エスカレードやハマーH2&H3といったGM系ラグジュアリーSUVが目立つ昨今、その火付け役となったリンカーン・ナビゲーターもいまだ人気は高い。
ハリウッド系映画はもちろん、アメリカの連続テレビドラマでもその姿は拝見できる。セレブ系キャラクターがこいつを転がしているのだ。
「火付け役」という位置づけは、このクルマがどこの誰よりも早くリリースされたからだ。発売は1997年、夏。98年モデルとして本国で発売が開始された。同年のデビューは、メルセデス・ベンツMクラスだけである。
そしてその成功を横目で見たGMが計画を前倒しし、キャデラック・エスカレードをこの世にもたらした。よって、初代エスカレードはGMCユーコンデナリそのもの。バッジだけのチューンとなる。
それはさておき、ナビゲーターは次々に登場するライバルに関係なく快調にセールスを伸ばしていく。その結果、リンカーンブランドの販売台数がなんと一時期キャデラックを抜いてしまった。きっとこの事実に一番驚いたのは彼ら自身に違いない。
ナビゲーターは早くも2003年にモデルチェンジする。その理由はベースとなるフォード・エクスペディションがフルモデルチェンジとなったからだ。
だが、それまでのナビゲーターと比べても、見た目の違いはそれほど感じられない。デザイン的には「キープコンセプト」。とにかく売れたモデルだけに、そのイメージを大きく変えることはできなかったのだろう。
フロントマスクでいうなら、グリルの幅が上下左右デカクなり、見る者に威圧感を与えるようになった。それは二代目エスカレード登場に影響を受けたもの。
だが、現実にはデザイン以上にハードウェアは別物といってもいいだろう。というのも、ボディ構造から見直され、足回りは形式から変更された。
それまでリジッドアクスルだったリアサスはフロント同様独立化され、4輪独立懸架となった。しかも、ステアリング形式はラック&ピニオン式を採用。まるでパッセンジャーカーのようなレスポンスを可能としたのだ。
GM系、クライスラー(ジープを含む)系よりも一歩先ゆく技術投入である。そしてエアサスはゴージャスな乗り心地を提供するのだ。
インテリアに目を向けると、そこはまるで別世界。エクスペディションと共通する面影はなく、専用設計されたインパネが飛び込んでくる。
しかも、それがメチャメチャかっこいい。ミッドセンチュリー風なデザインは、世界中のどのクルマよりもセンスがいいだろう。個人的には、サーブやボルボといったスウェーデンデザインを謳うメーカーは、このテイストをもっと見習うべきだと思う。国産メーカーも「モダンリビング」なんてコピーに浮かれている場合じゃない。
さらに、利便性の面ではミニバンの成功を自負するクライスラーも真っ青の装備が付く。リアゲートが電動で開閉できるだけでなく、サードシートも外側から電動で倒せたり起こしたりできる。レバーを引いて「ドン」と倒す国産Lクラスワゴンとも違う。まさにラグジュアリー。
18インチのアロイホイール、ヘッドプロテクションエアバッグ、パーキングセンサー、キーレスエントリー、ドライバーメモリーシートドアを開けると飛び出すサイドステップ(こいつは本国オプション)、ヒーテッドドアミラー、リアエアコン等々、豪華装備がオンパレードする。
グレードはふたつで、スタンダードとなる「ラグジュアリー」と、さらに上いく「ウルティメイト」があるが、どちらもこうした装備を持つ。その辺はこのクルマがスペシャルであることを物語っている証拠だ。とりあえず、なんでも付いていると考えていい。
エンジンは5.4リッターのV8エンジンを搭載し、98年に230馬力からスタートしたパワーもいまでは300馬力に達している。
しかも、ここで紹介している2005年モデルでは低速トルクを重視するプログラミングに変更されている。
また、それにともないデビュー以来4速ATだったトランスミッションは6速ATに進化した。多段化することでよりスムーズな走りを可能にする。もちろん、これもまたこのクルマがラグジュアリーSUVであることの証し。
装備の充実はこのクラスにとって必須項目だが、それと同時に走りの滑らかさも最近は重要になってきた。その点でもこいつはヨーロピアンSUVにも引けを取ることはない。まさにラグジュアリーを「地」でいくSUVである。
12,810円
PERFORMANCE
6DEGREES
17,298円
PERFORMANCE
6DEGREES
18,420円
PERFORMANCE
6DEGREES
2,090円
MAINTENANCE
6DEGREES