TEST RIDE

[試乗記]

V8の咆哮と伝統回帰で挑む覇権奪還への道

ダッジ&ラム 逆襲のシナリオ

クーダの商標取得 魅力的ニューモデル続々と

2024年から凋落の一途を辿っていたダッジ&ラムの起死回生プランが明確になった。販売台数を爆発的に跳ね上げる「六連撃」とはいかに?

更新日:2026.09.02

文/石山英次 写真/ステランティス

前言撤回、ファンの声が動かした「V8」復活の狼煙

 2024年、アメリカのマッスルカー文化とトラック市場を牽引してきたダッジとラムは、まさに産みの苦しみとも言える未曾有の嵐の中にいた。親会社ステランティスの急進的なEVシフトの煽りを受け、ダッジはブランドの象徴であったチャージャーとチャレンジャーのV8モデルを2023年末で一斉に生産終了。翌2024年のダッジの米国販売台数は、前年比29%減の14万1730台へと激減した。

 売るべき絶対的エースを欠いたディーラー網は沈黙し、ラムもまた、主力モデル・ラム1500からヘミV8エンジンを一時廃止したことでファンの猛反発を招き、販売の急ブレーキを余儀なくされたのである。

 「アメリカが求めているのは、環境性能だけではない。魂を震わせるV8パフォーマンスだ」「脱V8は魂を抜く冒涜」etc。

 市場の強烈なフィードバックを受け、ステランティスは2025年から2026年にかけて、自動車史に残る大胆な軌道修正を断行する。

 まず、2026年モデルとしてラムにヘミV8エンジンを急遽復活させると、市場は即座に反応。2026年上半期のラムのピックアップ車販売は、競合が軒並み苦戦する中で前年同期比15%増という劇的なV字回復を遂げる。そしてこの成功が、ダッジの進むべき道を決定づける。

 EV専用と目されていた新型チャージャーのプラットフォーム(STLA Large)の柔軟性を活かし、ダッジもまたガソリンエンジン、そして伝統のV8を主役に据えたニューモデル群の投入へと舵を切った。

 ダッジとラムは、ファンの熱狂を裏切らない6つの矢で、今後の販売台数の爆発的な跳ね返りを狙うという。まずはラムから。待望の「ダコタ」の復活である。

 現在アメリカでヒットしているトヨタタコマやフォードレンジャーの市場を奪還するため、ラム1500より一回り扱いやすいミッドサイズトラックとして開発が進行中。直4および直6ターボを搭載し、タフな牽引能力と現実的な価格帯を両立するという。

 かつて市場を席巻した「ダコタ」の名が復活することで、全米のライトユーザーやファミリー層を巻き込み、ラム全体の販売台数を劇的に押し上げる原動力となるか。

 また劇的サプライズとして伝説の「クーダ('Cuda)」商標の再取得。かつてプリムスバラクーダの超高性能モデルに与えられた伝説の名が、ダッジの手で現代に蘇ろうとしている。新型チャージャーの2ドアクーペ版、あるいはチャレンジャーの後継となる「ガソリン×超ハイパフォーマンス仕様」の限定車として、この名が冠されるのでは、と噂される。

 そして新たなるフラッグシップ、「コッパーヘッド(Copperhead)」の噂。V8回帰のシナリオを最高にドラマチックに彩るのが、かつての伝説バイパーの精神を継ぐと噂される軽量2ドアスポーツカー「コッパーヘッド」の存在。

 フォードマスタングGTDのような超高性能&高付加価値なフラッグシップスポーツとして開発が進められており、純粋なガソリンエンジンのパワーを極限まで高めたモデルになると言われている。

 続いてV8マッスルSUV新型「ラムチャージャー」の復刻。かつてラムのEVトラックの名前として消費されかけた「ラムチャージャー」が、本来の姿であるV8搭載のフルサイズSUVとして復活するという。5.7L、6.4LのヘミV8に加え、最高出力777馬力を叩き出すSRTヘルキャット仕様の噂は、シボレータホやフォードエクスペディションの牙城を崩す最大のゲームチェンジャーになるはず。

 と同時に、最高出力777馬力の「ラム1500TRX SRT」&「新型チャージャーV8」のデビュー。一度は消えたモンスターオフローダーTRXが、2027年モデルで「TRX SRT」として復活。さらに新型チャージャーにもスーパーチャージドV8を搭載したヘルキャット復活の噂が現実味を帯びている。

 これら以外にもダッジGLHの名を冠した300馬力級のターボエンジンを積んだ4万ドル以下のコンパクトスポーツが企画されており、若年層やエントリー層を新規開拓し、ブランドの裾野を広げる試みにも挑戦するという。

 2024年の底打ちから始まったこれら逆襲劇は、「ダコタ」「クーダ」「ラムチャージャー」といった歴史的遺産を積極的に使用した生存戦略。環境規制という荒波をタフに泳ぎ切り、ファンの声に真摯に応えたダッジとラムは数年以内に再び右肩上がりのカーブを描くことができるのか。

 一方で、これら反撃のシナリオは、トランプ大統領の規制緩和に基づいたものであることを忘れてはならない。トランプ大統領がいなくなればまた再び・・・・。ただし、一時的にせよ、上記ラインナップが本当に登場すれば、多くのファンがきっと振り向くに違いない。

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