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アメ車選びの新基準

フォード車の魅力 vol.1

2014年を振り返ってみて2015年の新展望とは

日本で今、アメ車に乗るなら3つの方法がある。ひとつが旧車を追いかける。そしてオーソドックスなデカくて重いアメ車の醍醐味に浸ること。だがもうひとつは、時代の最先端を行くアメカン・ブランドに触れてみることだ。

更新日:2015.01.27

文/石山英次 写真/古閑章郎 / フォード

時代の変化に即したクルマ作りに徹している

 一般論としてだが、近年のアメ車は年々高性能化され進化の手を緩めない。だからこそ、といってはなんだが、同時に年々高額にもなり(円安の効果もあるでしょうか)、おいそれと手を出すことができない価格帯に上昇してしまっているアメ車も多い。

 もちろん、ブランドイメージ等もあるかと思うので致し方ない部分はあるのだが、一部の高級車とガチライバルとなる価格帯800万円オーバーともなれば、フツーのサラリーマンにとっては非現実的であると言わざるを得えない。

 だがフォード車は、200万~300万円台からのボリュームゾーン的車両を多数ラインナップしており、憧れの的となるエクスプローラーやマスタングに至っては新車価格400万円代前半から500万円代前半という、夢を実現できるであろう現実的価格に共感が持てる。

 また乗り換え等のユーザー車両をメーカー自身が整備した認定中古車として再販することによって、より求めやすい良質車を手にすることが可能となっていることも見逃せない。

 一方でフォード車をおすすめする最大の理由は、時代の最先端を行っていることである。燃費効率、軽量化、デザイン、そしてモノによっては脱V8エンジンetc、この先のアメリカ自動車文化の行く末を考えるならば誰もが取り組まなければならい難問に真っ向勝負で取り組んでいる。

 もちろん、そういう過程おいて「アメ車らしくなくなった」といった罵詈雑言もあるでしょう。だが個人的には、誰かが必ずや通らなければいけない道を真っ先に突っ走っていることに意味や価値があると思うし、そうした努力が徹底され、今、魅力あるクルマが続々と登場していることが何においても見逃せない(先日のデトロイトショーを見ましたか!)。

 だからこそ、そうしたメーカーの作ったクルマに一度乗ってみるべきだと考える。時代の変化に即したクルマ作りに徹している一時代の名車たちに是非乗ってみるべきである、と。

2020年までに12台のハイパフォーマンスモデルを登場させるというフォード。とはいえ、その中にも自社の最新技術とエコブーストエンジンを組み合わせ、独自の進む道を明確にしているところが素晴らしい。

フォードは昨年アメリカンピックアップ業界に激震を巻き起こした。アルミを随所に使用し大幅な軽量化に成功した本国モデルF150トラック。他メーカーに対して5年は先を行く先進性と高度な技術力の賜物である。

車重は1660kgと比較的軽量ボディを314hpのパワーで走らせる、直4エコブーストエンジン搭載の最新マスタング。これまでのようなトルクフルなアメリカンなノリというよりは、回転の上昇によりパワーを稼ぎ出す現代的なユニットに進化している。その昔R32型スカイラインGT-Rが1580kgで280psだったわけだから、それに近い走りはするわけである。

フォードの最新技術で満たされたスーパーカー・フォードGT。エンジンにはエコブーストV6ツインターボエンジンが搭載される。デビューは2016年とか。

今しか味わえないV8郷愁の狭間に

 とは言ってみたものの、旧時代のデザインを有したフォードマスタングは、もう二度と作られない…。

 2015年から新世代モデルが登場し直4エコブーストエンジン搭載の50周年アニバーサリーモデルが紙面を賑わすと思うが(もちろん最先端のマスタングを味わうこともいいのだが)、今しか味わえないV8を堪能してからでもきっと遅くはないだろう、という自分もいるのが微妙だ。

 さらにエクスプローラー。現行モデルといわずさらに一世代前のモデルなら200万円台から購入可能というし、中古車とはいえメーカー認定の中古車なら安心感は高いだろうし、何よりV8搭載モデルやスポーツトラック等のバリエーションが豊富なのが断然嬉しい。

 そうしたモデルがメーカークオリティの中古車として手に入れられるのだから、日本で手に入れられる最高の中古車と言っても過言ではないだろうし。

 こうしたモデルたちは数が限られている中古車だけに、一期一会の出会いを大切にしなければならずタイミングこそ重要であるのだが、こういった旧世代の逸品を味わったのちに、最新モデルに乗り換えるという経験も、変化が如実に体感できるだけにきっと面白いと思う。

 一方でミディアム系および小型モデルの充実もハンパではない。その筆頭はフィエスタだが、コイツのデザインと走りは一度味わうと病みつきなる。スモールクラスと言える存在で、これほどカチッとしたフィールを味わわせてくれるクルマはそうはないだろう。

