更新日:2012.06.27
文/石山英次 写真/石山英次
ダッジのバンが誕生したのは1971年の春。コマーシャルバンをベースにしたフルサイズのパッセンジャーカーは、シボレーやフォードに対抗するために生まれた。つまり、後発だったのだ(余談だがミニバン開発は一番早かった)。当初はショートボディだけのラインナップだったが、翌72年には、早くもロングとマキシロングが追加されている。エンジンも直6がスタンダードだったが、翌年からV8がオプションエンジンとして用意されるようになった。
ちなみに、この初代デカバンには「ラム」の愛称は与えられていない。ラムを名乗るようになったのは、1981年に2代目モデルがデビューした時からだ。それから94年に至るまで、基本デザインはほとんど変わっていない。この年式の場合、積載重量別のモデル名称は、1500/2500/3500ではなく、B150/B250/B350となっている。
1981年にデビューした2代目モデルだが、角形2灯のこのフェイスになったのは86年から。つまり、86年から93年まで、ダッジバンの中でのロングヒットとなった、代表モデルとも言える存在である。ちなみに、それ以降は1994に3代目が登場し1997年まで、そしてその3代目のマイナーチェンジ版が1998年から2003年まで発売され、2003年モデルをもって生産終了となっている。
したがってここで紹介している91年モデルは、それ以降の最終型に至るボディデザインよりも、旧型風情がいっぱいの、スクエアなデザインを持ったクルマである。そしてボディ全体が四角いために、それ以降のモデルよりも大きく見えるのが特徴である。
この年式のエンジンはスタンダードの3.9リッター(125ps)と5.2リッター(170ps)、それに5..9リッター(190ps)の3種類。ちなみに、ベーシックな直6エンジンは89年型から姿を消している。
トランスミッションは、マニュアルもあったというが、実際には4速ATがメイン。ただし、この年式の場合、3.9リッターは電子制御タイプだが、V8は5.2リッターが旧式のオーバードライブ付き4速AT、5.9リッターは3速ATとなっていた。そのため、この年代のダッジラムバンは、日本にあるモデルのほとんどが4ATを搭載した5.2リッターが一般的。さすがに3速ATだと…、といった感じであろう。
これまた余談だが、ラムバンには93年モデルまでマニュアルが用意されていたが、94年モデルからは廃止され、ATのみの設定となっている。また、V6エンジンには3速ATしか搭載されず、V8エンジンでさえも標準は3速AT、4AT速はオプション選択となっていた。
さて、ここに登場しているダッジラムバンは、91年型で5.2リッターエンジンを搭載したモデル。フロントスポイラー、ルーフスポイラー、それにオーバーフェンダーを取り付け、アメリカンレーシングのホイールを装着することで、決して派手ではないが、センス良くまとめている車両である。
このラムバンにはこだわりがあり、それは、この車両がパッセンジャーバンベースであるということ。つまりカーゴバンベースの車両と違い、乗用車タイプであるために、インテリアが格段に上質であるのだ。
カーゴバンベースの場合は、クロスタイプのインテリアで建て付けもあまり良くないが、パッセンジャーバンはモケットタイプのインテリアで雰囲気も全く違う。それにアメリカでは滅多にこういうタイプのバンを買う人はいないので(カーゴ版ベースが圧倒的に多い)、日本の市場ではほとんど見かけることがないという。
白いボディカラーと赤いインテリアがバンとは思えないお洒落さを演出しているこの車両は、軽めのパワステと見切りの良いボディ形状が功を奏してか、日本の狭い路上でも扱い難さはほとんど感じない(ミニバンに慣れていいる人なら全然OK)。それに、それ以降の現代的なダッジラムバンでは感じられないドアを閉めた時の「ガチッ」という金属音や、角張ったボディ、愛くるしいマスクなどがたまらなく魅力的。
すでに生産終了されて久しいが、この2代目マスクのダッジラムバンは、未だに人気健在ということで、希少価値もかなり高いということだ。
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