2012年に発表され2013年後半に2014年モデルとしてデビューしたフォードトランジットコネクト。2013年のセマショーにはトランジットのカスタマイズモデルが10台ほど出品され、フォードの力の入れように驚いたモデルというのが記憶に新しい。
このトランンジットコネクトは2列シートの乗用バンであり、その3列シートモデルをトランジット コネクト ワゴンと呼ぶのである。本国アメリカでは、商用バンやタクシーとして使用されているほか、乗用車モデルはワゴンボディとミニバンの中間的存在して人気を博している。
トランジットコネクトはベースをフォードフォーカスとすることから、サイズ感はなんとなくでもお分かりいただけると思う。有名どころで言えば、あのルノーカングーに近いサイズ感であり、3列目シートモデルのトランジットコネクトワゴンにおいては、全長&ホイールベースが一段と長くなっている。
■トランジットコネクト(2列シート):全長×全幅×全高=4417×1834×1829ミリ&ホイールベース=2662ミリ
■ルノーカングー(2列シート):全長×全幅×全高=4280×1830×1810ミリ&ホイールベース=2700ミリ
■トランジットコネクトワゴン(3列シート):全長×全幅×全高=4818×1834×1829ミリ&ホイールベース=3063ミリ
※■シボレーシティエクスプレス:全長×全幅×全高=4732×1730×1872ミリ&ホイールベース=2925ミリ
なお、シボレーシティエクスプレスとは、GMが日産自動車からOEM供給を受けシボレーマスクを付け販売されている商用ミニバン。ベースは日産NV200バネットであり、フルサイズバン(エクスプレス)需要が減るなか、主にタクシー等に使用される商用バンとして広まっている(写真下)。
余談ではあるが、トランジットにはフルサイズモデルも存在し、そちらは2015年にリニューアルデビューしている。ミニバンサイズのトランジットコネクト、フルサイズのトランジットである。
このフルサイズモデルは、いわゆるあのフルサイズバン・エコノラインの後継モデルであり、エコノラインがこれまでフレームボディだったのに対し、トランジットはモノコック構造を採用。
さらに2種類のホイールベースに、2種類のボディサイズ、3種類のルーフ形状、3種類のエンジンが用意されている等、新時代のフルサイズバンとしてワールドワイドに展開されている。
フルサイズバンらしく、もっともスタンダードなボディサイズで5585×2065×2123ミリとなっているから、その大きさがおわかりいただけるだろう。なお、搭載されるエンジンは、スタンダードな3.7リッターV6、さらにフォードF150に搭載される3.5リッターV6エコブーストと3.2リッター5気筒ターボディーゼルが用意される。これらはすべて6速ATと組み合わされる。
さらに余談だが、トランジットには一段と小さいモデルも存在し、フィエスタベースのトランジットクーリエも存在するが、このモデルは基本欧州向けのモデルであるから本国アメリカを走っていることはほとんどないと言っていいだろう。
とはいえ、フルサイズモデルのトランジットを含め、2015年以降のフォード製バンのすべてがアメリカのみならず欧州を含めたワールドワイドな展開ゆえに、クルマ造りそのものも新時代の欧州的なものになりつつあるということは、残念ながら認めないわけにはいかないだろう。
で、今回取材したモデルがトランジットファミリーの中間モデルとなるトランジットコネクトの3列シートモデルであるトランジットコネクトワゴンの直輸入車である。
さすがにフルサイズとなると、その使用目的も含め購買層がかなり限られてくると思うが、ミニバンサイズのトランジットコネクトワゴンなら、パッと見の感じからも適度なサイズ感が伝わってくるし、見た目の印象では国産ミニバン群と同様のサイズ感で、日本での使用にはジャストなサイズといっても過言ではない。しかも3列目シートも付いてるし。
くわえて、ベースとなるのがあのフォーカスであるから、ボディ骨格の強さや足腰の粘り強さにも定評があり、そうした質感の高さにも期待が湧いてくる。
このトランジットコネクトワゴンに搭載されるエンジンは、2.5リッター直4DOHCエンジンで169hp、最大トルク171lb-ftを発生させる。それを6速ATと組み合わせて小気味よく走らせる(ちなみにルノーカングーは4速ATだった)。
なお、トランジットコネクトには二種類のエンジンが用意されており、上記の2.5リッター以外に1.6リッター直4エコブーストエンジンも存在する(178hp、最大トルク184lb-ftを同じく6速ATで走らせる)。
