まずエクスプローラーのラインナップを整理しよう。2011年5月から正規販売が開始された時点ではV6エンジンのみの販売だった。その後、直4エコブーストエンジンが追加され、発売が開始されたのが2012年の2月末。つまり、現在ではV6、直4というエンジン2機種の3モデルラインナップとなる。
●エクスプローラー LIMITED:V6/530万円
●エクスプローラー XLT:V6/440万円
●エクスプローラー XLTエコブースト:直4ターボ/440万円
上記を見て、おや? っと思った方もいるだろう。上2台のV6エンジンは、装備の違いによるものだから価格差にも納得できる。ところが、XLT V6とXLT 直4の価格が同一。なんでだろうか?
●エクスプローラー LIMITED:V6/AWD
●エクスプローラー XLT:V6/AWD
●エクスプローラー XLTエコブースト:直4ターボ/FF
V6エンジンを搭載するモデルは基本的に4WDである。一方直4エコブーストはFFモデル(エクスプローラーがすでにFFベースの4駆になっていることは、いまさら説明しないが)。直4エコブーストを選択すると自動的に4駆は選べないということになる。
一方でV6エンジンを希望すれば、自動的に4駆となり、FFは選べない。価格で判断せずに、エンジンや駆動方式でモデルをセレクトするならば、自動的に選べるモデルが決まってしまうのである。
だからこその同一価格なのだろうか(勝手な推測)。XLT V6とXLT 直4とでは、実は装備にこれまた違いがあるのだが、ユーザーが迷った場合にも「とりあえず、同じ価格なんだよな〜」と、どちらも積極的に選べるような戦略的な価格設定がなされているのであろう(選ぶ側も心情的にも納得できるはずだ)。ちなみにAWDとFFでは車重等も異なるから、動力性能も確実に異なるはずである。
●エクスプローラーV6:4WD/車重:2170kg(LIMITED)
●エクスプローラーV6:4WD/車重:2130kg(XLT)
●エクスプローラー直4:FF/車重:2020kg
今回試乗するV6モデルは、LIMITED。V6にはこのLIMITEDとXLTの2つのラインナップが存在し、価格差が90万円。その差の内訳は基本的な装備内容によるものだ。たとえば本革シートだったり、サンルーフだったり、ボディカラーだったり。動力性能には違いがないので、そこはオーナー次第ということになるだろう。ただ、これら装備によって車重が40kg(約子供一人分)違うので、何かしらの差が出る可能性はある。
V6モデルを借り出して、都内と首都高をメインに走ってみた。以前直4エコブーストに試乗しているので、その差にも触れることができるだろう。
相変わらず、見た目の印象と乗ってみた感覚が違うクルマである。しかもその差は、他のどんなアメ車よりも大きい。外からみると、普通にアメリカンSUVしているなぁと。だが乗ると、明らかにデカい。外から見た感覚よりも1.5倍くらい大きなクルマを操っている感覚である。だから慣れるまでが大変。自分の感覚が慣れるまでは、おっかなびっくりだ。
たとえば、良く使うフレーズに「ウインドーに片肘ついて、片手運転」みたいなものがあるのだが、エクスプローラーの場合は、「ここにドアがあるだろう」と肘をつこうとすると、そこにドアはない。さらに10センチくらい外側まで、肘を伸ばす必要があるのだ(少なくとも自分には)。
だがこれは、車内空間が予想外に広いということを意味しているのであって、決して中傷しているわけではない。他車との比較でいえば、運転席周りの空間がもの凄く広いので、その感覚に慣れるまでに、結構時間がかかるという意味だ。で、それが原因で車両感覚を掴むまでにも時間がかかるのだが、一時間も走ればとりあえずは普通に走行可能となる。
前置きが長過ぎたが、V6エクスプローラー、結構いいです。個人的な評価としては直4エンジンよりもパワー感があり、スムーズかつダイレクト。踏み込んだ際の咆哮もちょっぴりアメ車っぽい。またボディ全体を含めた重厚感が好ましい。直4もかなりキビキビ走るし、パワー不足を感じることはないのだが、V6比でいえば線の細さは否めない。しかもアクセルのつきは、明らかにV6の方がいい。
●3.5リッターV6:294ps/6,500rpm、トルク35.2kg-m/4,000rpm
●2リッター直4エコブースト:243ps/5,500rpm、トルク37.3kg-m/3,000rpm
都内を徘徊し、事務所付近に戻り、狭い通りなどをわざと移動しながら試乗してみた。
ボディの大きさに慣れさえすれば、エクスプローラーの評価はかなり高い。ボディの剛性や足回りの確実性、そしてエンジンの加速、ハンドリング、ブレーキなど、個人的には文句の付けようがない。2トンを超えるボディもきっちり止まるし、ATの操作性も良い。6速SST(セレクトシフトオートマチックトランスミッション)の反応がかなり良く、街中でも積極的に使えるのである。
ちなみにこのミッションは、シフトレバーを「M」に入れ、シフトノブサイドの「+/−」のボタン操作をすることで、マニュアル感覚でギア操作できるイマドキのものなのだが、変速タイミングがかなり優れている。時差がほとんどなく、かなりダイレクトなのだ。
このシフトとブレーキを併用すれば、ストップアンドゴー時に痛痒を感じることはほとんどないと言って良いだろう。
一方、高速道路でのマナーも素晴らしく良かった。車体の基本性能の高さが、道路を選ばない走りの質を提供してくれる。エンジン、ミッション、足回り…、すべてにおいて満足感は高い。今回は首都高から横浜方面に進み、一号線から湾岸線を一周してきたのだが、直進安定性、コーナリングともに終始安定していた。横風にも車体を乱すことなく、圧倒的なパワーはないが、不足はまったく感じない。最先端のメーターパネルを眺めつつのドライビングは、非常に痛快だった。
今回の試乗で、V6エンジンの良さを改めて認識し、新世代アメリカンSUVを名乗るだけの実力は、確実に備えているということがわかった。次回、機会があればV6と直4を同時に乗り比べてみたい。
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