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2011 シボレーコルベット Z06 チューニング計画 vol.2 by HPP

HPPが30hpアップから500hpアップに対応するECUチューンについて語る

前回お伝えしたHPPの長池氏が所有するZ06のチューニング経過。今回はECUチューニングについて伺った。

更新日:2019.06.13

文/石山英次 写真/古閑章郎

取材協力/HPP  TEL  [ホームページ]

ECUチューニングは現代車両において非常に効果的な手法

 HPPの長池氏が入手したコルベットC6 Z06は、入手後、各種オイル交換やライトなチューニングによって「速さ」においては入手直後よりは格段に進化している。

 なかでも、すでに行っているECUのチューニングに関しては、「まだ暫定のセッティング」ということで最終バージョンではないのだが、だが、現在使用しているパーツとの組み合わせと、思い描いた加速フィール等を反映したECUセッティングとして、Z06の持てるポテンシャルを引き出すことに成功している。

 しかも、今後パーツを変えたり、もしくはさらなるパワー追求を目指すとすれば、その理想とするセッティングにECUをリセッティング&インストールすることでエンジンの性格をガラリと変えることも可能になる。

 すなわちECUは、正確かつ精度の高い作業を行えば大きな変化が見込めるだけに、実は現代の車両においては非常に効果的なチューニング手法と言えるのである。とはいえ、そこに落とし穴があるのも事実。ということで、ECUに関してお話を伺った。

 長池氏は、これまで数多くの各種チューニング作業経験を基に、確実に速く、そして壊れないチューンを実践してきた。そしてそのデータの蓄積により導かれたひとつの経験則がECUのチューニングであるという。

 アメ車のECU=エンジンコントロールユニットは、もともとオクタン価の低いガソリンでアメリカの道を走るよう設計されている。さらに、気候が極端に違う地域が存在するアメリカの道を走るようにもセッティングされている。

 一方、日本に輸入されたアメ車たち、たとえばチャレンジャー等のハイパフォーマンスカーは、ほぼ十中八九ハイオクガソリンを使用している。となれば、ハイオクガソリンを使用にしたことにより、もとからの耐久性、信頼性用のマージンと合わせ、再セッティングできるだけの「余幅部分」が現れる。

2011年型C6コルベットZ06。各部に手を入れた効果を体感するために、サーキット走行会に参加したという。まだまだ詰める余地はたくさんあるが、現状でのタイムやフィーリングは上々ということだ。

前回紹介した時点からの変化としては、インテークキットの装着が加えられている。現状、オイル交換、インテークキット、熱対策、ECUチューニング等で確実な変化が見て取れる。

先日参加した富士のサーキット走行会において、自身がそれまで所有されていたフルチューンのチャレンジャーよりも9秒速いラップタイムを記録したということである。

 ここでいうECUチューンとは、この余幅部分を使用しセッティングの変更を行うことである=もともと存在しているマージン部分を使うから壊れない。

 ただし、その余幅部分とは、何かの教科書に出ていて誰かが教えてくれるわけではないから、そこが問題となる。いわゆる見込みで作業をすれば、言わずもがなだがトラブルにさらされたり壊れたりする。

 で、その余幅部分を使用したリプログラミングの作業精度が高く、精密なECUチューンを行うのが長池氏である。

 今やチャレンジャー、チャージャー、マスタング、コルベットといったハイパフォーマンスマシンをベースに「速くしたい」というチューニング願望を持ったユーザー達から絶大なる信頼を得ており、確実なパワーアップと壊れない正確性を伴った作業によって、多くの作業待ち車両が連なっている。余談だが、別エントリーで紹介しているダッジチャレンジャーSRTデーモンを840hpから1000hp超にチューニングする企画も進行している。
 
 「チューニングの醍醐味とは、『速く』することですが、でも瞬間的な速さがあればいいというわけではありません。その使用目的に合わせた速さと、壊れないこと。この両立が実践できないとユーザーはどんどん減ってしまいます。

 例えば『弊社が仕上げたチューニング車両のパワーの数値は低い』という方がいらっしゃるかもしれませんが、実際にリスクをかえりみず単純に馬力数を上げたければ、正直、いくらでも上げることは可能です。ですが、そういう車両は必ずトラブルが出たり、壊れます。だって、どんな機械にも耐えられる限度が必ずあるからです。ですから、その機械の上限を見定め、チューン後も壊れず、そして長く普通に乗れる。弊社は常にそこを目指していますから、いたずらに数字のみを追いかけるチューニングはしていないのです」と長池氏。

 ちなみに、現代の車両をチューニングする場合、このECUの変更が非常に重要になるという。これは完全なノーマル状態の車両でも、すでに吸排気系等のチューンが施された車両であっても、はたまたエンジン本体まで手を加えた車両であってもECUのプログラムを、車両のチューンにあわせた仕様に同時に変更してやらなければ、そのクルマが目指しているポテンシャルを引き出すことが困難という。

ECUチューンとは、その車両が本来持っている余幅部分を使用しセッティングの変更を行うことであるから、もともと存在しているマージン部分を使うという理屈のため、そこを上手く利用できれば壊れることはない。

 すなわち、ECUの変更を加えることができなければ、現代の車両をチューニングすることができない、といっても過言ではないのである。

 で、このECUのチューニングは専用ソフトを使用して、プログラミングデータを編集し行うわけだが、時にオーナーさんの居住地の気候をも含めたセッティング変更を行う等のきめ細やかなセッティングも必要であり、HPPの長池氏はそこまでもご自身で対応できるスペシャリストなのである。

 さらに、事前に装着してあるマフラーやへダース等があれば、それを考慮してプログラミングのセッティングを出すことも可能だから、当然それらパーツと相まったECUチューニングとなり効果が倍増する。もちろんエンジンチェックランプが点灯することもない。

 ちなみに、ノーマル車両にECUのチューニングだけをおこない、パワーアップを図ることも可能である。その場合は、たとえばマフラーを交換して仮に30hpアップするとするが、その効果よりもECUチューンの30hpアップの方が圧倒的に速く感じるようになる。というのも、プログラミング変更においてエンジン回転数の全域でのパワーアップをセッティングすることが可能だからである。

使用したデバイスはディアブロスポーツ。パソコン上でECUのチューンデータを作成し、そのデータを、このデバイスを通して車両にインストールする。

 一方、マフラーでの30hpパワーアップは、そのエンジン回転数の一部における瞬間的な(ピークパワー時の)パワーアップの場合が多い。

 だがECUのチューンでは、回転数全域で常に30hpのパワーアップが行えるから、同じ30hpアップでも道路に出た瞬間から違いが明白なのである。

 ということで、このコルベットZ06にも、現状でのECUセッティングの変更が加えられているために「速さ」が増しており、先日参加した富士のサーキット走行会において、自身がそれまで所有されていたフルチューンのチャレンジャーよりも9秒速いラップタイムを記録したのである。

ディアブロスポーツに関しては、次回以降で改めて取材し、活用方法や販売価格についての実情を記事にしたい。

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>> 2011 シボレーコルベット Z06 チューニング計画 vol.1 を見る

>> HPP【ショップinfo】 を見る

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