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[特集]

超短命なハイパフォーマンスセダンに、今乗るための方法とは?

シボレー インパラSS (CHEVROLET IMPALA SS)リニューアル vol.1

伝説の名車が復活する行程を一挙公開

90年代アメ車の中でも伝説の1台として、今なお人気の高いシボレー インパラSS。そのインパラSSを「リニューアルして乗る」という話を聞きつけ早速取材に行ってきた。伝説の名車には、まずは足回りから手を入れるのである。

更新日:2012.12.25

文/石山英次 写真/古閑章郎

取材協力/エイブル TEL 0448571836 [ホームページ] [詳細情報]

マッスルスピリットを持ったフルサイズセダン

 インパラSSは1994年に登場し、専用パーツとブラックカラーで統一されたスポーティな雰囲気がウリの高性能FRセダンだった。
 
 卓越したエアロダイナミクス、エレクトロニクス、安全性、人間工学という90年代の最新技術が駆使され、60年代から70年代にかけてのシボレースーパースポーツ(SS)モデル、いわゆるマッスルカーたちが持っていたスピリットを引き継ぐクルマとして登場したのである。

 ブラックで被われたボディには、同色のモールディング、専用デザインのラジエータグリル、リアスポイラー、インパラSSエンブレム、そしてP255/50ZR17のハイパフォーマンスタイヤとアルミホイールが奢られ、一種独特のムードを放っている。

 インテリアでは、兄弟車であるカプリスがベンチシートの6人乗り仕様なのに対し、後年のインパラはフロアシフトとセミバケットタイプのセパレートシートを持った5人乗りのモデル。

 インパネもデジタルではなくアナログメーターが与えられた。また、トランスミッションは4L60‐Eと呼ばれる4速オーバードライブ付きATが搭載されたが、94、95年がコラムシフト、96年からはフロアシフトへと変更されている。

 インパラSSのもうひとつの特徴、それはコルベットにも搭載されていた5.7リッターLT1V8エンジンが搭載されていたこと。当時ではかなりパワフルな260hpものパワーが発揮されたスーパーセダンだったのである。

 ちなみに、前述した兄弟車であるカプリスとのメカニズム上の差は、大容量のクーリングシステム、トランスミッションオイルクーラー、より高いボディ剛性を実現するヘビーデューティフレーム、ド・カルボン式ショックアブソーバー、ローダウンスプリング、LSDなどを備えていたことである。

 兄弟車であるカプリスのスポーティ版という位置づけでもあったインパラだが、カプリスが生産中止となったことで、合わせて1996年に消滅。

 つまり1994年に登場し1996年に製産中止という、たった3年間のみの超短命なモデルであった。だがその人気は今なお高く、一部では「伝説の名車」として崇められているほどである。

1994年から1996年までのたった3年間しか製造されなかった悲運の名車・シボレーインパラSS。マッスルカースピリットを持ったスポーティセダンであり、伸びやかでスマートなボディラインが大人のセダンに相応しいと、今再び評価されている。

3年に及ぶ製造期間のうち、最初の2年はコラムシフト&デジタルスピードメーターだったが、最終年となる96年ものだけはフロア4AT&アナログメーターとなる。

余談だが、2014年モデルとして復活した次期インパラは、フルサイズボディであるが、FFシャシーとなりV6エンジンを搭載する。

今の時代にはあり得ないほど大人なセダン

 個人的にもこの時代のインパラSSが醸し出す独特の雰囲気だ大好きだった。普通に乗っていてもちょっと強面に見える、一種独特のムード。
 だがその一方でアメリカ的おおらかさとスポーティセダンとしてのハンドリングを備える絶妙なるセッティング。
 そして今の時代のクルマ造りの原理原則では決して生まれない薄くて滑らかなボディライン。「古き良き」時代の産物まで振り返らなくとも、十分過ぎるほどアメリカンを体現している1台である。

 当時はギンギンにカスタムした車輌ばかりが目についたものだが、もし程度の良い車輌があれば今ならノーマルで乗っても面白いだろうとホンキで思う。なんせ今の時代にはあり得ないほど大人っぽいセダンなのだから(機能的にはまだまだ十分現役でいけるし)。

 と思っていたところ、絶妙なタイミングでインパラSSを所有しているエイブル代表の原氏から連絡が入った。実は「SSに少し手を入れて自分で乗る」というのである。

 個人的にも大好きな車輌であるし、90年代のサードカマロを生き返らせる術を知っているエイブルがインパラをどう仕上げるのか? にも興味があるし。早速うかがって話を聞き、作業を見せていただいた。

 原氏が所有しているインパラSSは96年型。つまり最終型のフロアシフト仕様である。現状でビルシュタインショックが入って約2センチ程度のローダウンがなされている以外はフルノーマルである。

取材車輌は96年型。ビルシュタインショックが装着され、2センチ程度のローダウンが行われいてる以外は、フルノーマル状態。実際に触れてみたが、こんな程度の個体があるなんて奇跡! と思うほどのコンディションである。

まずは足回りからということで、ハンドリングをつかさどるリンケージ部分のリニューアルに入る。ということで作業を開始した。

まずは「楽しく走れなければ意味がない」

 今回このインパラSSに乗るにあたりエイブルがあげたいくつかのポイントのうち、大きな柱となるのがアメリカンセダンとしての「乗り心地」とスポーティセダンとしての「ハンドリング」の両立。つまり、年式&走行距離および経年変化における劣化部分を解消し、その後味付けとしていくつかのパーツを試してみるというもの。

