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その2・試乗

ダッジ バン ショーティに試乗!

大きくて豪華でゆったりとしているフルサイズバンを紹介しているのに、あえてショートモデルに試乗する! なんだか矛盾しているような気もするが、意外や意外、これでも十分な気がするから不思議である。

更新日:2011.03.11

文/編集部 写真/茂呂幸正

取材協力/ZERO TEL 045-922-6300

ショートもレギュラーも全く普通に運転できる

 ダッジバンは、1986年から1993年までのファーストモデル、1994年から1997年モデルのセカンドモデル、そして1998年から2003年までの最終モデルと3世代にわたるモデルラインナップを誇る。今回試乗したモデルは1998年型の最終モデルで、しかもショートモデル。全長が約4900ミリと国産ミニバンよりも短い寸法の持ち主(5メートルを越えるミニバンあり)。もはやフルサイズバンとは言えないのでは? との思いがちらつきながらの試乗となった。
 約5万マイルの距離を重ねた個体ではあったが、普通にエンジンがかかり普通にアイドリングをし、普通に街中に繰り出せた。少なくともこの時点で程度に疑問を感じる点はない。
 今回の試乗の目的は、フルサイズバンを街中で転がしてみての使い勝手の検証である。若干視界が高いが至って普通の感触である。ステアリングの反応もさほどダルさを感じさせないし、アクセルペダルに対する反応にもズレがない。一般公道を一般的速度で走っている限り、違和感を感じるところはほとんどない。気になっていたロール感も街中アベレージではほぼ感じない。ただし、ブレーキに関してだけは多少の慣れがいるかもしれない。この日乗ってきた国産車と同じ感覚でブレーキを踏むと冷やっとするかもしれない。だが、それも乗ってしばらくすれば慣れるのだが(ペダルを踏んでから効くまでのラグが若干長い)。
 気になったサイズだが、国産ハイエースの左ハンドル版くらいの大きさだと考えてもらえば分かりやすいか。普通に左ハンドルが運転できれば、日本の道でも全然余裕で走れる。というか、このサイズが運転できればレギュラーサイズのダッジバン(約5300ミリ)だって幅は変わらないわけだから、楽勝だろう。この日はあえてショッピングモールの駐車場に入ってみたが、余程混雑している状況でもなければ切り返しのスペースもあり駐車にも困るほどではなかった。
 同時に居合わせた国産ミニバンや欧州SUVオーナーなどからの視線が気になったが、これら視線はダッジバンの圧倒的な威圧感と物珍しさによるものだろう。ある意味、上品さとは対極にあるアメ車の「迫力」のなせる技だ。

98年式ダッジラムバン1500ショーティ。5.2リッターV8OHVエンジンを搭載し走行約5万マイルの個体だった。

サイド出しマフラーからの轟音がショッピングモールで炸裂した!

普通に左ハンドルが運転できれば、日本の道でも全然余裕で走れる。

GM、フォードと言った3大メーカーから発売されているフルサイズバンの中で、サイズ的には一番小さいモデルがダッジバン。駐車も全く問題なしだ。だが日本の道路における左ハンドル車の宿命ともいえる右ウインドーからのチケット取り。こちらはバンにかかわらず左ハンドル車ならどれも同じ苦労を伴う。

中古のダッジに乗る意味はある

 ここ数年の新型車の中には、日本車や欧州車と大差ない没個性のアメ車も多くなった気がするが、90年代にはいかにもアメ車らしいスタイルや乗り味を楽しめる魅力的なモデルが数多く存在していた。そして、その代表格と言えるのがダッジラムバンである。
 「ダッジ」は日欧のマーケットを強く意識して作らねばならない国際戦略車とは違い、基本的には輸出することを想定せず(日本への正規輸入は07年から)、アメリカ人のためだけに存在するドメスティックな性格を持つ。ゆえにアメ車らしさをもっとも色濃く残すブランドである。
 中でもラムバンは、アメリカ映画の影響もあってか、サーフボードとお姉ちゃんを積み込んで海辺をドーンと走るようなシーンにおいて、地球上でもっとも似合うクルマはラムバン以外にはあり得ない! というほど圧倒的な支持を得ている。だからかラムバンには、いわゆる日本のバンにみられる(思われる)ようなダサさとはまったく無縁でいられるパワーがあり、それらとは対極の存在である。間違っても子だくさんの大家族がゾロゾロと乗り込んで、オトーさんが運転手役に没頭する、みたいな状況を想像されることはない。あるいは広大なる空間を背負いつつ一人で運転していても空しくならないし、またそう見られることもない。むしろ、この空間は彼女とふたりだけで過ごすような贅沢を楽しむために備わっているといえまいか。
 そんなアメ車らしさ全開のラムバンが、今や130〜180万円程度で手に入るのだから、間違いなくお買い得。それにベースが商用車だけに耐久性も良好。20万キロ以上走ったラムバンが日本に現存するくるらいだから、愛情の注ぎ方によってはそれこそ一生モノとして使いこなせるはずだ。ただし、さすがに人気絶版車だけに、コンディション良好の車輌はどんどん減っている。お気に入りの個体が見つかれば即買いくらいの勢いでダッジバンを手に入れ、国産車オーナー達から羨望の眼差しを浴びるアメ車ライフをぜひとも送って欲しい。

フルサイズバンの中でもダッジだけは海の匂いがするアメ車である。サーフィンとの関連が強い印象がある。

試乗車ではないが、こうしたラウンジ風なリアシートにもカスタムできる。フルサイズバンのなせる技のひとつだ。

合い言葉は「ダッジ」。

98年以降のいわゆる最終モデルでは、フロントバンパーの下顎部分が出ている形状となっている。

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