更新日:2015.07.27
文/石山英次 写真/古閑章郎
「トラブルがある? 部品代が高いのでは? というようなフレーズがひとつの合言葉のようになっていた時代があったのですが、それは一昔以上前の話であって、2007年以降に登場したマスタングからは本当に普通に乗れます」と語るのはフォード多摩ニュータウン店チーフメカニックの小林氏。
「とはいえクルマは機械の集合体です。何かが起こる可能性がまったくないわけじゃない。ただそれは、フォード車に限った話ではなく、他の輸入車、または国産車においても同じ話であって、アメ車だからといって、フォード車だからといって敬遠されたり、恐怖心を抱かれたりするような認識はずっと遠い過去のものですね」
筆者もこの辺の話は、これまでの十数年に及ぶ取材を通して実感している話であって、新車に関していえば他の輸入車や国産車と同レベルと考えてまず間違いない。デリケートなアメ車という認識はまさに遠い過去のものである。
「ただですね、コトコト異音がするとか、キシミ音がするとか、そういう部分がないわけではなかったんです。でもそれは、もともとのクオリティや工作精度の問題でもあって、また個体差もありましたから、一概にすべての車両に当てはまるわけではないですし、それらすべてがトラブルという話ではありません」
マスタングに関して言えば、『好きな方』が乗られる印象が強いのである程度のことに関しては許容範囲が広いというのだが、一方で国産等から乗り換えられたユーザーに関しては『音』についての質問が結構あったという。そういう場合はディーラーだけあって適切に対応してくれ、必ずチェックしてくれる。
「中には実際に足回りのマウント系にひび割れがあったりで、コトコトと異音が鳴っていた場合もありましたので、可能な限りの対応はさせていただきました。とはいえ、年々クオリティが良くなっているのは間違いなく、そういった音の部分もかなり減ったと思います。
実際に、メカニック的な観点から言えば、本当にこれといったトラブルが少ないクルマです。たとえば、エンジンは思っている以上に丈夫ですし、ミッションも同様に耐久性があると言えます。というのも、ある程度普通に乗っている状態であれば、芳醇なトルクに任せた穏やかな走りが可能であり、そうした走り方はエンジンやミッションにも優しいわけです。
とはいえ、本国と比較してストップ&ゴーが多い国なので、定期的に油脂類のチェックおよび交換が必要であり、ディーラー対応を適宜受けていればそれこそ壊れるとか耐久性がないというようなレベルの話は起きないわけです。ここら辺はアメリカ製の車両だからこその利点でもあると思います(本国では数十万キロ走るクルマもザラであるから)」
ということで、実際に気にするのはトラブルではなく、ブレーキやタイヤも含めた足回り等の消耗くらいだろうか。トラブルが少なく、根本的にすべてが丈夫なクルマだからこそ、それを支える足回りに関する消耗度には気をつけたい。
「足回りも基本的に丈夫なクルマですが、ブレーキパッドやタイヤといった消耗品は、あくまで消耗品ですから、マスタング自体の基本構造とは関係なく、走れば必ず消耗するわけです。そういった部分の管理だけは気をつけて欲しいですね」
年々クオリティを増してきたマスタングは、2015年モデルでフルモデルチェンジを行った。その人気と販売数はうなぎのぼりであり、フォードメカニック自身も太鼓判を押す。
「もはや、どのお方がお乗りになられても何の不満もなく、楽しんでいただけると思います」
新型マスタングが発売された。それによってこれまで見てきたマスタングが旧型になった。その当時欲しくても買えなかった車両が残念ながら新車で買えなくなったわけだ。だが、普通に考えれば中古車がある。となれば、選ぶべき中古は決まっている。そう認定中古車である。
ということで、このモニターに使用したマスタングに試乗させてもらった。試乗車は2013年型のV6モデル。走行距離は2万4000キロ弱。
2013年型は、マスタング自体にマイナーチェンジが行われており、フロントマスクやリアテールのデザインを変えている。同時にV6とV8比較を比較すれば、フロントグリルに若干の違いを伴うが、ホイールサイズが違う程度(V6が18インチ、V8が19インチ)。もちろん搭載されるエンジンの違いによりパワー&トルク数値が異なるのだが、それでも見た目の違いに大きな変更点がないのが嬉しい。
搭載されるエンジンは3.7リッターV6で309psを発生させる。車重は1600キロ弱で300ps超だから、普通に考えれば圧倒的なパワーである。現行最新マスタングが直4ターボエンジンで310ps超だから、考えようによってはそれと同様のパフォーマンスは期待できる。
試乗は、一般道を中心とした法定速度+αくらいの状態で小一時間、非常に有意義な時間だった。
まず、新型が発売された今となっても十分に魅力的だったこと。加えてV6モデルとはいえ、普通に走る上では十分にスポーティであり、下位モデルという印象がまったくないこと。
さらに、さすがは認定中古車。まるで新車のようなキレイなエンジンルームにも驚いたが、車内の質感や車両の動作フィーリングに中古車という粗さをほとんど感じさせることなく、若干のタイヤの消耗とマスタング特有のリアサスからの衝撃を感じた程度で、だからこそ、あえて旧型モデルを中古車で乗ろうというユーザーが増えるだろうと、真剣に思えたのである。
上記インタビューを見ればわかるが、ディーラーで新車を買えば、定期的なチェックを当然受けるわけだが、そうした車両だからこそメカニカル的なトラブルがあればその時点で100%修正されているだろうし、その他にも何かあればその時点で必ず対応を受けているはずである(万が一あればの話である)」。
だからこそ、経年変化、いわゆる新車からの目減り部分を試乗して確認し、気に入って購入すれば、楽しいマスタング生活を送ることが可能となるのだろう。
中古車というのは、中古であるからこそ、当然目減りしていて当たり前である。じゃなきゃ新車を買う人がいなくなる。ただ、その目減りも、モノと状況によっては最小限に抑えられている場合がある。
定期的なチェックを受けてきたディーラー車が、認定中古車となると、認定車両としての整備やクリーニングを別途受ける。そうやって、車両のコンディションが常に維持されることにより、その車両の第二の人生が始まるのだろうし、それを手に入れたオーナーは至福の時間を過ごすことができるのだろう。
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