これからの時期は冬用タイヤに交換する時期でもあって、恐らく日本で一番タイヤ交換の量が多い時期ではないかと思う。で、そんななか、常に結構な問い合わせがあるのが、メーター内の警告灯に関するもの。
半径のタイヤマークの中にビックリマークが描かれた警告灯。いわゆる空気圧監視センサーの異常による警告灯の点灯である。
今回、この警告灯の現状に関して、ABE CARS Tama Garage の酒井メカニックにお話を伺った。
「この空気圧に関するセンサーを、TPMS=Tire Pressure Monitoring System=空気圧監視センサーといいます。これは、2008年以降のアメ車には標準で装備されており、すなわち、2008年以降の車両は空気圧に異常があればセンサーが教えてくれるために、空気圧不足による偏摩耗やバースト、事故等を未然に防いでくれるのです。
ですが、このセンサーは消耗品であるため、長い目で見た定期的部品です。とはいえ、定期交換とは言ってもオイル交換のような短いスパンではありませんので、神経質な管理は必要ありませんが、それでも車両の長期使用となれば、「誰もが一度は交換を経験する」と言えるかもしれませんし、冬用タイヤ装着時や社外の大径ホイール交換時にはセンサーが装着されないまま使用されている車両が数多く存在しますので、本来なら、そういった社外品のホイール装着車にもTPMSを装着すべきなんです」
というのも、タイヤはクルマと路面を結ぶ唯一の接点であり、車体を支えるのはもちろん、走る、曲がる、止まるといった基本的動作をつかさどる非常に重要なパーツだから。
タイヤは、加速や減速、停止や曲がりといったドライバーからの指示を的確に路面に伝え、同時に乗り心地を保持するための快適性に作用する働きを持つ。すなわち、「荷重を支える機能」「駆動、制動を支える機能」「進路保持を支える機能」「路面からの緩衝機能」を持っている。
これらの機能はクルマの走りの根幹部分にあたり、そこにタイヤが密接にかかわっているからこそタイヤは重要なパーツとなり、タイヤの性能を維持するための点検&メンテナンスもしくは交換が必要になる。
で、われわれオーナーレベルで可能なタイヤのチェックポイントしては、空気圧のチェック、タイヤの溝のチェック、偏摩耗のチェック、タイヤの製造年月日の確認(タイヤの寿命)という4項目があげられる。で、そのなかの空気圧に関して。
免許証取得時にも学ぶ基本的な項目である。一般的にそのクルマごとに適切な指定タイヤ空気圧が明示されており、純正タイヤが装着されている場合、その指定の空気圧を守りさえすれば問題ない。
ただし、厳密にいえば空気は微妙な割合で抜けていくので、定期的なチェック&補充が必要になるのは、誰もが知っていることだろう。
たとえば、2000ccクラスの車両でタイヤの空気圧が50kPa不足した場合、市街地で2%程度、郊外で4%程度、燃費が悪化するといわれている。また燃費のみならず、過度の低下はバースト等の危険性もはらんでいるのである。
ちなみに、筆者が過去に取材したオーナー例でいえば、大径ホイール装着車のエスカレードで、TPMS未装着車であり、タイヤ空気圧に異変を感じたことで頻繁に空気圧を補充していたのだが(何かおかしい程度の異変)、ある時バーストしてしまい、ホイールのリムもガリガリにしてしまった事例があった。
これ、TPMSを装着していれば、どこのタイヤに圧の異常が起きているかがハッキリと認識できたはずで、初期対応がまったく違ったはずである。
要するに、純正タイヤをそのまま装着していれば、そのタイヤにはTPMSが装着されているから、それにより異常が認識できたわけで、仮に大径等の社外品に交換した場合でも、そのホイールにTPMSを装着していれば、上記のようなトラブルが避けられた可能性は非常に高いのである。
でも一体なぜ、多くの社外ホイール装着車は、TPMSを装着しないのか。
その理由の一つが、元の純正タイヤからの移植が面倒だから。TPMSはホイールに組み込まれるから、仮に移植するにもホイールからタイヤを取り外さなければならず、その作業にはタイヤチェンジャーが必要になる。そもそもどこのショップにもタイヤチェンジャーがあるとは限らない。
また、移植しようと試みても、TPMSのバルブ形状が合わず、バルブ交換等で、結果的にそのショップでは対応できない場合もあるし、大径ホイールに装着する際にはコツがいる場合もある、etc。
なお、TPMSが未装着であれば先に記したビックリマークのような警告灯がメーターパネル内に点灯するが、それ以外にも点灯するので、注意が必要である。
というのも警告灯は、未装着以外にも、そもそものタイヤの空気圧の異常を検知した場合(この時の警告灯点灯が本来のTPMSが持つ役割)、TPMS自体のセンサーが消耗して電波を飛ばさなくなった場合(要交換)にも点灯するから。
だが上記のうち、後者二つは点灯と同時にメーターパネル内に異常内容が表示されるから(車両年式による)、それにて点灯理由が理解できる。一方で、そもそも未装着の場合は常時点灯しているから、異常時の把握がでできないという理屈である(未装着は安全機能を一つ殺しているということになる)。
<メーターパネル内の警告灯点灯事例>
■TPMSによる空気圧の異常感知
■TPMSセンサー自体の消耗劣化
■TPMSセンサー自体の未装着
etc
ちなみに、「弊社工場では、TPMSに関する電子デバイスを所有しておりますので、センサーからの電波状況を確認する等して異常&消耗等を確認することができます。気になる方はお問い合わせいただければと思います」
ABE CARS では、センサー自体の電波状況(消耗レベル)を、ホイールからタイヤを外しTPMSを取り外さなくてもそのままの状態で、電子デバイスにて確認できるから、愛車の状況が知りたければ確認してもらうといいだろう。
<上記点灯事例の対処法>
■TPMSによる空気圧の異常感知
→ 空気圧チェック & →バーストならタイヤ交換
■TPMSセンサー自体の消耗
→ センサー自体の交換 (1輪のみの異常でも4輪交換が望ましい)
■ホイール交換によるTPMSセンサー自体の未装着
→ 新規のTPMSを装着
さて、上記のような警告灯点灯時の対応で、一番多かった点灯理由が、冬用タイヤ装着時の場合だという。その次が大径等の社外ホイール装着時。
で、純正品の消耗の場合は、比較的新たに交換する方が多いという。(そりゃそうだろう。普通の方なら自分の愛車に警告灯がずっと点灯しっぱなしであるということに耐えられるはずがない(笑)。しかも消耗品であるならなおさら交換するだろう)。
で、今回ABE CARS で紹介してくれたのが、汎用品のセンサー。こういった汎用品のセンサーは今や世界中に普及しており、当たり前のように使用されているという。
しかも純正品と汎用品とではその性能はほとんど変わることなく、車種の制限もないというから、純正品の入荷待ち、というような待ち時間もほとんど必要ない。それでいて純正品に対して価格で2割から3割ほど安価というのだから、多くのメカニックやアメ車ショップが使用するのも納得である。
ということで、まずはTPMSの装着の重要性を再認識すべきであり、未装着車は近近に装着すべきだと思う。
また、これから冬用タイヤを装着する方々は、夏用タイヤのTPMSを移植せず、そのTPMSの複製センサーを作り、冬用タイヤに装着すれば、夏と冬とでタイヤ交換のみをすればOKということになるのである。
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