シボレーコルベットC7の最強モデル、いや、C7のみならず歴代史上最強モデルと謳われているC7コルベットZR1。
このクルマがワールドプレミアしたのが2017年のドバイモーターショー。そして2018年後半から2019年モデルとして発売が開始され、たった一年弱のみ販売されたモデルである。
いわゆるC7コルベット最終記念モデル。というのも、翌2020年からミッドシップのC8コルベットに生まれ変わることが決まっていたから。
すなわちC7時代=FRコルベットの最終モデルとしてGMがやれることすべてを詰め込んだ車両がこのZR1なのである。
で、その特徴的な最大のポイントがエンジン。6.2リッターLT5V8エンジンで755hp、最大トルク715lb-ftを発生させる。それに8速AT(7速MTもあった)が組み合わされる。
C7時代のZ06で当時問題となっていた熱対策を重点的に対応し、新たに4つのラジエーターを追加し計13に、そしてフロントの開口部を広げ熱対策をクリアし、さらにGMとして初となる二重燃料噴射システムを開発する等して755hpを達成。
このエンジン、当時のチャレンジャーヘルキャットの717hpを超えており、それでいて車重にしてざっと400kg程度はヘルキャットよりも軽いだけに、そのパフォーマンスの高さと言ったら恐るべきもの、というのは誰もが想像出来るだろう。
仮にヘルキャットレッドアイの797hpが相手であっても同等以上の速さを示すはずだ。
ちなみに当時のメーカー公表値では、ZR1クーペの最高速は340キロ超で、コンバーチブルも320キロを超えるという。さらに0~60マイルは3秒未満で走り、0~1/4マイル加速も10秒ちょい。しかも8速AT仕様である。
コンバーチブルとはいえ、その速さは超強烈の部類であり、その一方でトップはボタン操作で約25秒程度で開閉し、走行中も50キロ未満の速度なら開閉可能というから利便性も高い。日本でも十分に使えるコンバーチブルと言えるだろう。
非常に刺々しいフォルムに身を包むZR1であるが、この攻撃的なフロントマスクやその他エアロパーツもZR1の特徴の一つである。
多彩なカーボンパーツで組まれたエアロパッケージには二種類のリアウイングが設定され、撮影車に装備されたハイウイングはZTKパフォーマンスパッケージ装着車のみに与えられるウイングである。
取材車は、そのZTKトラックパフォーマンスパッケージを装着したコンバーチブルであり、当時の世界最速コンバーチブルかつラインナップ中の最高価格帯モデルである。
ちなみに、現在C8コルベットになってはいるが、未だこのC7ZR1のパフォーマンスを抜くことはできていない。C8Z06もすでにデビューしているが、それすらC7ZR1のパフォーマンスを超えることはできていないというのが現実である。
まあ、同じサーキットで周回を重ねればC8Z06の方がラップタイムは速いかもしれない。が、755hpのV8スーパーチャージャー+軽量FRボディがもたらす古典的な走りは、未だ多くの人々を熱狂させるに違いない。
筆者も久しぶりにC7コルベットを見たが、そしてその奥にC8コルベットもいたのだが、改めてC7コルベットのカッコよさを今感じるから、読者の中にもそういう方がきっといるに違いと思っている。
もちろん、C8コルベットが既存のアメ車ユーザー以外に、スーパーカー好きの方々からも多くの支持を得ているという事実を知りつつも、あえてC7は今の時代にも十分に通用するし、今だからこそあえてC7という方がいてもおかしくはないと思う。そのくらいレベルが高いことをZR1を通じて知ったのである。
さて、このZR1であるが、かつてスペース横浜が新車で販売した車両が下取り車として戻って来たもの。走行はなんと約430キロ(笑)
全く走っておらず、新車と言っても通ってしまいそうな新品の雰囲気を備えた1台。複数台所有の方にありがちなパターンと言えるかもしれないが、それにしても超極上車。そしてめちゃくちゃカッコいい。
たまたま偶然にも、スペース横浜のガレージにはC7ZR1やZ06、C8コルベット等が複数台止まっていたこともあり、まるでコルベット専門ショップのような光景が見受けられたが、だからこそ、C7ZR1 ZTKパッケージ装着車の完成度の高さと凄みが伝わってきたのである。
個人的には、高級スポーツカー及びスーパーカーが皆ミッドシップになり、いわゆるくさび形の幅広フォルムになってしまっていること=似たようなスタイリングのモデルを入手するよりも、この圧倒的な威圧感を発するFRコルベットを入手する方が、よほど満足感が高いのではないか、と思えてしまったのである。
先にも記した通り、スペース横浜には今現在C7からC8に至るまでの複数台の車両が展示されている。
それすなわち複雑化している現代車の整備に難なく対応可能という意味でもあり、同時に当該車両のGM製電子デバイスを使ったコンピューター診断やリコール、プログラムの更新等にも対応しているから(常に最新の状態にして納めてくれる)、個体の状態に不安を感じることなく性能をフルで楽しめるのである。
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