TEST RIDE

[試乗記]

魅力的スタイルで輝き続ける

トヨタ FJ cruiser

TOYOTA FJ cruiser

デザインもさることながら、TOYOTAの左ハンドル車として肩肘張らずに乗れることが最大のポイント。

更新日:2010.07.14

文/編集部 写真/編集部

取材協力/オニキス桜ヶ丘店 TEL 03-3425-6511 [ホームページ]

古き良きFJ40系ランクルの復活

 FJクルーザーは、驚くべきスタイルを得て登場した。そのエクステリアデザインは初期コンセプトモデルから、ほぼ修正されていない。CALTY(カルフォルア・トヨタ・デザインスタジオ)の東洋系アメリカ人デザイナーが描いた未来型エンターテイメントSUV。そのコンセプトは見事に現実化したのだ。日本では、自動車専門誌で「古き良きFJ40系ランクルが復活するが復活する」と、騒がれていたFJクルーザー。その実物外観は『かなりのキワ物?』。
 だが実は、結構売れているそうだ。その理由を明確にしてくれるライバルがいる。それが『ハマーH3』だ。FJクルーザーの購買層は一時明らかにH3と重なっていた。30代〜50代、プロフェッショナル職業に就くアグレッシブな男女である。少し前なら、こうした層は『ハマーH2』を買った。が、ご承知の通りのガソリン価格の高騰。自然な流れとして『ミニハマーH2』こと、H3が誕生した。トヨタにとっては、ハマーH1的なメガクルーザーがあるが、H2的なクルマは製造コスト面がリスキー。だが、H3的なサイズなら、大量生産されている『4ランナー』のプラットフォーム+パワーユニットが応用出来ると考えた。
 では、FJクルーザーの実車を見ていこう。ボディ全体的には『丸っこいドーム型の未来系乗り物』のイメージ。発売から既に4年以上の歳月を経るが、いまだにインパクトあるスタイルだ。往年のFJを感じさせるフロントマスクは、巨大なウインカーライトが目を引く。サイドビューではアニメチックなサイドミラーが巨大だ。リアに周ると、そこに、アドベンチャーへの憧れを感じさせる。

4リッターV6エンジンは、239馬力、トルク38.4kg-mを発生させる。ライバルよりも安くパワフルである。人気もうなずける。

各部の操作感はカチっとしていて好感が持てる。インテリアの色使いは賛否両論と言ったところだ。

2台並べると雰囲気が良くわかる。FJは日本トヨタから正規販売が開始され、2011年においても普通に見かける存在にまでなっている。

TOYOTAの左ハンドルとして肩肘張らずに乗れる

 ドアはドバッと観音開き。車内は水洗い可能な樹脂素材が主体だ。そして、ドライビングシートに着いてみると、ビックリ(!)ダッシュボードが垂直に高く張り巡られている。フロントガラスの上下幅がとても少ない。この視覚イメージは、ハマーH1/H2に共通する。H3では、視界はここまで狭く感じない。また、ダッシュボード中に配置されたACやラジオ調整用スイッチ類は、良い意味で『オモチャっぽい』。なんとも不思議な、この車内空間。言うなればこれは、『大人の秘密基地』か。
 では、走行してみよう。走り味は、トヨタRAV4よりガッシリしている。ステアリングの遊びがなく、ダイレクトな操舵感。239馬力、4リッターV6をブン回してみると、グォーと豪快なエンジン音が車内で演出される。トルク特性は全回転域でフラットだが、トルクに粘りがある印象。それが、車体全体の強靭な重厚感と実によくマッチしている。ブレーキングの感触も良好。ちなみに5AT車はパートタイム4WD、6MT車はフルタイム4WDとなる。
 乗り味全体は、良く言えば非常に軽快感溢れるもの、ちょっと嫌み的に言えばトヨタ的な味わい。だが、残念ながらライバルことH3は、いまや街中で見る機会はほとんどない。あれだけ走っていたH3はいったいどこへ? 一方、FJはいまだに見かける存在。弊社近隣の駐車場にはこれとまったく同一カラーのFJが止まっているし、ブラックも見かける。実際の走行性能とは関係なく、やっぱりファンなんでしょうね、FJも。そういった意味では、走行性能にはまったく不満無く、国産トヨタ的な安易な気持ちで乗れるんで、H3ほど肩肘張らずに乗れるのが最大のポイントでしょうか。

リアシートへのアクセスは観音開きのドアにより行う。開口部が広いので、アクセスは抜群によい。

何度か乗っているが、いつ乗っても感心するが単なる軽薄な乗り物ではないということ。人が生涯で持てるクルマの数は10台未満かもしれないが、FJはその中でも一生強い思い出として残るクルマだと断言できる。

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