更新日:2025.02.26
文/田中辰也 写真/ゼネラルモータース / ステランティス
ひと昔前のアメリカ国内のパワー合戦は、707hpのチャレンジャーヘルキャットの独壇場だった。
それ以前は662hpを発生させたフォードシェルビーGT500が頂点で引っ張り、2015年に登場したヘルキャットが700hp越え。そしてその後717hp、797hp、807hpと進化させ、他の追随を許さず。
最終的には2023年に1025hpのチャレンジャーSRTデーモン170でフィナーレを飾る。ちなみにこのデーモン170は、ラストコール最終モデルであり、3300台の限定モデルであった。
ただし、一般的なハイオクガソリンで900hp、エタノール燃料使用で1025hpということだったから、実際には900hpというのが現実的だったのではないか(それでも十分に凄いが)。
そんな孤高の存在であったダッジチャレンジャーは2023年に生産終了し、その後も他メーカーからV8エンジンモデルが消滅。このままEVシフトが行われるはずだった・・・・。
▲2023年に登場したチャレンジャーSRTデーモン170は1025hpを発生させファンの度肝も抜いた。
▲ドラッグレースでは圧倒的な速さを実現。チャレンジャーヘルキャットの名を歴史に刻んだ。
が、2025年に他を圧倒する超絶スーパーモデルが登場する。そう、コルベットZR1。なんと1064hp。
V8エンジンが軒並み消え去っているなかでの1000hp越え。新たな環境性能をクリアすることができないから他メーカーからV8エンジンが消滅しているというのに、一体全体どうなっているのか?
この後に及んで1000hpのV8スーパーチャージャーが新規で登場できるなら、なぜヘルキャットエンジンは消滅したのだろう?
GMの技術力がそんなに凄いのか、もしくはダッジの首脳陣の怠慢か・・・・。いずれにせよ、アメリカンV8の火が消えないことが嬉しい。
しかもこの1064hpは、ポルシェ、フェラーリ、マクラーレン、ランボルギーニを抑え世界一。EVシフトを行いつつ、世界最高峰V8エンジンを製作するGMはやっぱり凄い。
▲2025年に登場したZR1。5.5リッターV8ツインターボDOHCエンジンで1064hp、最大トルク828lb-ftを発生させるモンスターマシン。
▲オプションのZTKパッケージ装着で、サーキットでの速さも格段に上がる。
さて、このコルベットZR1に搭載されるエンジンだが、LT7と呼ばれ、5.5リッターV8ツインターボDOHCエンジンで1064hp、最大トルク828lb-ftを発生させる。
フラットプレーンのクランクシャフトを使用した高回転型エンジンとなっており、コルベット史上最強のみならず、米国自動車メーカー最強のV8エンジンである。
恐らくだが、これがやりたいからこそのコルベットミッドシップ化だったのだろう。FRでは限界だったモアパワーをミッドシップで使いこなすスーパーカー。くわえてニュルを走り込んでいるからこその完成度。
全くの余談だが、C8コルベットには他にもバリエーションがあるが、それら全体の0〜60mph加速は以下の通り。
◼︎ノーマルクーペ:2.9秒1
◼︎Z06:2.6秒1
◼︎E-Ray:2.5秒1
◼︎ZR1:2.3秒1
全体的にコルベット自体の速さが際立っているのが分かるが、なかでのZR1の速さは特筆モノ。もはやドイツやイタリアのライバルたちに憧れる必要性は全くないと言っていいだろう。
▲FRでは限界だったモアパワーをミッドシップ化して可能に。そのためのC8コルベットであった。
2023年に登場したチャレンジャーSRTデーモン170は、最後の最後に登場した限定モデル、しかもエタノール燃料使用という、ある意味特殊仕様とも言っていい存在。
だが、コルベットZR1に関しては、最初から1000hpありきの前提で、C7までのFRからミッドシップへ移行させボディやシャシーを高いレベルで作り直し、さらにエンジンも量産前提で新規作成。
そういう意味では、ZR1はコルベット首脳陣の悲願達成とも言え、アメリカンV8の歴史の最後を飾るのに相応しい存在と言えるだろう。
もはやこのエンジンパワーを超えるアメリカンV8が登場することはないだろうし、アメ車史に確実に残る。ZR1は正規ディーラー車での登場は予定されていないが、是非とも手に入れたいスーパーコルベットである。
19,404円
PERFORMANCE
6DEGREES
19,998円
PERFORMANCE
6DEGREES
3,480円
MAINTENANCE
GDファクトリー千葉店
48,070円
EXTERIOR
6DEGREES