ダッジ・ネオンというクルマの存在を知らない人が見れば、某国産車と見間違えるかもしれない。それくらい日本車に似た雰囲気を持つクルマであるが、これでも純然たるアメ車である。 96年の誕生以降、2リッタークラスのコンパクトセダンとしてアメリカでは成功を収めてきたクルマであり、日本でも先代モデルから数年間正規販売されていたが、安価な輸入車とはいえ、3ナンバーサイズということもあって日本市場では受け入れられなかった。そのネオンをベースに、ターボ化や足回りの改良を行ってメーカーがチューンしたハイパフォーマンスモデルが、この「SRT-4」である。生産開始は02年モデルからで、4ドアセダンのネオンがベースになってはいるが、ネオンのSRTグレードという位置付けではなく、車名それ自体が「SRT-4」という名前になっている。
2.4リッター直4ツインカムDOHCエンジンに、TD05HRタービンとインタークーラーを搭載、最高出力は約230馬力、最大トルクは25.4kg‐mを発揮する。5速MTには強化クラッチが入り、足回りも前後スタビ付き4輪独立懸架のストラットと本格的だ。FFシャシーにDOHCエンジンのターボというのは、ドイツ車の血が入ったダイムラー・クライスラーグループ時代のらしい手法といえるかもしれない。さらに、このクルマの面白いところは、メーカーの純正パーツであるモパーから、チューンナップするためのパフォーマンスキットがリリースされている点だ。専用のキットとして、ステージ3までのバリエーションが用意されており、ステージ3では355馬力にまでパワーアップすることが可能なのである。
今回取材した車両はノーマルのSRT-4だが、それでも直線での加速感は十分に気持ち良く、プシューという過給音もその気にさせてくれる。足回りもカッチリと決まっていて過不足ない。マフラー音は意外とやんちゃな感じの抜けのいいサウンドで、ボボッという音が多少室内にこもるような感じがするが、決してうるさいわけではない。個人的には、過給が始まるまでの感じが懐かしく、ターボ車らしさに溢れているところが非常に好みだったが、電制スロットルによるダイレクト感のないペダル感覚だけはどうしても肌に合わなかった。
だが全体としては、5MTが好感だったし、動きにスポーティカーらしいスパッという切れ味というか軽快感があり、非常に面白いと感じた試乗だった。
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