2003年型のダッジバンである。2003年型といえば、1998年から始まるダッジバン後期型のシリーズモデルであり、それすなわちダッジバンの最終モデルということになる。
で、5.2リッターV8エンジンを搭載したモデルということで、今となっては非常に貴重なモデルであるが、つい最近、エンジンをオーバーホールし、へダースやワンオフのサイド出しマフラーを装着したということで取材した。
2003年型といえば今から16年前の車両だが、実際にはその前から始まる90年代の車両といっても過言ではない存在。それでも良好な個体を入手して手入れをしながら乗れば、まだまだ十分に現役で走れるところがアメ車の魅力(ダッジバン)である。
さらには、手入れをしつつ、好きなアイテムで着飾れば、それこそオンリーワンな愛車へと導くことも可能であり、フルサイズでありV8搭載でもあることから、今なお非常に人気が高い存在なのだろう。
今回取材した個体は、つい最近エンジンをオーバーホールしている。すなわち今後も末永く乗ることを前提とした処置であり、またそうした処置の合間に、同時にへダースやマフラー装着で「変化」を打ち出し、新たなるダッジバンライフを充実させる策に出たという。
その結果、エンジン始動時のサウンドの激変ぶりに、驚きの声があがったくらいである。まるで60年代の旧車のような重低音に、ハーレーのような「ドッドッドッドドドドドドッ」。不定期に訪れるもの凄い振動もともなって、「バン」が「マシン」に進化した感じである。
スタッフいわく「へダースチューニングを行えば、エンジンのピックアップの立ち上がりが俊敏になり、中速以降の伸びが格段に変わります。仮にへダースチューニングにより、若干の低速トルクを犠牲にしたとしても立ち上がりの素早さで相殺できますし、何より乾いたキレのあるV8サウンドが、リアルアメリカンを体感させてくれると思います」
実際に乗っても、驚きの感覚性能である。明確な数値での確証はないが、その変化がもたらすフィーリングの向上は、明らかにバンのそれではない。だから「バン」であるにもかかわらず、運転することの楽しさが確実に増している。チューニングによるこうした「変化」こそが、こうした90年代のアメ車の魅力のひとつなのだろう。
とはいえ、こうした「変化」を求める作業がどこのショップでもできるとは限らない。それは、これだけの「変化」や「楽しさ」の向上があるにもかかわらず、へダース等のアフターパーツが販売されていないことに起因する。
へダースには、ロング、ショート、等長など、いろいろな種類があるのだが、アフターパーツ業界において、どのアメ車も対応されているかと問えば、実際にはそうではない。たとえばダッジバンは、あくまでバンであって、彼の地ではそういったパーツが求められている状況ではない。それは日本で、ハイエースにへダースを求める方がいるのか? という状況を考えればお分かり頂けるだろう。
だがこうした状況下で、レーストラックがへダースチューニングを積極的に推進している理由は、車種を問わずチューニングが可能だからである。
自社でワンオフマフラーなどを製作している実績と経験、さらにはレース等で鍛えた技術力によって、市販されていない車種にも、自力で対応することが可能なのである。ちなみに、考え方としてはアメ車の場合、トラックやバンやSUV、さらにはスポーティカーに使用されるベースエンジンが同じ、もしくは似ているという部分を利用するのである。
非常に極端な例を言うなら、例えばシルバラードのベースグレード用のへダースは販売されていないが、同じ5.3リッターV8を使用するコルベット用のへダースが市販されていれば、そいつをシルバラードに利用することが可能になる。もちろん、そのまま装着することはできないし、当然コルベットの特性に合わせたパーツになっているわけだから、その部分の改良は必要になるが、レーストラックではその改良ができるということである。
だから先日はアストロに、またトレイルブレイザーにもへダースチューンが行われていたのである。
「アメ車の場合、とくに90年代頃までのアメ車のへダースは驚くほどお粗末なものです(笑)。日本車でも有り得ないレベルです。もちろんそれでも乗れるのですが、その部分を変えてやることで、だから変化が出やすいのです。お粗末だからこその利点とでも言えるでしょうか(笑)。
それにこうしたチューニングでは、極端な速さが増すわけではありません。あくまでフィーリング変化。でも、だからこそ現代の交通事情にあったチューニングだとも思えます。いたずらにスピードを上げるチューンをしたところで、試す場所はサーキットくらいしかありませんし。へダースチューンなら、息子さんの幼稚園への送り迎えでさえ、その効果が体感できますから」
ワンオフマフラーは、昨年車検でも認められるようになったサイド出しに変更し、サウンドの質はオーナーさんとの打ち合わせにより決めたという。へダースのエンジンピックアップの変化とそれに伴うエキゾーストノートの変化は、ダッジバンをリアル「マシン」へと昇華させたのである。
12,810円
PERFORMANCE
6DEGREES
17,298円
PERFORMANCE
6DEGREES
18,420円
PERFORMANCE
6DEGREES
2,090円
MAINTENANCE
6DEGREES