更新日:2012.05.04
文/石山英次 写真/古閑章郎
実はこれまでのアメ車人生の中で一番多く試乗したのがクライスラー300Cである(余談だが、2位がフォードマスタングに3位がシボレーカマロ)。そして伝統の「HEMIヘッド」を持ったV8ユニットと、1950〜60年代のアメリカン・カスタムカーを彷彿させるマッチョでグラマラスなボディ、そして先代メルセデスE用シャシーを使いながらも(噂だが)、それを見事に消化させた足まわり…。
まさにドイツとアメリカの融合だと、非常に印象の強い一台なのである。
迫力のボディには、ひと昔前のアメ車のような「甘さ」がなく、ボディのチリや隙間の感覚もビシっと一本筋が通っている。乗り込んだ感覚もドイツ車のごとく堅牢であり、手に触れる各パーツの剛性感にも驚かされる。過去に取材した某セダンと比較すると1.5倍くらいの違いはあるだろうか…。
シートの座り心地は硬く、ステアリングやシフト操作、ペダルフィーリングにも重厚感を感じさせる。言ってみればちょっと前のドイツ車のような印象である。ただし、デザイン優先で低いルーフを演出しているためか、ドライバーの位置からフロントの鼻先を感じるのが難しく、さらにサイドウインドーが小さくドライバーとの位置関係にかなりの違和感を感じるのはご愛敬か?(アメ車らしい?)。
それでも、走らせれば誰もが納得するはずである。HEMIヘッドOHVエンジンが発生させる340ps、53.5kg-mのパワーは圧倒的であり、ステアリングとブレーキが格段にシッカリしているからどこでも速い。アメ車の場合、エンジンパワーに追いつかない足腰、つまり「エンジンがシャシーより速い」ことは多々あり、それが当たり前のような気がしていたが(それこそがアメ車の持ち味だったりしたが…)、このクルマに限っては、直線もコーナーもまるで何事もなかったようにクリアしてしまう。
分厚いトルクとATのマッチングも良好で、望むだけのパワーが瞬時に得られるようになっている。乗り心地は正直硬いが、これだけのダイナミックな性能を達成するには致し方ないのかもしれない。
クライスラー300Cは、2011年に第二世代に突入している。この印象がどう変わったか? もしくは変わらなかったのか? 次回でレポートしよう。
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