更新日:2011.07.04
文/編集部 写真/編集部
室内のエアコンのスイッチを入れるとコンプレッサー内にあるガスが圧縮され高圧のガスになり、ラジエーター前にあるコンデンサーへと送られる。この高圧のガスは、走行風により冷やされ液化する。そしてオリフィスを通過することで膨張し圧力が下がりエバポレーター内で冷やされ、ファンによって室内に冷たいエアが送られるのである。室内に送られたエア以外の熱を奪われたガスは、レシーバータンクに戻りろ過され、再びコンプレッサーに送られる。ここで注意しなければならないことは、このエアコン・システムの中を循環しているのは、エアコンガスだけでなく、コンプレッサーのオイルも同じように循環しているということである
コンプレッサーには、オイルが必要である。そのオイルは、エアコン・システム内をエアコンガスと同様に循環している。だからガス抜けが起こり、ガスを注入する場合には、コンプレッサーのオイルも規定量入れ換える必要がある(ガスが抜ければオイルも抜ける)。オイル切れ、また入れ過ぎもコンプレッサーを壊す原因になる。見落としていたオーナーは、今後注意が必要である。
コンプレッサーのトラブルは、オイル切れの問題もあるが、ガスの入れ過ぎで圧が上がり、コンプレッサーが耐えきれなくなり、焼き付きや故障を起こしてしまうということも、現実的に起こっている。
コンプレッサーが焼き付きを起こせば、スラッジが発生し、それらが配管内を循環することで、各部を詰まらせてしまう。この場合、コンプレッサーだけを新品に換えてもシステム自体は回復せず、配管内に詰まったスラッジをすべて取り除き、コンデンサーの清掃やオリフィスの交換といったシステム全体のリフレッシュが必要になってしまう(コンプレッサーだけ換えても、配管内に残ったスラッジが再び循環しコンプレッサーを壊してしまう。いわゆるエアコン地獄というやつ)。
もちろん、コンプレッサー自体の電気的トラブルもあり得るので、一概にはいえないが、少なくてもガスを入れ過ぎた場合は、コンプレッサーのトラブルを招き、そのトラブルにより、システム全体のリフレッシュが必要になってしまう可能性が高くなる。それ以外にも、コンプレッサーを正しく装着しないがために起こるトラブルもあるから注意が必要である。
その3の全般的なシステム内の詰まりとは、配管内に発生したスラッジが配管を詰まらせたり、オリフィスを詰まらせたりすることで起こるトラブルである。が、基本的には、これらのトラブルはコンプレッサーの焼き付きやトラブルにより発生したスラッジが原因(2次的トラブル)であり、もとを正せば、ガス漏れやガスの入れ過ぎが原因で起こっている。
こうしてエアコントラブルの要因1〜3までを検証すると、それぞれの項目特有の原因はあるが、同時に「ガス漏れによるガスの入れ過ぎ」がすべての項目に絡んでいるという事実が分かる。
これに関しては、リアエアコン付き車に限られる話である。オプションのリアエアコン付きのアメ車の場合は、本来メーカー出荷時に純正品として装着されていなければならない。それは、クルマを造る段階から設計しなければ、配管を通すスペースが、後からではできないからである。ところが、中古並行車として日本に輸入されたミニバンやフルサイズバンの中には、純正品とは違う後付けのリアエアコンが装着されている個体が多数あるという。
そういった後付けリアエアコンに使用されているパーツは、ほとんどが社外の汎用品であり、純正品に比べ圧倒的にクオリティが劣っている。さらに本来あり得ないところからバイパスを作り配管を引いているため、確実に漏れが起こり、その漏れにより二次的、三次的トラブルを引き起こすのである。
後付けのリアエアコンは、残念ながら完璧な修理は不可能だ。というのも、使用されている社外品のパーツが手に入らず、仮に他のパーツを代用し修理しても、また同じように漏れてしまうことが経験上多いからである。
対策としては、リアエアコンの機能を殺してしまうこと。それ以外に現状で対策できるベストな方法はない。ちなみに、純正のリアエアコンも同じように漏れる危険性があるが、こちらは修理することが可能である。ただし、パーツ代や工賃が非常に高いので、同じように殺してしまうことも方法のひとつである(オーナーの判断次第ということ)。
<まとめ>
前述したようにアメ車のエアコン・システムは日本製のそれとは違う。だから、当然日本車のエアコンをいじっているからといって、アメ車のエアコンが修理できるとは限らない(アメ車のシステムを理解していない限り)。エアコン修理歴25年といわれる電装屋さんでも、アメ車のエアコンをいじったことがなければ、まったく無知も同然である。
何がいいたいのかといえば、アメ車のエアコンを壊している原因のひとつとして、それをいじる業者の知識のなさがあげられるということである。冷風が出ないとすぐにガスの補充を勧めたり、実際に大量のガスを補充してしまい、コンプレッサーを壊してしまう。壊したコンプレッサーを交換するにしても、配管内をクリーニングしスラッジを取り除くリフレッシュをまったくせずに、さらにはコンプレッサー自体を正しく装着できない(で、またコンプレッサーを壊す)。オーナー自身もエアコンに関して無知なため、業者の言いなりになり、ついにはエアコン地獄から抜け出せなくなってしまう…。
ただ、このような行為に及んでしまった業者の方々も、実はその行為の善悪にまったく気付いていない場合もある(なんせ無知なんで)。だから、間違った行為を指摘できるようになるためにも、オーナー自身がしっかりとした知識を身につけ、日頃のメンテナンス等で、エアコンを快調に保つ努力をする必要がある。そして、信頼できるプロショップとともに愛車をいたわることが必要である。
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