更新日:2020.02.07
文/石山英次 写真/ゼネラルモーターズ
いや~、残念。のっけから申し訳ないが、本当にがっかり。噂されていた新エンジン搭載とはならず。新型エスカレードは、世のSUVブームが向かっている「パフォーマンスアップ」には背を向け、ラグジュアリーSUVとしての「熟成」をチョイスした感じだ。
ま、正直、そんな気配も感じないではなかった。先月紹介した新型タホ、サバーバンのエンジンラインナップを見たときに嫌な予感はあった。彼らに搭載されるエンジンが、ほぼ既存のままだったから。
で、新型エスカレードに搭載されるエンジンは、6.2リッターV8で426hpを発生させるが、このスペックは基本、前モデルと同様だ。ただし、各部制御が進化しており、新たに10速ATと組み合わされるから燃費系の向上は確実だろう。
くわえて10速ATの制御が組み合わされれば、同じ6.2リッターV8でも全く異なるようなフィールの変化をもたらすから、その部分においての進化は感じるはず。
一方、エスカレード初となる3リッター直6ディーゼルターボエンジンが搭載される。これは、タホ、サバーバンにも登場していたエンジンであり、今回新たにエスカレードにも搭載されることになる。もちろん10速ATとの組み合わせで。
■6.2リッターV8 VVT :420hp、最大トルク460lb-ft
■3.0リッター直6ターボディーゼル:277hp、最大トルク460lb-ft
さて、これらエンジン以外の部分では、結構な変わりようだ。まずボディ。タホ、サバーバン同様のサイズ感にノーマルボディとESVの2種類が存在。
マスクはエスカレード独自のアレンジで、他のキャデラックSUVの仲間入りを果たし、特にXT6を彷彿とさせるようなフロントマスクに大型グリルの組み合わせ。で、今回2つのグリルが用意されている。メッキ系とブラックのメッシュ。ブラックメッシュはスポーティな雰囲気とワルっぽさが共存しているから今時な押し出しの強さが一層強調されている。
リアもシンプルな縦型のテールは継承しているが、新型ではより細身に洗練されており、ここは正直、カッコイイと思う。
サスペンションは、新型のマルチリンクサスにマグネティックライドの組み合わせであり、この新型サスの採用によりリアの居住&荷室スペースが一段と広くなっている。実際、サードシートスペースで約4割、リアの荷室スペースで約7割広くなっているという。
同時に2列目3列目シートへのアクセスもより良好となり、まさしく「全席ファーストクラス」的なSUVへと進化しているということだ。
さて、ここからが本題。新型エスカレードの真骨頂と言われているインテリア部分だ。
まず、気づくのがフロアシフト。この部分に最初に気づくのは、アメ車ファンのみだろうか(笑)。これまでのエスカレードに採用されていたコラムシフトが廃止され、10速のフロアシフトになっている。
キャデラックXT4、XT5、XT6を知っている者にすれば「何をいまさら」だろうが、ついにエスカレードも「今風」なSUVになったということだろう。嬉しさ半分、悲しさ半分といったところだろうか。
さらにこれまでに何度もティーザー告知されていたOLEDディスプレイ。
4Kテレビの2倍以上のピクセル密度を持つ38インチのOLEDディスプレイは、メーター中央に14.2インチ、センターコンソールに16.9インチ、さらにステアリング左側に7.2インチという配置で採用されているが、とにかく全体的に高級感漂うインテリアに激変している。プラスして先進性が伴っているから、この部分において旧エスカレードの趣は微塵もないし、この高級感こそが新型エスカレードの象徴ということなのだろう。
さらにレザーシートやウッドトリムの高級感もランクアップしているし、オプションでAKGの3アンプ、36個のスピーカーをセレクト可能ということで、車内エンターテインメントの構築も万全だし、極めつけの安全装備も充実しているから、こうした部分の熟成こそが新型モデルの最大の特徴と言えるのだろう。
とはいえ、こうした熟成があればこそ、エンジンのパフォーマンスアップが欲しかった、というのが本音であり、個人的にはさらなる「Vシリーズ」の登場に期待してしまうのである。
ま、それはまではBVLGARIウオッチを配した旧時代のエスカレードで我慢しようと思う。
新型エスカレード
■全長×全幅×全高:5382×2059×1948ミリ
■ホイールベース:3071ミリ
新型エスカレードESV
■全長×全幅×全高:5766×2059×1942ミリ
■ホイールベース:3407ミリ
すでにもう走っております。
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