レベルに達するという流れ。林氏は今、アドバンスレベル取得のための段階を経ている最中であり、日々の業務を終えたのち、毎夜勉強に励んでいる。
ちなみに試験は全て英語であるから、試験対応のための勉強ももちろん全て英語。普段英語を使っていない日本人がASEを取得するためには、メカニックの実技を磨くとともに英語の勉強も行わなくてはならない。
それにしても日本国内屈指のメカニックとして名実ともに全てを得た林氏がなぜ、今そこまでするのか。

▲日々の業務の傍らASE取得のための勉強を続けており、それらは全て英語で行なわれている。

▲こちらがASE取得試験に合格して得た資格証。
「メカニック歴26年超ですが、改めて勉強してみると色々忘れていることがあるんです。日々の業務はいわゆる『応用編』ばかりですから、基本に立ち返るという意味でも試験は価値あることだと思っています。また、新しい気づきも結構あるんです。アメリカは自動車大国でもありますから、日本の資格とは難易度が大きく異なります。だから、そこに向かうことで新しい発見をしていることにも意味があるとも思っています」
林氏の口癖は「常に進化する」というもの。おそらく資格取得に向け取り組むことで、あらゆる事例が経験値に繋がり、林氏のさらなる成長に繋がっているのだろう。「2027年中にはマスターテクニシャンを取得する」という決意表明もしてくれた。
で、AES取得試験に向かうため渡米した林氏は、ロスでWaymo(ウェイモ)に乗り、またテスラのレンタカーを借りFSDを堪能したといい、話題はそちらへ移っていった。

▲写真はハリウッドのテスラダイナーの写真で、充電スポットとエンターテインメントを融合した場所。

▲無人の完全自動運転のタクシーのウェイモにも乗り自動運転を体感してきた。

▲充電中に食事したり映画鑑賞したりテスラグッズを買い物したりと、充電時間を有意義に使えるスポットが充実している。
ウェイモとは、無人の完全自動運転のタクシーであり、テスラのFSDとは、テスラ社が誇る完全自動運転のことで、FSDに関しては2024年夏に体感しているから今回は二度目の経験になるというが、林氏はFSDの熟成レベルの進化に衝撃を受けたという。
「確かにウェイモも素晴らしかったですが、ウエイモは現状、米国の都市部(フェニックス、サンフランシスコ、ロサンゼルス)で実用化されているのみですから(走れる地区が限られる)、そこがFSDとは全く違う部分です。テスラのFSDは、それに乗ってどこへでも行けます。しかもその際、ハンドルさばき、アクセルオンオフ、ブレーキ、さらにはウインカー操作まで、すべてを自動で行ってくれます。さらにGrokがインストールされているのでクルマとAIと会話しながら目的地を設定してもらったり、ルートや一日のプランを提案してもらうことも可能なんです。もちろんAIと対話しながら目的地に向かうことも出来ます。
2024年に乗った時は、何かあった時の対応のために、常に手や足を近くに置き、対応の準備をしておく必要がありましたが、最新のレベルではそういった対応の準備は全く必要ありません。乗員として前を見ておく必要性はあるんですが、運転自体に必要な動作は全部クルマがやってくれますから、完全自動運転と言ってもいいレベルだと思います。交差点や合流といった複雑な場合でも、至極スムーズに運転してくれるので、昨年からの進化&熟成という意味では物凄いレベルだと思います。そういう意味では基本的な使用方法を理解すればとても安全と言えると思います。今回の使用で不安になる走行は一度もありませんでした」
*この記事の末尾にテスラFSDの体感動画がリンクされていますので、ぜひご覧ください。

▲テスラダイナーではダイナー近くまで行くと、自動的にテスラのスクリーンにダイナーのメニューが表示され、そこからモバイルオーダーが可能。用意が出来ると車まで届けてくれる。もちろんダイナーでの食事もできる。

▲充電設備がテスラから企業向けに販売されていることもあり、将来的に、ガソリンスタンドがこのような施設に置き換わっていくのではないか、と林氏は予想している。
行きたいところをナビでセットし走り出すと、目的地まで人間が介入せず行ってくれ、最後は目的地駐車場の空きスペースを探し、駐車までしてくれるというのだから恐れ入る。だが、それと同時に悲しい思いも生じてきたという。
「アメリカで乗ったテスラ車と同じシステムを積むモデル3に日本で乗っているのに、同じレベルの自動運転が日本では体感できそうにもないことが残念でなりません」
日本では、未だ規制されているため、アメリカ本国でのFSDをフルで体感することは不可能である。この部分に踏み込むとかなり長くなるので割愛するが、要するにテスラ車だけが先んじて前進することが許されないという、いわゆる護送船団方式のような仕組みによって日本では規制されており、もっと言えば、トヨタ待ち、の状態が続いている。
しかもトヨタが今採用実験している技術とテスラ車の技術が別物というところも難ありで、日本としてはトヨタ推しのような感じであるのだろう。だから、アメリカで素晴らしい体験をしてきた林氏が、日本に戻り愛車に乗って悲しい思いをするというのがよく分かる。
「それでもテスラ車自体の魅力が半減するわけではありませんからね。楽しめる範囲で楽しむといったところでしょうか」

▲愛車のモデル3に触れながらロスでの経験を話してくれた林氏。日本ではフルのFSDを体感することはできないが、テスラのクルマとしての魅力は非常に高いと実感している。

▲最近の物理的なボタン操作が多いEVよりは、テスラのようなタッチパネルに集約されている、スマホ的なEVの方が、近未来的で好みという。
林氏は今、中古車で高年式のモデルXを探しているというから、今年中には増車されるかもしれない。また同時にラムやダッジデュランゴにも注目しているという。
「ラムやデュランゴに関してはヘルキャットエンジンを搭載したラムTRXとデュランゴヘルキャットですね。ともに最後のヘルキャットエンジンということで、新車で買って置いておきたいという思いがありますね」
ここ数年、研究材料としてテスラ車ばかり、かなりの数乗ってきた反動だろうか、最後の最後にヘルキャットエンジンに興味を抱くとは。やはりアメ車のスーパーメカニックとして血が騒ぐのだろう。ひょっとすると、年末あたりにはどちらかの実車が見られるかもしれない。林氏のASE取得やテスラ研究に関しての取材は今後も継続していく。
なお、下記の動画は林氏が現地で体感したFSDの動画である。撮影も林氏自身が行っている。「nearby supermarket(近くのスーパーマーケットへ)」と指示し、その後自動運転にてスーパーマーケットまで行く。見れば分かるが感動モノの自動運転である。
(撮影:クワッドドライブ 林)
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