仕事柄、ニューモデルに接する機会が多いのは事実だが、ほんとに一番最初に目にするのは本国メーカーの広報が発するメディアニュースだったりするわけだから、みなさんと同じようにメーカー発の広報写真を眺めるわけである。
「へぇ~これがニュー・タホか、ちょっとビミョーだな~(だいぶ前の話であるが)」
タホのあとにデビューするであろうニュー・エスカレードの写真を見ていたせいもあるが、カッコイイともカッコ悪いとも…、なんとも言えない不思議な第一印象だったことは間違いない。具体的に言うと、各部のデザインがあまりにも直線基調すぎてボディラインの抑揚等が写真では見れなかったこと。それにフロントマスクが何とも言えない感じに見えた。
個人的には、歴代最高モデルと記憶する2104年までの「現行モデルで十分」との評価があり、超個人的な評価として、新型タホは、一発合格とはなり得なかったのである。
だが取材当日、初めて見たタホのインパクトはかなりものだった! いや実際には直線基調のボディは当時見た写真のままだったし、ある程度は想像していた通りだったのだが、3つほど予想を覆すものが確実にあった。
まず一つがフロントマスクのインパクト。キラキラ顔に少々やりすぎな感はあるものの、アメ車らしい個性と迫力、そして何より他の何にも似ていないオリジナリティ溢れる表情に一発ノックアウト。どこぞの覆面レスラーのような感じもするが、実物の印象はかなりいい。正直、今一番欲しいアメ車のナンバーワンにリストアップしたほどである(笑)。
それにボディカラー。プレミアムカラーのサブレメタリックというらしいが、このパープルメタリックのようであり、ガンメタにも見え、時にブルーにも見えるなんとも言えない絶妙なカラーリングが、タホのプレミアム感を一層増長する。
そしてその2。インテリアの変革である。2104年型でも何ら不満はないが、この2015年型は、2104年型にプラスして質感の向上と共にデザイン性がアップしており、一気に垢抜けた感じで満たされる。しかも各部にアメリカ的なデザイン性が見られるから、エスカレードやナビゲーターといったラグジュアリー的な雰囲気はないものの、満足感は非常に高い。
常に視界に入るメーター類は格段に洗練され、コラムシフトの動作感にも品があり、センターコンソールやエアコン系の操作スイッチの作りの確実さ、さらにドリンクホルダーへと続くその一連のインテリア各部に貼られるレザーにホワイトステッチの見事なデザイン。
これまでのシンプルイズベストといった質素なインテリアに、華が加わった感じであり、誰もが納得するであろう(筆者は感動した)変革に富んだインテリアが与えられているのである。
そして走り。ボディはこれまでの中で随一の高剛性化を図り、サスペンションの精緻化と共にトラックベースとした挙動が完全に消えている。正直、2014年型までの現行型の出来があまりにも良すぎるために、2015年型になったからといって「それほど変わらないだろう」という事前の予測が完全に裏切られたほどだった。
それはまったく別物に乗っているかのごとくであり、ハンドリング、ブレーキング、そしてロール等の挙動制御のレベルはさらに一段上のレベルに上がっている。
最新のC7コルベットでも感じたが、本気になったGMはマジで凄まじい。「もうちょい前から本気出せよ」とも言いたいが、この最新GMが仕上げたアシは、旧世代からアメ車を知っている方々が乗れば、それこそ驚愕の出来である。これなら誰が乗っても何ら不満はないレベルと言っていいだろう。
ちなみに、今回取材したタホは、LTという中間グレードモデル(+オプション多数)ということで、マグネティックライドサスが装備されていないのだが、しかも22インチタイヤという大径ホイールを装着しているにもかかわらず、街中ではタイヤの転がり音しか聞こえないほど巧みに凹凸を制御しており、まるで高級セダンのような静粛性と共に、乗り心地は世代最高レベルと言っても過言ではない。
C7でもそうだが、マグネティックライドが装備されていない標準仕様のアシがしっかり作られているからこそ、マグネティックライドが生きるのだろう。
ということで、BUBU横浜店で取材終了後に、そのまま試乗に出かけた。目指すは渋谷である。
東名高速に乗り首都高を走り池尻大橋で降りたわけだが、その際のタホの走りは衝撃だった。特に時速100キロを超えてからの安定感とステアリングの落ち着き、さらに咄嗟のブレーキング等が、背の高いSUVかつ重量級4WDモデルから想像される挙動とはまるで異なり、一回り以上小さいSUVを運転しているかのごとく軽快かつ安定しており、アクセルオンでもオフでも心地よく走れるのが嬉しい。
また電動調節機能を備えたシートアレンジが多彩で、ドライバーに合わせた微調整も可能なために、ちょっと上目からフロントフードを見下ろすアップライトな姿勢が取れるために、幅2044ミリサイズではあるが、さほど大きさを感じずに運転できるのもいい。
だからこそ、渋谷であえて狭い道に入り込んだりもしたが、全く問題なく走れたし、ボディサイズの大きさにも臆する必要はないだろう。ちなみに、109前や道玄坂付近では、それこそ周囲に圧倒的なインパクトを与えた新型タホ。同時に走っていたマセラッティやポルシェを余裕で蹴散らすほどの視線をかき集め、渋谷の若者たちに「なんじゃこれ?」と場の雰囲気を一瞬にして変える事ができたのである。
最後に。同乗したカメラマンが言っていたが、セカンドシート以降の広さが半端ではないという。実際に2014型から2015年型に進化した際に、ボディ全長が5130ミリから5180ミリへと伸びているのだが、そのプラス50ミリはすべて、後部座席の足元スペースに与えられているという。すなわち、全席ファーストクラスじゃないが、乗員7人すべてが等しくプレミアム感を共有できるだけの室内空間を得ているというわけである。
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