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今後5年でラインナップが激変する可能性が大

新型200に見るこれからのクライスラー

気になるバイパー、チャレンジャーの行方は?

先日発表されたFCAの中期経営計画を聞いて、ふとよぎるラインナップ再編の可能性。われわれアメ車ファンとしては気になるモデルが多数あるだけに、クライスラーには期待したいところだが。だが…。

更新日:2014.05.20

文/椙内洋輔 写真/クライスラー

新生クライスラー発のミドルクラスセダン

 今年1月のデトロイトショーでデビューした新型クライスラー200が好調な売れ行きを示しているという。

 クライスラー200とは、クライスラーとフィアットの統合にて生まれた新会社FCA(フィアットクライスラーオートモービルズ)から発売されている第一弾と言える車輌。

 200は、これまでクライスラーセブリングと言われていたが、新型ではフィアット傘下のアルファロメオジュリエッタのベースに切り替え「200」に生まれ変わり、第二世代へと移行したクライスラーのミッドサイズセダンである。

 搭載されるエンジンは、ペンタスター3.6リッターV6(295hp)とダッジダート譲りのタイガーシャーク2.4リッター直4マルチエア2エンジン(184hp)。トランスミッションは、共に9速ATを採用し、燃費は先代モデル比で10%以上の向上という。
 
 モデルラインナップは、標準の「C」に上級クラスの「S」があり、基本はFFであるが、4WDもセレクト可能という。「C」は内装色がベージュ基調の落ち着いた感じになり、「S」はブラック基調のスポーティなものとなる。

 なお、先日発表されたFCAの中期経営計画によれば、2016年には「200」よりも小さい小型セダン、新型「100」を投入するという。ライバル視される競合車は、トヨタカローラ、シボレークルーズ、フォードフォーカスあたりになるのだろう。だが、これにてクライスラーには100〜300までのセダンが揃うことになる。

 このクライスラー200は、ベースをアルファロメオと共用するが、生産はミシガン州の工場にて行われる。ちなみに余談だが、先日発表されたジープレネゲードは、アメリカで設計されイタリアで生産が行われる。

搭載されるエンジンは2種類で、ペンタスター3.6リッターV6(295hp)とダッジダート譲りのタイガーシャーク2.4リッター直4マルチエア2エンジン(184hp)。トランスミッションは、共に9速ATを採用し、燃費は先代モデル比で10%以上の向上という。FFとAWDがチョイス可能。

標準モデルは内装色がベージュ基調の落ち着いた感じになり、ラグジュアリーテイスト溢れる質感。それにしてもこれまでのクライスラーでは考えられないほど全体の雰囲気が上がっている。これもイタリアの血が混じったことによる作用だろう。

上級モデルとなる「S」はブラック基調のスポーティなインテリアとなる。

今のところアメリカ的デザインとイタリア的インテリアの融合が見られるだけだが、今後、デザイン的な部分にもイタリア的な手法が随時含まれていくのだろう。

今後5年で再編される可能性は?

 こうした新型モデルの登場を見て行くと、またFCAの中期経営計画を聞くと、クライスラー系のモデルラインナップが今後再編されていく可能を強く感じる。

 たとえば300。現行モデルですでにイタリア的な手が入っているだけに、さらにクライスラーのトップモデルとして、今後もラインナップされることは間違いない(現行登場3年の今秋ビッグマイナーチェンジ予定)。加えて300と同じベースを使用するダッジチャージャーも、ダート的なマスクに変わったことで(あえてアメリカ的イメージを捨てイタリア的にしたことで)、生き延びるだろう。

 一方、ダッジチャレンジャーは今後が未定の状態。さらにバイパーも。

 すでにお伝えした通り、「SRT」ブランドが消滅したため、バイパーはダッジに収まることになったが、売れ行き不振でこの先が不透明。一部フィアット系のフェラーリやマセラッティとの共用、エンジン使用等で生き延びる可能性もなきにしもあらずと言われているが、果たして…。

 チャレンジャーは、本来なら「SRT」ブランドから「クーダ」復活としてモデルチェンジを敢行する予定であったが、「SRT」の消滅により頓挫。さらに共用プラットフォームを持たないためにコスト高となり、ある意味完成型の復刻デザインをいじることも難しく、現行モデルで終了との見方が強い(ただ、この現行モデルがいつまで生産されるかは分からない。逆に言えばすぐに終了ということはない)。

 一方ジープ系は、日本国内での販売も好調ではあるが、イタリアでもジープ系の人気は絶大であり、500と共用しているジープレネゲードの存在や、2018年に登場するジープトップモデル・グランドワゴニアの復活もあわせ、今後も順調に進行していくだろう。

 だからこそ日本国内で一時代を築いた300やチャレンジャー、チャージャーの今後がかなり気になるところではある。

 それにしても、V8を中心としてまだまだ王道を行くGM、エコブーストを主体に改革を進めるフォード、そしてイタリアとの提携で変革を迫られるクライスラー。いずれにせよ、アメ車好きの心を満たすクルマ作りを忘れないで欲しいと願う。

ランチアと共用されているとはいえ、現行300はまだまだアメリカ的要素をたくさん残していると言えるだろう。ただ、旧300と比較すると随分マイルドになった印象を与えるが。今秋ビッグマイナーチェンジが予定されているが、よりイタリア的なモデルになっていくのか否か、見守りたい。

チャージャーは、ベースが300と共用ということで、ある意味一蓮托生的な存在と言える。だが、今回のフェイスチェンジで、アメ車ファンからどう評価されるか? そこがこの先の寿命に繋がってくるような気がするが。

現行チャレンジャーは、先日のモデルチェンジにおいても劇的な変化は見られず、マイナーチェンジにより充実度を高めている。だがこの先、復刻系デザインとの兼ね合いもあり、新生クライスラーにおいては、消滅の道を歩ことになりそうだ。

<関連情報>
>>2015 ダッジチャージャー を見る
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