 しかもエコブースト搭載の3気筒エンジンという先進性。各メーカーがしのぎを削る3気筒の中でもトップランクに位置するエンジンは、一見の価値ありだ。

 ちなみに、何度も書いているが、2005年に登場したマスタングとフィエスタは同じデザイナーの作品である。

このデザインにV8エンジンという組み合わせが味わえるのもあとどれくらいだろうか。なぜだか郷愁にかられる先代モデル。

先代型となると随分古臭いのかも、という事前の予測を覆すほど味わい深いSUVフィール。オーセンティックなアメリカンSUVが感じたければ旧型という選択肢はありだ。時にはレアなモデルに巡り会える可能性もある。

デザイン、走り、パッケージとすべてにおいて満足感が高い。先進の3気筒エンジンは、マジで一見の価値ありだ。認定中古車での個体も少ないが見られるようになってきたのも朗報。

充実したSUVのラインナップ

 SUV系の充実がフォードラインナップの最大の特徴であるかもしれない。昨年デビューしたエコスポーツは、そのカジュアルな風貌と南米生まれの足腰の強さを持ってクラス随一の悪路走破性を見せる。今後の人気次第によっては過去、街中一世風靡を果たしたXJチェロキーのような存在になる予感がするのだがどうだろうか(是非じっくり試乗してみたい)。

 ちなみに、筆者宅の近隣マンション駐車場にブラックのエコスポーツが止まっているが、その隣に並んで止まっている三菱アウトランダーなど相手にしないほどの個性的なマスクに、一時周囲の注目が集まっていたのが忘れられない。

 そして稀代の名機エコブーストエンジンを搭載した2台。クーガにエクスプローラーだ。純粋にアメリカンなSUV、あのアメドラで見るNYPDの警察車両やファッショナブルなNYの街並みに普通に溶け込むSUVが欲しければ、現行エクスプローラーが必須だろう。しかも4気筒エンジンで十分だ。アメリカンSUVに新風を吹き込んだ時代を象徴する名車だけに、オーソドックスなアメリカンSUVとの違いを是非体感してみるといいだろう。

 一方、アメリカ的な鷹揚さではなく、カチッとした引き締まったフィールにキビキビとした欧州車的ハンドリングを望むならクーガが筆頭だろう。ともに最新フォードの原理原則に則ったSUVだけに好みに応じた車両を選べば間違いないし、あとは新車か中古車かといった価格や年式との交渉になるのだろう。

南米生まれの足腰の強さを持ってクラス随一の悪路走破性を見せるエコスポーツ。オレンジやブルーの他にイエローの限定車も登場したが、そのカジュアルさも魅力のひとつ。

アメリカンSUVの概念を根底から覆した革新的モデル。とはいえ、ボディ、サイズ、走り、乗り心地、そのすべてにアメリカンSUVのDNAを感じさせるからこそ、直4エンジンと言えどもあえて乗る価値を見出すのである。エコブーストに乗るということは、アメリカ自動車史に輝く歴史的革命車に触れる機会でもあるのだ。

ミディアムSUVながらも高速走行時のスタビリティは非常に高く、走りの楽しさととユーティリティを高次元でまとめたクーガ。

フォードのクルマというのは、意外にもアラを見つけるのが難しい。というのも、乗る人のことを考えたクルマ作りというのがこのメーカーの得意分野であるからだ。それが証拠に本国ではパッセンジャーからSUV、トラック部門に至るまで各分野で常に販売実績の上位を占めるのである。

フォードディーラーを取材して実感したこと

 筆者は昨年、一年かけて関東関西にある10拠点のフォードディーラーに行き、直接取材させていただいた。そこで見たもの得た経験は、これまで街の中古車取材で見てきたものとは、当たり前だが別次元のものだった。言い換えれば質の高さと言ってもいい。

 そうした中で触れたフォード車はだからこそ安心十分の魅力的な存在だった。スペック表からでは読み取れない骨太さや硬質なフィール、それに抜群の高速安定性やコーナリング性能等は、アメ車好きのみならずクルマ好きの五感を十分に刺激する。

 加えて今年のデトロイトショーで見せた新時代のスーパーカーや新型車たち。時代の最先端を身近に感じられるフォード・ブランドは、今イチオシのクルマたちと言っても過言ではないだろう。

 ということで2015年は、昨年乗れなかったリンカーンのプレミアムSUVに触れて、その片鱗を感じてみたい。と同時に新型マスタング登場やエコブースト搭載のフォーカスデビューが迫るなど、話題に事欠かない年になりそうである。

フォードでは、メカニックの技能を争うコンテストを定期的に行っており、「フォードマイスター」と呼ばれる技師も誕生している。そうした一連のメカニックたちが、フォード専用のテスター等を駆使して、フォード車の調子を完調にするのである。

一方、認定中古車においては、日本の道路を走ることによってフォード車に起きる様々な事例をノウハウとして持っており、きちんと対策することにより、単なる中古車とは一線を画す品質となって現れるのである。

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