“王者不在”の時代を乗り越え、キャデラックが再びフルサイズセダン市場へと乗り込んできた。STSとDTSの統合・後継車種として開発され、2010年のデトロイトショーで発表されたコンセプトを起源とするこのクルマの名前は「XTS」。巨大なアメリカの高級車マーケットを支配していたキャデラック黄金期を、このフラッグシップで取り戻そうというわけだ。
とはいっても回顧主義のノスタルジックなクルマではない。それが証拠にXTSは、キャデラックというブランドを新しい方向に導くための先導でもあるからだ。
シャシーにはシボレーインパラなどと共通の“イプシロンアーキテクチャ”と呼ばれるイプシロンIIプラットフォームを採用。
駆動方式はDTSと同じくFFレイアウトとなっているが(本国には4WDもラインナップされている)、STSの後継という側面から見た場合はセビル以来の方式となっている。
ちなみにエンジンはLFXと呼ばれる3.6リッター直噴DOHC V6を搭載し、新しい時代のフラッグシップを構成している。このエンジンは、308ps、最大トルク36.5kg-mを5200回転で発生させる。
そして優雅でエレガントなアート&サイエンス・デザインに基づいたスタイリングには、先進的かつダイナミックなものが与えられた。
フロントフェイスには縦型のヘッドランプが装備され、全長5130×全幅1850×全高1510ミリという巨大なボディのファーストインプレッションを刺激的に演出。さらに往年の時代へのオマージュとして、ルーフラインやテールフィンをモチーフにしたデザインを施している点も見逃せない。先進と伝統を巧みに交錯させたビジュアルこそXTSの真骨頂というわけだ。
さて、往年のキャデラック・ファンにとって王者復活は喜ばしいはずだが、FFレイアウトには異論を唱える人も少なくないだろう。しかし前モデルのドゥビルやDTSで培われたFFシャシーのコントロール性は侮れず、さらに熟成のマグネティックライドコントロールがもたらすハンドリングは、ハイウェイで、ワインディングで、そしてストリートで良好なレスポンスを見せ付けてくれるだけに、乗れば必ずや納得できるに違いない。
ゴルフバッグを縦に4本収納できるトランクや広大なインテリア空間の恩恵だって無視できないはずだ。
また、電動サンルーフや「CUE」と呼ばれるインフォテインメントシステムを備えるなど、装備は充実。さらに衝突の危険を感知するとシートを振動させて警告する「セーフティアラートドライバーシート」や、「車線逸脱警告機能」、「サイドブラインドゾーンアラート」など、最新キャデラックご自慢の安全装備も多数採用されている。
XTSは伝統的なアメリカン・ラグジュアリーカーの正統的な伝承車と断定できる。長きにわたり失われていた「ブランド復活劇」の第一幕で主役を任されたXTSは、十分な存在感を示したといえるだろう。
最後に、現行キャデラックのラインナップをまとめると、ATS、CTS、XTSにELRとなり、SUV系がSRXクロスオーバーにエスカレードという大きく分けて計6ラインナップ。そのうち、ATS、CTS、SRXクロスオーバー、エスカレードは正規ディーラー車として日本に上陸しており、XTSはヤナセにより輸入されている。
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