御年68才の大野さんは、昔からホッドロッドが好きだったということもあり、アメ車やバイクにずっと夢中だった。だが、家族が多いという理由もあり、国産ミニバンを家族車として使用していたという。
そんなある日、ついにダッジバンを購入する。今から約10年前の話である。白いロールーフのそのダッジバンを結構な頻度で改造し、ローダウンにぶっといタイヤを履かせ、まさしくホッドロッド気分を味わっていたのである。
しかし。不慮の事故にて全損。その後しばらく間を空け、大反対の家族を押し切り、再びダッジバンを購入したのである。
「でも、今度はハイルーフですよ。自分的には好きじゃないんですが家族車っぽいし、でも、これだと飛ばさないだろうし(笑)」
こちらの1996年型ダッジバンは、ハイルーフ仕様。サイドウォーニングがついた本格的なキャンパータイプである。だが。大野さんのダッジバンが近づいてくると、まるでヘルキャットがやって来たかのようなエキゾーストサウンドが響いている。
「我慢できなくてさ(笑)。購入して4年になるんですが、その都度との都度予算と相談しながら、手を加えてきました」
まずは、足回り。ショックを硬め、スタビライザーを装着し、ブッシュ類を全面的にリフレッシュ&強化。そしてしばらくしてブレーキに手を加える。もちろんブレンボの4ポッド。これにて重量級のラムバンの走りが見違えったというから効果はかなり大きかった。
そしてつい最近。へダースを入れ、ワンオフのサイドマフラーを装着。これにてまずは中間加速に勢いが増し、追い越し加速が楽になったという。くわえてサウンドが激変。上記のヘルキャットというのは大袈裟ではなく、羨ましいほどアメ車っぽい、野太いサウンドが響くのである。
また社外品のエアクリーナーもパーツ待ちということで、アメリカからパーツがやって来たら装着する予定になっている(これらを4年かけて少しずつ行ってきた)。
「娘の孫を迎えに行くのですが、10階に住む孫から『じいちゃんのクルマが来るとすぐにわかる』といわれるんですよね。娘からは近所迷惑だからエンジン切ってとも」
たしかに目隠しして音だけを聞いていれば、まさかダッジバンが来たとは思わない。超スポーティなスーパーマシンがやってきたと誰もが思うはずである。そのくらいの音量でもある。
「ここだけは譲れないよね(笑)。ホントはもっと速くてスポーティなコルベットみたいなのにも乗りたいけど、家族の移動車としても使っているからさ。だからアメリカンV8のサウンドだけは本物感を味わいたい。レーストラックの高橋さんにはほんと感謝ですよ」
ちなみにレーストラックの高橋氏いわく「こうしたカスタマイズができるのもやはり90年代の車両であるということが大きな理由という。現代の車両では、たとえばマフラーを交換するにも車検に通らないとか、たとえばパワーアップするにもあまりにも巨大なパワーになり過ぎるとか、結構な難が多い。
だが、90年代の車両では、ちょっと手を加えると変化が体感しやすく、しかも街中走行時レベルで十分に面白い。今のクルマは出来が良くなり過ぎているので、ノーマルで十分な性能だからあえて変化を出す必要すらない。もし手を加えれば、公道レベルじゃ体感できないほどの余剰になってしまう。
ま、ある意味効果が体感しやすい90年代は、そう言う意味では、それなりのレベルってことになりますが、それをどうにかさせたいと思わせ、そしてどうにかできる面白みがあるんですね」
なるほど。手を加える楽しさとは、すなわちそれだけ未熟な部分がある、ということなのだろう。しかも、その未熟な部分こそが面白さでもあるのだろうし。
さて、取材当日はお台場で待ち合わせをしたのだが、大野さんはその前にディズニーランドにお孫さんを送り、その足でお台場までやって来た。
それ以外にもお孫さんの塾の送り迎えもやっているということで、お台場&江東区あたりをちょこちょこと毎日のように走り回っているという。
購入した時点で7万キロ弱だった走行距離は、今現在10万ちょっと。入手して約4年が経つということだから、まだまだ十分に走れる個体でもあった。これからもダッジバンとの生活をぜひ楽しんでほしい。
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