更新日:2015.09.28
文/石山英次 / 堀口訓 写真/堀口訓
試乗車は、2リッター直4エコブーストエンジン搭載車。これまで何度も試乗しているエクスプローラーだが、ここへ来て再度試乗を行なった。それはなぜか?
ご存知の方も多いはずだが、エクスプローラーはもうじきマイナーチェンジを行い、顔が変わり、エコブーストエンジンが進化するetc。だからこそ最後にもう一度現行モデルに乗っておきたいと考えた。それと、個人的にこのモデルにご執心という理由もある。
これまで何度も書いてきたが、「エクスプローラー+エコブースト」は革新的なアメ車であり、SUVのトレンド発信モデル。だからこそ、その完成度も抜群に高い。
で、フォード車の場合、新車が買えなくてもメーカー認定の中古車があるだけに、お値打ち価格の程度良好車が比較的簡単に手にはいるはずなのだが、エコブーストに関しては、これまでタマ不足だったこともあり、価格的優位性もそれほどではなかった。実際には新車がライバルだったほど。中古車を求めてやって来たが、結果的に新車を購入という方も結構いたという。
だが、もうすぐで登場するマイナーチェンジ版により、乗り換え需要が高まり、お値打ちモデルが続々と現れる可能性が予測される。だからこそ、あえて今エコブーストに乗り、再検証を行うのである。
エクスプローラーの価値は、たとえば対アジア戦略車といったワールドワイドな味付けのSUVとは異なり、リアルタイムのアメリカを反映している鏡であるということ。
現実的にアメリカ全土で走っており、販売の中心的存在であるという事実。しかも重くて力強くといった旧アメリカンSUVの概念を根底から覆した革新的モデル。
すなわち、旧アメリカンSUV的なサイズ感は残し、伝統的なデザインスタイルを踏襲しつつも、ハンドリングや走行性を高め、フォードの技術を集約したダウンサイジングエンジンを搭載し、燃費効率を上げている。
そこには、仰々しいV8フィールは存在しないが、SUVたる走りを十分に満たしてくれるトルク感があり、街中で積極的に使える大きさをギリギリ満たしているサイズ感を有してドライバーを魅了する。それは本国でも同じこと。だからこそのトップセールスを記録しているのである。
一方で、日本製ミニバンの中でも最上級モデルたちと同等以上の室内空間を実現しているのだから、しかも重心位置が低くハンドリングや走りの安定感は極めて高いのだから、居住性および走りやスタイルを求める日本のユーザーたちに受け入れられて当然である。
くわえて駆動方式はFFのみだが、東京は雪もほとんど降らないし(年に2回あるかないか)、都市部にいる限り、オフロードもほとんどない。ある意味、ミニバンの代替わり的な使い方でもまったく問題ない。
とはいえ、かりに雪が降り、ぬかるむ道もまだまだあるかもしれない。そういう場合は、やはりSUVがいい。いや、都会の一般道でも高いアイポイントは運転しやすく、クルマ止めや坂でアゴをヒットすることもない。気軽に乗れるという点でもSUVが一番だと、個人的には実感しているのである。
生粋のアメ車ファンの中には、まだまだ直4エコブーストに違和感を覚える方もいるのかもしれないが、筆者は20年近いアメ車業界歴を過ごしているが、やはりここまで革新的なモデルは初であり、旧アメリカ的思想に固執することなく、新感覚なアメリカンSUVとして積極的に受け入れている。
しかもそれは単なるダウンサイジングSUVという枠にとどまらず、ボディ、サイズ、走り、乗り心地、そのすべてにおいてアメリカンSUVのDNAを感じさせるからこそ、直4エンジンと言えども「あえてアメ車」に乗るという価値を見出すのである。
世の中のアメ車がすべて同時にダウンサイジングされていたら、これほどまでの魅力を感じてはいなかったかもしれないが、他にV8やV6のアメ車がまだうじゃうじゃいる中での現行エクスプローラーの性能と質感、および大きさ等を含めたすべてのパッケージングは明らかに輝いているのである。
話がだいぶ飛んだが、こういった思いを持って乗るエクスプローラーは、やはり別格の街中SUVだった。
しかも途中でスタンドに寄り給油を行ったのだが、燃費に対する恐怖心はまったくなく(笑)、こういった実用面での実際の安心感もまた直4エクスプローラーならではだった(社用で使用している某ミニバンはリッター6キロだから)。
ちなみに給油時に隣に並んだ日産エクストレイルを見て同乗していたカメラマン曰く「ちょうど同じ2リッターですよね」と。
で、ググったところ、たしかに同じく2リッター直4エンジン搭載で147psに最大トルク21.1kg-mを発生させるらしい(国産300万円級のSUVである)。
一方でエコブーストはターボということもあるが、243psに最大トルク37.3kg-mを発生させる。正直、レベルが違いすぎる感はあったのだが、日本では同セグメントのライバルともくされることもあるということだから、SUVを作った国の実力は本物ということだろう。
その後もいろいろ調べてみたが、国産2リッター級のSUVとでは、どれも動力性能に差がありすぎて、比較することすらはばかられたのが事実である。
新車時の価格も当然勝負にはならないが(当たり前だがエクスプローラーが高価)、だが中古車ともなれば日本製300万円級のSUVたちとも競合することが十分に考えられるだけに、エコブーストの優位性は、本物のSUVを求めるならば俄然高まるはずである。
すでにメーカーリリースでも謳われているように、マイナーチェンジ版の登場は既定路線である。だからこそ、新型へ興味が移るのは致し方ないことだが、ここはあえて上記の理由をもって現行モデルの中古車オシをさせていただきたい。
ちなみに、現行型の最新状況を聞いたところ、「まるでヨーロッパ車のような、品の良さを感じさせるデザインが好感されてか、これまで縁のなかった方々をも含め幅広い層から支持を集めています。
とりわけ家族構成に変化が起きたニューファミリー層のうち、国産ミニバンでは飽き足らない旦那様からご指名いただいております」とは、フォード大阪西宮店の中古車営業チーフ、大西氏。
今秋にマイナーチェンジを控える現行エクスプローラーの強みは、洗練されたスタイリッシュなデザイン。新型がやや四角張ったエッジな表情であることや、排気量が2リッターから2.3リッターへとアップして税制区分が変わる新型エコブーストエンジンの搭載なども相まって、駆け込みオーダーもあるという。
そんな現行エクスプローラーの売れ筋カラーはブラックとホワイト。したがって中古車市場に出回るのもほぼこの2色という(個人的には赤がオススメだが)。
また、ボディサイズに相反する軽快な走りと省燃費を誇る2リッターエコブーストを探すユーザーが多く、相場は330~350万円前後がホットゾーンとか。
ちなみに上級グレードにあたるV6エンジン搭載のXLTやリミテッドは400万円前後、十分な運動性能と省燃費、税制優遇などを考慮すると、なるほどエコブーストが支持されるのも頷ける。
同じく7人乗りを設定する国産ミニバンに味気なさを感じる向きには、ジャストな選択肢といえるエクスプローラー。ツール感覚でラフに使い込む北米流を真似て、アメリカンなカーライフを送ってはいかだろうか。
12,810円
PERFORMANCE
6DEGREES
17,298円
PERFORMANCE
6DEGREES
18,420円
PERFORMANCE
6DEGREES
2,090円
MAINTENANCE
6DEGREES