ここで紹介している1965年型ファストバックは、富山県のハッピーアンドドリームが『GT350 CLONE』という名称で販売している車両なのだが、所謂「レプリカ車」ではない。
クローンという名称の通り、外観的には確かにシェルビーGT350をモチーフにした仕上げが施されているが、エンジンや足回りには、現代のビルダーの手によるモディファイが施されており、パフォーマンス的にはオリジナルのシェルビーGT350を軽く凌駕する仕上がりとなっている。
つまり、この車両は内容的にはレプリカではなく『レストモッド』にカテゴライズされるべきカスタムカーと言える。
ちなみに、レストモッドとは『Restore(回復する・元の状態に戻す)』と『Modify(修正する・部分的に変更する)』という二つの単語を組み合わせた造語であり、クラシックカー(旧車)を新車時に近い状態にまでレストアしつつ、エンジンや足回りなどをモディファイ(カスタム)することで、オリジナル以上の性能を与えられたクルマを指す。
もう少し簡単な言葉で説明するのであれば、「外観はオリジナルに近い状態に復帰させつつも、現代の交通事情でもストレスなく走れるような改造が施されたクルマ」がレストモッドであり、大まかな括りで言えば「ハイテックカスタム」と同義と考えてもいいだろう。
外観は旧車らしさを維持しつつも、気軽に乗れるレストモッドは「古い車は好きだけど、苦労はしたくない」という人の理想形とも言える存在であり、筆者的にも大好きなジャンルのカスタムカーだ。
通好みのカスタムが随所に施されたハッピーアンドドリームのGT350クローンだが、実はレストアやモディファイ以外の部分にも大きなポイントが隠されている。実はこの車両は”Kコード”のエンジンを搭載しているのだ。
55万台を超える販売台数を記録した1965年型マスタングには、Tコード(200ci 直6/120hp)、Cコード(2バレル289ci V8/200hp)、Aコード(4バレル289ci V8/225hp)、Kコード(4バレル289ci V8/271hp)の4種類のエンジンが用意されていたが、この中で最も高価かつ高性能なオプションユニットとして設定されていたKコードを搭載した車両は、全体の約1%(シェルビーGT350を含む)ほどしか販売されていない。
当然ながら現代ではKコードを搭載したマスタングはマニア垂涎のコレクターズアイテムとなっており、中古車は高値で取引されている。そんな貴重なモデルを惜しげも無くカスタムしているこの車両は、レア中のレアな存在であり、アメリカにおいて初代マスタングのバリューが高騰してしまった現在では、二度と作られることのない仕様かもしれないのだ。
この車両は現在789万円という車両本体価格で店頭販売されているが、Kコードの希少価値やレストア&モディファイの内容を考えれば、コストパフォーマンスの高さは非常に高いと言えるだろう。
12,810円
PERFORMANCE
6DEGREES
17,298円
PERFORMANCE
6DEGREES
18,420円
PERFORMANCE
6DEGREES
2,090円
MAINTENANCE
6DEGREES