かつての雄・ハマーH2と並び、GMのフルサイズSUVの頂点に君臨するモデル。GMが社運をかけて開発した新世代シャシー「T‐900」を採用するモデルとしては最強にして最高のポジションにあり、数ある兄弟車の中でも群を抜いた豪華な装備や、もっとも高出力なエンジンを搭載するなど、メカニズム面でも他モデルとは明確な差別化が図られている。ピックアップ版のEXTや、ロングホイールベース版のESVもデビューを果たしている。
先代モデルで最大の弱点と指摘された内装の質感は飛躍的に向上し、静粛性や快適性は世界随一のレベルに達した。質感の向上はドライブフィールにも如実に現れており、かつてのアメリカンフルサイズSUVのような、アメリカの道路・交通事情だけに配慮したセッティングは影を潜め、走る、曲がる、止まる、の基本性能は国際的な基準に則ったものとなった。
このクラスのSUVだと20インチ以上の大径ホイールに履き替えられることが当たり前となった昨今のアフターパーツマーケット事情をも考慮してか、純正オプションで22インチホイールが設定されているが、サスペンションにはこれ以上のサイズの超大径ホイールをも楽々と履きなせるだけのキャパシティが備わっていることが、重厚で骨太な乗り心地から容易に想像できる。
デザイン、性能、乗り味ともに先代のイメージを見事に踏襲し、正常進化させた理想的なモデルチェンジを遂げたといっていいだろう。先代モデルのユーザー達からも肯定的な意見が圧倒的に多い。
403馬力の心臓からはトルクが無限に沸き出すかのごとき感覚を覚え、2・6トンのボディを思いのままに走らせるその様は、まさに圧巻。すべてに「ケタ違いの余裕」を備えた高級SUVである。
SUV用としてはGM最強を誇る6.2リッターを搭載。伝統のOHVを守りながらオールアルミ製で、可変バルブタイミング機構も備える新世代のエンジンは403馬力を発生する。ATは6速を採用するなど、フラッグシップならではの装備が満載。
内装のクオリティでライバルに劣るという話は完全に過去のものとなった。世界中のどのモデルにも掛け値なしに引けを取らない質感を備える。
一例として、中古車2008年型エスカレードが税込み519万円、2010年型タホLTが税込み472万円。年式、走行距離などを無視して価格だけを見ると、両者はあきらかにライバルになる。
T‐900を採用するモデルとしては末弟に位置するが、小学生から一気に高校生まで進級したほどの革新的とも呼べる進化を遂げ、今やセレブ御用達高級SUVの仲間入りを果たした。08年にはハイブリッドモデルも登場し、末弟ながらGMが総力を挙げて開発した渾身の1台であることには違いない。
庶民にとっては比較的身近な存在だったタホが、少し遠くへ行ってしまったような寂しさも禁じ得ないが、かといって多くの高級車に見られるような敷き居の高さを感じさせるほどではなく、ステアリングを握るとなんとなくホッと安らいでしまうような、そんな癒しグルマ的な味わいを残すのがいかにもタホらしいところ。高級化は進んだが、それでも道具としてガンガン日常的に使い込んでこそ真価を発揮するタイプである。
静粛性の高さと触るものすべてに緻密な感触を残すところが、過去のアメ車とはまったくの別物で、高速道路でのダイナミクス性能もフルサイズSUVとしては信じ難いほど高いレベルにあり、かつSUV離れしたダイレクトでソリッドな運転感覚を味わえる。それでいて、ゆったりと走っている時にはあの他に変え難い、雄大な気分にも浸れるのだから、これはちょっとした「自動車革命」とでも呼びたくなるのは筆者だけではないはずだ。
タホに搭載される5.3リッターは可変気筒システム付きとなり、エコロジー性に配慮しながらも320馬力を発生。遮音性能が格段に向上したせいもあるが、洗練度は大幅にアップした。
今回は並んだ相手が悪かったが、単独で見れば文句の付け所のない上質感を得るに至ったインテリア。遮音、耐振性能の高さには値上がった価格も納得できる。
かつての面影を残すものの、先代モデルからは大幅な変化と進化を遂げたタホ。これ1台だけを評価するなら、タホでさえ世界と対等に戦えるだけの性能と特徴を持つ。
以前、名古屋でタップリと乗らせていただいたタホは、クルマとしてあまりにも出来が良かったから、いかにキャデラックとはいえ、エスカレードとタホの間には、価格や内外の装飾部分以外はそれほど大きな差はないだろうと少しナメた考えをもっていた。当然ながら排気量とミッションの違いは大きいにしても、たとえばステアリングの感触とか曲がる時の動きとか停まる寸前のブレーキの微妙な抜き加減のしやすさとか、そういった乗り味面はたぶん同じようなものだろうと思っていた。
しかし、今回同時に乗らせていただいたエスカレードは私が想像していたものとはかなり違っていて、ステアリングの感触から何から何まで「こっちの方がタップリお金がかかってる」と本能的に感じられるものだったのだ。1台ずつ別個に乗った時よりも「この2台は違う!」という印象ははるかに強かった。排気量で900cc、馬力で83馬力、重さで140kg、といった数字以上にエスカレードは力強く濃密であり、逆にタホは軽快で身近な存在に思える程違いが明確だった。
いずれのクルマも自分には手の届かない価格帯にあるのだが、タホには「毎日転がしたい」という親しみを覚える一方で、エスカレードには「仮にアブク銭を掴んだとしても今の自分にはまだ早い」と思わされるオーラのようなものをすごく感じたのだった。タホの方が良い意味で気が抜けているというか、昔から飼ってるペット的な感覚で接することができるのだが、エスカレードは本物の高級車に進化しただけに、おいそれと手にすることが出来なくなった。年収ウン千万円のカリスマ編集者になった暁には…! という感じだ。
ちなみに、ショップスタッフに両者について聞いたところ、タホの場合、先代モデルまでのユーザーさんは比較的若い人が多く、ファミリーカーとして子供たちと一緒に休日のレジャーでのドライブに使われるようなケースが多かったと思いますが、新型になって「余裕のある大人のクルマ」へとステップアップを果たした感じですね。新型のユーザー層は、50歳代から上の、子供はすでに独立して、夫婦だけでゆとりのある生活を送っておられるような方々が多く、エスカレードやハマーH2のユーザー層に近付いたといえます。クルマも、そういった余裕のある方々に相応しい品質と風格を備えるようになりました。
しかし、この両車には今回も明確な差別化が図られています。同じプラットフォームを使いながらも、エスカレードは「格上」であることが随所に感じさせられますよね。質感においても。
ただメカニズムを共用しながらも、味付けを変えてブランドの違いを個性として演出するのは、世界的な傾向だと思います。レクサスとトヨタみたいにですね。ただ今回のタホとエスカレードには、レクサスとトヨタ以上に違い感じられますがね、とのことだ。
タホの進化を感じる一方で、エスカレードのSUVとしての洗練度がアメ車随一であることがはっきりと認識できたのである。
その差は縮まったとはいえ、依然として大きな差があるがはっきりと分かった。タホも間違いなく素晴らしいが、ハードウェア面では当然ながら、雰囲気や情緒的な部分においてもエスカレードに分があった。
19,404円
PERFORMANCE
6DEGREES
19,998円
PERFORMANCE
6DEGREES
3,480円
MAINTENANCE
GDファクトリー千葉店
48,070円
EXTERIOR
6DEGREES