トランジットコネクトワゴンを一言で表せば、「背が高く幅はそこそこだが、両側スライドドアを持つ3列目シート+広大な荷室スペースをもつパッケージング車」ということになる。
このコネクトワゴン、いわゆる日本人的なミニバンスタイリングというよりは、トールワゴンのように乗用車ベースにAピラー以上の上屋の位置が上がった(ミニカトッポのような)パッケージングが効いており、室内効率はミニバンと同様以上のレベルを維持しながらも、ミニバンとは決定的に違う重心位置の低さがもたらす乗用車的な走りが特徴になっている。
筆者は、日本一売れているトヨタボクシー(社用)にすでに7年乗っているからこそ、即座にその違いわかったのである。乗った時の視線の高さは、ベースとなるフォーカスとボクシー等のミニバンたちとのちょうど中間くらいの位置であり、乗用車とまったく同レベルとまではいかないまでも、国産ミニバンとは比較にならないほどの低重心の安心感が備わっている。
しかもハンドリングやブレーキングにはフォーカス同様のがっちりした印象も備わり、それでいて頭上空間等が広々しているのだから、安心感と心地良さが同居し、ミニバンユーザーもしくはミニバン好きにアピールするには格好のモデルと言えるかもしれない。
ヨーロッパには荒れた路面の道が多く、石畳を使った迷路のような道もあり、一方で高速道路の平均速度は日本より断然高い。コネクトワゴンは、そういう過酷な道をも走り得る道具として作られているのである。
だから「高速では矢のように直進して、コーナーでは背の高さからは想像しがたいほどに路面にへばりつく。タイヤも215/55R16インチであって強力なグリップ力とは無縁でありながらも、どんな路面や曲率のカーブでもピタッと吸いつく。くわえて足がよく動き乗り心地も一定レベルを確保する。ステアリングは正確で接地感も濃厚に伝わってくるから安心感も高い。もちろんサスペンションにはハイテクは皆無。だけど、運転好きをもうならせる走行感覚……etc」
あくまでイメージだが、ちょっと走っただけでも、そんな走りの姿が容易に想像できる質感がハッキリと伝わって来るのである。
一方で、セカンドシートへのアクセスも格段に楽チンだった。それも同様に乗り口の地上高の低さがもたらす快適性である。セカンドシートに座れば、これまた同様に頭上の高さの空間が広大で圧迫感がなく、感覚的にはフルサイズバンのセカンドシートに座っているかのごとき開放感に浸れるのである。
3列目シートに関しては、日常的にリアゲート内に荷室を作るのであれば、畳んで使用することはできないが、万が一大人数を運ぶ際には圧倒的に便利であり、中学生くらいまでの子供なら2人、大人でも一人なら十分に着座できるスペースがあるから(頭上空間にはSUVの3列目以上の余裕がある)、まさに国産ミニバンを凌駕するスペース効率を有している。
筆者も経験しているが、小学生程度のお子さんをお持ちでクラブ活動や課外の野球やサッカークラブに所属しているご家庭には、絶対にミニバンが必要である(笑)。そんな際にみなが乗る国産ミニバンとはひと味違うトランジットコネクトワゴンなら、よりお洒落で洗練されたイメージを与えることが出来るかもしれない。
実際、視界や車両感覚が格段に良く案外小回りもきくから、日本の道路事情でもあつかいやすいし運転も楽しく、他との差別化も完璧だから、人とは違うレジャーカーとして目からウロコが落ちること間違いなしである。
この車両を直輸入しているBCDでは、最近プチフォードフェアとばかりに積極的にフォード車の扱いを増やしている。
というのも単純に、フォード車に面白い車両が多いからである。シェルビーGT500にBOSS302にF150トラック、さらにはラプターかと思えば最新マスタングのコンバーチブル。
一方で上記のトランジットコネクトワゴンの次は、6MTのフォーカスSTというから興味は尽きない。トランジットコネクトワゴンに関しては、この車両以外にもカラー違いのモデルが数台在庫されている。
BCDは、こうした魅力的なフォード車を積極的に扱っているが、単なる「売り屋」ではないから保証体制や整備体制も整っており、フォード車対応のスキャナーの完備やノウハウ&経験が豊富である。すなわち、クルマ好き&アメ車ファンの味方として購入からその後の維持までを万全の体制で支えてくれるのである。
330,000円
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