 ちなみに、まずは「乗ってどうなのか?」を第一とするために、エクステリアその他に関してはすべて後々、ということになった。まずは何よりも「楽しく走れなければ意味がない」というスタンスである。

「多くの方が誤解しているかもしれませんが、こういった古めの車輌の足回りを蘇らせるときに必要なのはショックを新しくしたり固めたり、またはコイルを換えたり固めたりするチューニングではないんです。本当に必要なのは、各部の劣化部分をひとつひとつ直してあげること。今回でいえばハンドリングをつかさどる各部パーツをリニューアルしてあげることなんです」

 エイブルが得意とするサードカマロ等のこれまでの実績と経験を踏まえた上で、インパラに施す作業も当然ながらハンドリングの関節部となるステアリングリンケージ各部のリニューアルだった。センターリンクにタイロッド、スリーブ、ボールジョイント上下、アイドラアーム等。

 こういった各部の交換は、修理ではなく、レストアでもなく、単純に、長い目で見た定期交換部品に過ぎないという。しかも思っているほど高価な作業ではないから嬉しい。

「2、3年で交換しろとは言いませんよね。ただ、サードカマロでもそうですが、そろそろ20年車になろうかというようなアメ車に関していえば、効果てきめんですよ。ちょっとずつのガタでも、20年経てばガタガタになっていることが想像できますよね?」

 筆者は、サードカマロの交換作業後の車輌に試乗した経験があるから想像がつくが、だが果たしてインパラSSにおいても同様にシャキッとするのであろうか? ということで、交換作業に入った。

センターリンクやタイロッド、スリーブ、ボールジョイント上下、アイドラアームと今回はもともと装着されていたビルシュタインのショックも新品に交換。写真は、手前が取り外したパーツで、上側にあるパーツがリニューアルするために装着する新品のパーツ類。

交換後の写真である。ショックが新品に代わり、リンケージ系のパーツも交換されているが、どんなに丁寧に作業をしても、交換後はアライメントに狂いが生じているはずだからチェックが必要になる。

この年代は定期的なグリスアップが必要だが、ご覧の通り作業済み。

一回り以上小さいクルマに感じられる

 そして終了後、早速試乗させてもらった。まずは交換直後ということで、正確なアライメント調整を受ける前段階ということを先に明記しておく。

 まず最初に感じるのが、もの凄い機敏なクルマであるということ。長年培ってきた「アメ車=このくらい」といった動きの反応よりも数段素早く機敏に動く。そしてだからこそ、インパラが一回り以上小さいクルマに感じられる。すなわち狙った通りに動く(ステアリングのデッドな領域がかなり減少している)。

 正直、「他のこともしたんではないですか?」と疑いたくなるくらいの動きの正確さ。この動きだけを見れば16年前のクルマとは到底思えない身のこなしである。もともとビルシュタインが入っており、この影響も多少はあるだろうが、基本ショックは上下動を制御するパーツだけに、ステアリングを右に左に切った時に影響を及ぼすのは、やっぱりステアリングリンケージ部分なのである。

 「これが本当のインパラSSなんだよ」と原氏はいうが、まさしくその通り。ノーマル状態のまま、劣化パーツを新品に交換しただけなのだから。

 その後の試乗も驚嘆の連続だったが、特に驚くのがわだちや段差でのふるまい。ステアリングが取られることもなく、ぶるぶるガタガタといった嫌な振動もまったくない。格段に洗練されているクルマに乗っているような印象をもたらしてくれる。過去においても、ここまでのインパラには乗ったことがない(というかここまでのアメ車のにも乗ったことがない…)、それほどの衝撃だった。

 後日、このインパラSSはアローバにてシム調整にいたるアライメントのチェックを受けて、さらに255/50/17インチの標準仕様をあえて235/55/17(外径は合わせてある)という肉厚サイズに変更してセッティングしている(後日試乗して変化を報告します)。
 
 「イマドキの大径、肉薄タイヤもいいんですが、まずはオリジナルのクルマの性格に合わせた大人仕様ということでセッティングしてみます。このセッティングが決まればこのまま行きますし、ダメならもとに戻してみますので」


 このエイブルの大人仕様のインパラSSを仕上げ中に、実はこの車輌に影響を受けたもう1台の95年型インパラSS(オーナーカー)が足回りの作業を受けることになった。この作業を含めた一連の流れについては、また次回ということで。
 つづく

作業終了後に早速試乗させてもらった。それまでの印象は「ダルい=それがアメ車の味」的な印象を当たり前のように持っていたが、このインパラは、ステアリングの無反応な領域がかなり狭まり、もの凄い機敏に反応する。またわだちなどでの反応や段差での衝撃も圧倒的に少なく、驚くほど洗練されたクルマに生まれ変わっている。

エイブル認定の試乗コースを数回にわけ試乗させてもらった後、アライメント調整を受けるために移動。

もともと255/50/17インチが標準のタイヤを今回は新たに235/55/17という肉厚サイズに変更してセッティングしている。乗り心地を含めた大人仕様とするためである。果たしてその効果は? アライメント後の変化と共に次回再試乗をお楽しみに。

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>>シボレーカマロ(サードカマロ)試乗 を見る

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