現車主義を標榜しているBCD。2012年から2014年あたりの日本未導入スポーティモデルに関して関して言えば、BCDの品揃えは日本一であると断言できる。
あの662hpのシェルビーGT500があるかと思えば、2012年、2013年のマスタングBOSS302も両車取り揃え、一転チャレンジャーに関して言えば、プラムクレイジーのSRT8もあれば、MT&ATモデルが選べるほど在庫が豊富である。
新車系に関して言えば、最新マスタングのエコブーストのMTモデルやV8、さらにはコンバーチブルまでが揃い、じつは早々に新型カマロのV8が到着するというから恐れ入る。
そんな随一の品揃えを誇るBCDが2010年以降の5thカマロの魅力的モデルとして推奨しているのがカマロ1LEである。
シボレーカマロ1LEとは、2013年モデルから追加された「1LEパッケージ」装着車のことである。V8搭載のSSモデル、しかもMT車にしか装着できないハイパフォーマンスオプション。主にサーキットを主戦場とする走り向けの装備を多数装備しており、1988年サードカマロ時に設定されていたオプションコードを再現したものという。
装備を見ればわかるが、スーパーチャージャーで武装されたトップグレード「カマロZL1」のパーツを部分的に装備しているのである。
【1LEパッケージ内容】
・ファイナル3.91クロスレシオ6速MT
・ZL1用燃料ポンプ
・フロント27/リア28ミリスタビライザー
・ストラットタワーバー
・ZL1同様サイズの285/35ZR20インチタイヤ&ホイール
・ZL1用ホイールベアリング
・フロントスプリッター
・リアスポイラー
・ZL1 10スポークホイール、ブラックペイント
・マットブラックボンネットルーフ
・ZL1用スエードステアリング&シフトノブ
・ZL1用デュアルモードエキゾースト
etc
これら装備を装着した1LEは、2013年から2015年の5thカマロの専用パッケージであったが、2016年にモデルチェンジを果たした新型カマロにおいても2017年から再び1LEが登場することになっている。しかも5thカマロ時代はV8搭載モデル専用パッケージだったが、2017年からはV6モデルでも装備可能となったのである(それほど魅力的モデルということ)。
1LEは、言ってしまえばノーマルカマロV8モデルのエンジンパワーはそのままに、MTモデルでエンジン全域を使いつつ、足回りやハンドリングを一層シャープにかつ安定感を高めた、走りの質を上げたモデルと語ることができるだろう。
想像よりも若干重めなクラッチを踏みギアを1速へ。シフトは旧アメ車のような大味なものでは一切なく、ゲートが明確でストロークの比較的短いカチッとしたもの。小気味良く決まるシフト操作が可能であり、十分な低速トルクとクラッチの繋がりの良さも相まって誰でも簡単にスタートできるだろう。
走り出せば「グォォォ…」と豪快さを伴ったアメリカンV8の快音が響き渡る。このサウンド、大げさではなくちょっと昔の味を感じさせるフィールと現代的な大パワーが見事に融合されていて、かなり気持ちいい。しかもそいつをMTで操る贅沢な行為。大排気量V8エンジンをMTで操ることこそ、アメ車の醍醐味のひとつだろう。
取材モデルとなる2014年型SSに搭載されている6.2リッターV8は、それ以前ともそれ以降とも変わらない420hp、最大トルク420lb-ftを発生させる。MTで操作している分、操る実感とともにV8パワーを心行くまで堪能できるという満足感で満たされる。
しかも1LEに搭載されている6MTはクロスレシオになっており、街中でも3速4速を使える状態になるのが嬉しい。
さらにこのクルマの乗り心地が素晴らしく、サスペンション、タイヤ、ブレーキ…、そういったシャシー全体の洗練度がきわめて高い。だからこそ街中をゆっくり走っても、さらに2000から3500回転前後を使った走りでも、そして4000回転を越えてから一段と高まる轟音に浸った走りでも、常にパワーとシャシーのバランスが良く、とにかく全域で気持ちいいのである。
一方で、高速走行では力を抜いてステアリングに手を添えているだけで矢のように直進し、穏やかな上下動をわずかに許しつつもピタリと安定する。さらに微妙なRの高速コーナーもピタッと正確なステアリング操作でクリアする。条件が許せば200キロ超レベルでも直進性と安定感が両立するはずである。
これら高いシャシー性能は、シッカリしたボディ剛性等の作り込みによる結果である。5thカマロの最大の魅力は、ガッチリとしたステアリング(支持剛性の高い)とボディ骨格、さらにかなりのレベルまで追い込まないと破綻を見せない見事なシャシーの存在であるが、安定感を高めた1LEはさらに一段高いレベルにあると言えるだろう。
実際には5thノーマルカマロSSでも十分なレベルの走りをもたらすが、1LEはノーマルよりも引き締まっていることによる余分な動きが制御され、走りのシャープさが増している仕様であるのだが、それでいてガチガチに固められていないようなスムーズな乗り心地がもたらされているのが素晴らしい。
こういうクルマを、状態のいい時に手に入れて長い年月をかけて生活を共にする。別にチューニングしなくても400hpを越えるパワーが手に入り、悦に浸れるアメリカンV8サウンドが手に入る。そして誰もが振り返る走り屋仕様にナイスなボディカラー。走り屋小僧が乗る国産チューニングカーのような子供っぽさが微塵もなく、逆に玄人っぽさというか大人の洗練性みたいなものが滲み出ている感が伝わって来る。ついでに言うと街中ではよく目立つし、ちょっとしたスーパーカー気分も味わえる。
気分転換に首都高を一周してもいいし、休日に朝からドライブに出かけてもいいだろう。毎日も乗れるし、週末だけの楽しみにもできる。まさに趣味性と実益をかねた最高の1台と言っていいだろう。
個人的にはアメ車に乗るなら「SUVかマッスルカー」という思いが常にある。というのも、この2大カテゴリーこそがアメ車の魅力を最大限に味合わせてくれることを、これまでの経験から知っているからである。
マッスルカーだけに話を絞れば、今現在のアメ車に触れられる方は非常に幸運だと思う。カマロにマスタング、チャレンジャーにチャージャーにと多種多様なメーカーの現代版マッスルカーに新車や中古車で触れられる機会があるのだから。
そんななか1LEはノーマルカマロでは「ちょっと物足りないかも」、なんて印象を抱いている方にはもってこいの1台ではないか。しかもZL1やZ28のような仰々しさはないし、「分かる人には分かる」的な玄人っぽい雰囲気が今風だし。
しかもこういうクルマのボディカラーは白や黒じゃつまらないから、赤や黄色が断然アメ車っぽいし、5thカマロの品質感ともマッチするし、名実ともに充実した、シブさ全面の大人の走り屋仕様が非常にカッコよく見えた試乗だった。
いわずもがなだが、BCDはBUBU系列店にGM正規ディーラーを備えているだけに、カマロのメンテナンス等の対応になんら問題はないし、巨大な展示ショールームを見れば分かるが、まるで正規ディーラーのごとく多数の在庫展示車を持っている=販売力に対する自信の表れであり=整備等のアフターサービスに対する努力の表れであり=実際に取材させてもらった車両コンディションの良さへとつながるのだろう。すなわち、こういった部分からもBCDへの問い合わせがあとを絶たないという理由がわかるのである。
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