アストロには複数のエンジンタイプが存在し、デビュー当時から存在した通称Zエンジンと1992年~1995年まで存在した通称Wエンジンが有名である。この通称Wは200psの最高出力がポイントであり、当時からちょっとした取り合いが行われていた記憶がある。
で、取材車は1995年型のアストロである。この年代のアストロにはWエンジンが搭載されているから、200psを発生させるのだが、このアストロにはへダースが装着されている。
聞けば、「レーストラックは、ドリフト天国という雑誌とコラボしてアメ車でサーキットドリフトをおこなう活動に協力しているという。先日も茂原サーキットにてダッジラムを走らせたということだが、じつは今後このアストロにてドリフト走行に参加するための準備を行っている」という。
つまり、そのための準備の一環として、まずはエンジン関連の調整を兼ねへダース等の吸排気系のチューンを試しているというのである。
でも、個人的にはへダースを装着したアストロってどうなの? という興味に尽きる。
昔からアストロには随分と乗ってきたし、今もちょこちょこ乗る機会はあるし。昔から、結構エンジンの勢いが凄いアメ車で、「バンなのにバンにあらず」といった豪快な雰囲気が好きだった。そこが大人しい国産ミニバンや逆車とは違うところで、乗るとちゃんとアメ車しているのである。
しかも、取材のアストロは今となっては超レアなパネルバン。しかもWエンジン。サーキット走行なんぞに使わずに、内外装をシッカリレストアしてキレイにすれば、それこそ天然記念物的なアストロになるでは? とも思わなくはない(笑)。
それでもエンジンを始動すれば、そういった雑念は見事に消え去る(笑)。爆音とともに勢いよく目覚めるWエンジン。そして素晴らしいほど荒々しいエンジンフィーリング。
このアストロは、時に代車としてユーザーに貸し出しされるということで、点火系および電装系等のメンテナンスがシッカリなされているからか、へダースの効果が体感しやすい。
あえてドリフトをするために、中速以上の領域での抜けを良くするためのへダースということだが、アクセルひと踏みの瞬間から「モノが違う」。
なぜだか、低速を含む全域で効果が体感できているような、それほどの勢い。たった200psということだが、フィーリングはそれ以上。バンではなく、マシンの風情である。
ちなみに、いわずもがなだが、アストロ用のへダースというのは存在しない。だが、ちょっと考えれば、さらに、ちょっと加工すれば装着できるものは存在するわけである。
「たとえば、現代の最新チャレンジャーにへダースを装着する場合とこの90年代のアメ車にへダースを装着した場合では、効果のほどが高いのは間違いなく後者です。考えればわかりますが、現代の車両に装着されているへダースは、ノーマルでもある程度の効果は発揮されているでしょう。でも90年代のアメ車のへダースは、見ればわかりますが、酷いもんです。だから換えればそれだけの『変化』が確実に現れるのです」と高橋氏。
続けて「『チューニングって、V8のアメ車じゃなきゃだめ』ってことはありません。ウチではV6エンジンに手を加えている車両はたくさんありますし、『あえてV6で』ってユーザーさんもいらっしゃいますから」
話がちょっと逸れたが、アストロのへダース装着車は見事な変化を与えてくれる。あえてサーキットを走らずとも装着してみると面白いかもしれない。90年代のアメ車は、いまだ打てば響く存在なのだ。
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