更新日:2014.06.27
文/石山英次 写真/古閑章郎
ここで紹介しているフォードエクスプローラーは2006年に登場した型であり(~2010年)、取材車両は2009年モデルとなる。われわれはこの2006年に登場した型を通称4代目モデルと呼んでいるが、この4代目は、それ以前の3代目モデルにあった難をすべて消し去り、一躍人気モデルへと浮上していった。3代目モデルは、たしかに知名度はあったものの、際立った特徴があったわけではなかったのだ。
だが2006年以降の4代目では、そこにいろいろな進化がもたらされたのである。まずフロントマスクが一新され力強さが加わった。さらに驚くのがインテリアの変化。それまでの質素な空間が180度生まれ変わり、モダンな雰囲気を造り上げていた。全体の構成は相変わらずシンプルなのだが、メーターパネルやセンターコンソールが上品かつ端正なものとなり、それまでの常識では考えられないほどの変化が加えられたのである。
ちなみに、当時2タイプのグレードが用意され、V8を積む上級モデルのエディーバウアーには本革シートが奢られ高級感もプラスされた。3代目までは右ハンドル仕様がメインだったが、この4代目からは左ハンドルが用意されたことも大きな変化であった。
エンジンは、4.6リッターという排気量は変わらぬまま、シリンダーヘッドが一新され、吸排気ともに可変バルブタイミングシステムを採用する等して296ps、最大トルク41.5kg-mを発生させた。これは3代目と比較して54ps、トルク2.5kg-mものアップを果たしたことになる。それを6速ATと組み合わせることで、旧モデルとは別次元の性能がもたらされたのである。一方4リッターV6は旧モデルと同じスペック(5速AT)のままだったのが惜しいが…。
そんなエクスプローラーの2009年型、V8エディーバウアーの6万7000キロ走行車に試乗した。
搭載されるエンジンは4.6リッターV8。シリンダーヘッドが一新され、吸排気ともに可変バルブタイミングシステムを採用する等して、296ps、トルク41.5kg-mを発生させ、それを6速ATで駆動する。エンジンをかけた瞬間に車内がブルッと震え、その直後からシュルシュル…とV8独特のアイドリング音を響かせる。
これ以前の質素なモデルとは明確に変わったインテリア。モダンな雰囲気が加わり、車格に見合う高級感もプラスされた。エクステリア、インテリア共に華やかさが増したことで、名実共にミドルクラスSUVの頂点に君臨したのである。
上級モデルのエディーバウアーには本革シートが奢られる。これだけでも車内の雰囲気がまったく異なるから不思議である。シートはアメ車特有の肉厚なものであり、独特の乗り味を示す。
なくなって久しいV8エンジンを操り街中を走ると、低速トルクの強さがよくわかる。また2000回転を越えてからのサウンドも固有のモノであり、楽しい。たしかに燃費を気にすることはあるかもしれないが、それをも越える面白さを与えてくれる。
性能アップを得た4代目エクスプローラーV8モデルは、乗ると完全に別物の雰囲気だった。パワーやトルクの恩恵はもちろんだが、ボディの剛性や足回りの安定性は旧モデル以上に進化しており、背の高いSUVにありがちな大げさなロールやピッチングは上手に抑え込まれ、想像以上の安定性が魅力である。ボディのガッチリ感&骨太感も不変であり、過去の経験から言っても、まだ10年くらいはビクともしないような硬質な感触であった。
パワーアップしたV8エンジンは、豊かなトルク感が味わえてしかもスムーズ。もちろんアクセルを思い切り踏みつければレブリミットの6250回転まで一気にフル加速し、しかも速い。その際のV8サウンドも出色だ(忘れかけていた音色である)。
正直、このクルマの新車当時は「V6も良い」という原稿を書いたこともあるが、中古車となった今は、「あえてV8に乗らなきゃ意味がない」と言いたい。そのくらいの味わいである(これをあえて感じるためにこそ乗る意味がある)。
