いま90年代のアメ車に乗ることは、ある意味異文化体験が可能なだけに非常に楽しい一面を持っている。
だが、これまでずっと90年代のアメ車に乗ってきた方の中には、頭痛の種という方もいる。
購入当時はいろいろやってきたが、そこから10年も経てば、徐々に整備やトラブル費用がかさみ次第に重荷になっていく…。それでも最初は耐えていくが、やはり追いつかずトラブルが重なり、そして次第に乗らなくなり、そのうち車検も切れ、だんだんとガレージのお荷物となっていく。
本来なら、そうなる前に手を打つべきなのだろうが、まあそこは人それぞれありますから~。で、今回はそんな風に3年放置されていた98年型のタホ。そいつをレーストラックが引き取った。
もちろん、普通の思考の持ち主なら解体屋直行か部品取り車に成り下がるはずであろう状態だったが、そこはプロの修理屋だけに捨てずにちょっとずつ手を加えていった。まずは燃料周り系のパーツをリフレッシュ。さらに点火系等のエンジン周りを整備して安定したエンジンのかかりと燃料系の動きを見計らった。
そしてエンジンとミッションの動力性能を探り、ひと通りのチェックを行った末にOKサインのもと、さらなるその先へのリフレッシュを行っていったのである。
というのもこのタホ、二駆なのだが2ドアである。その希少性かつスタイリッシュさにファンは多く、「生かせるものなら生かしたい」との思いが当初からあったいうのである。
そしてランプ類を総交換して、ボディペイントのヤレを修復し、さらにはグリルやバンパーを交換。足回りはいわゆる定番の4.6ダウンにして、当時の雰囲気を残した2ドアタホへと様変わりさせたのである。
一方でインテリアでは、シートを交換しフロアの絨毯を貼り直し、さらにはもともと装着されていたレカラのステアリングのレザー部分をあえて交換せずに巻き直している。もちろん、全部が全部新品ではなく、中古パーツを使用したりもしたものだが、一瞥するに3年放置されていたヤレ感は、いわれなければ気づかないレベルになっている。
で、以上のリファインを終えた状態が上記の写真。オールブラックのボディにファントムグリルが90年代に流行った当時の雰囲気をひしひしと伝えてくれる。だが一方で、装着されている20インチの現代風ホイールが、オールドな雰囲気に「今」を感じさせ、そのミックス具合が斬新であるといえるだろう。
まあ、すべてにオールドテイストをもたらした古い味を体現するものもあれば、古さに新しさをミックスさせたものもあるし、そういう色とりどりの遊びができるのも、90年代のアメ車の魅力であるのだろう。
高橋氏いわく「よくお客さんに、『いまでも90年代のアメ車乗れんの?』って聞かれるんですが、『乗れますよ』を体現するために、自らこのタホを仕上げようと思いました。みなさんが気にするパーツの面でも十分に整備可能でしたし、逆に慣れてしまえば消耗関係のパーツもわかりやすい年代です。今回はファントムグリルを装着して、当時流行ったタホのカタチを、いま新たに見てもらいと思っています」
それにしても、オールブラックのタホ2ドアは、硬派な雰囲気と低めの車高とがもたらす絶妙なバランスが見事であり、また一方で2ドアならではのレア感が、一層価値を高めていると思う。
それでも、90年代後半から2000年初頭には、こうしたタホが日本全国にいたわけであり、「当時のアメ車はカッコよかったな」と、これを見てまた思う方がたくさんいるのではないだろうか。
筆者もそのくちである。当時はフルサイズといわれたボディも、今見るとそれほど大きくはなく、逆に小ささを感じさせるからこその魅力もある。
くわえて搭載される5.7リッターV8エンジンは、255hp、最大トルク330lb-ftを発生させるが、この風情にも十分なパワーであり、SUVではるが、クーペのようにも使える感じが素晴らしいと思う。
この先、しばらく走らせ調整し、コンディションの粗を出し尽くすそうなので、それが終わればかなり状態のいいタホへと仕上がるはずである。当時乗っていた方にも、これから乗りたいと思う方にも、このタホはかなりオススメであると思う。
330,000円
AUDIO&VISUAL
あとづけ屋
283,800円
AUDIO&VISUAL
あとづけ屋
183,250円
AUDIO&VISUAL
あとづけ屋
272,800円
AUDIO&VISUAL
あとづけ屋