このクルマが新車時だった2006年から2010年当時は、他にも「アメリカ」を感じさせる選択肢は多々あったかもしれないが、時間が経った今、そして現行5代目モデルに進化した今、こういった質実剛健的で頼もしさを感じさせるSUVは皆無になった。
だからこそ、まだ手に入れられる個体が残っているうちに、一度体験してみることをオススメしたい。フォード謹製V8エンジンを搭載したSUVは、そのうちなくなってしまうだろうし。
ミドルクラスサイズのSUVに三列目シートというコンセプト自体がエクスプローラーの真骨頂であった。実際に使える三列目シートの作りも良い。撮影車は、全体的にキレイな室内空間を維持しており、三列目に至っては使用感がほとんどなかったのもオススメ理由のひとつ。
さすがに三列目シートを起こしたままだと、リアの荷室空間はご覧のような状況を示す。
ただ、折り畳んでしまえばさすがアメ車、広大な荷室が現れる。荷室にも使用感がほとんどなく、中古車としての程度の良さがひしひしと伝わってくる。
着座姿勢は、いわゆるアメリカンSUV的なモノである。アップライトな姿勢を保っているので視界良く、またハンドリングやブレーキングも小気味良いので、誰もが安楽にドライブできるだろう。
東京の中心部に位置するフォード江戸川。葛西橋通りに位置するブルーオーバルの看板を目にする方も多いのではないだろうか。そんなフォード江戸川店に勤務する30年のベテラン・鹿山マネージャーにエクスプローラーについて聞いてみた。
「価格的な接しやすさもあってか、認定中古車の中で一番動きのあるモデルがこの型のエクスプローラーですね。しかも現行モデルにV8がなくなったことで、アメリカンな雰囲気を求める向きには絶好の選択肢となっているようです。エンジンも、タイミングベルトが使用されていることなく、タイミングチェーンなので、距離が伸びてもメンテナンスが比較的楽というのもあります。もちろん耐久性もあり、今となっては味もある。ただ、現行型にある『洗練』はないですから、燃費は望めないですね(笑)。ですが、割り切っている方がたくさんいらっしゃるのか、この型はほんとによく動きます」
実際に試乗して分かったが、乗っていて車体の強さがハッキリ伝わってくる。そういうクルマって今では非常に少なくなったが、このエクスプローラーは今乗ると懐かしさと特別な感覚に見舞われる。
「もともと頑強なフレームボディのSUVだから、日本車ベースで考えるわれわれの感覚とはまったく違う次元の耐久性がありますよね。そういったガッチリした強さにアメリカを感じる方が多いのかもしれません。ですから、われわれ認定中古車のベース基準に収まっている車両なら、間違いなくシッカリした車両が手に入るでしょう」
江戸川店は土地柄、店舗に認定中古車の在庫車が置けないために、少し離れた場所に置いてあるという。だが常時10~15台程度の在庫車はあるということで、またネットにはたくさんの情報を掲載しているということで、気軽に問い合わせしてほしいということだ。取材車両もそうだが、現在月2万円程度の支払い額でも購入可能な領域に入ってきており(もちろん、ローン頭金、支払い年月にもよるが)、動きが激しくなっているということである。
最大で7年落ちの中古車までが認定のベース車両として認められるからこそ、この型のエクスプローラーは、今オススメであるという。ベースの耐久性がなにより高く、特別な弱点もなく、維持するにもあまり気を使うことがない。さらにV8エンジンという武器もあるからである。
フォードTOKYO江戸川店
住所:東京都江戸川区西葛西3-8-16
電話番号:03-3680-3491
営業時間:10時~19時
サービス受付時間:10時~17時
定休日:火曜日
フォードディーラーならではの質の高いアフターサービスが受けられる工場を完備している。
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■歴代エクスプローラー変遷(3代目~現行)
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