例えばSUVとかフォーマルセダンとか、ハイパフォーマンスというより総合力で勝負するアメ車に乗っている方ならばあまり感じることもないのだろうが、ハイパフォーマンス系モデルに乗っていれば、「自分の乗っているクルマが何馬力出ているのか」を気にする人は結構いると思う。
特に「超」がつくほどのモデルならなおのことだろう。くわえて中古車になれば「消耗」も気になってくるし。
さて、ここに2020年型ダッジチャレンジャーヘルキャットレッドアイのATモデルに乗るオーナー・Aさんがいる。
Aさんは、1万キロ走行のフルノーマルモデルの中古車を最近購入された。以前は、C7コルベットZ06に乗っていたというから相当なハイパフォーマンスモデル好きと言えるだろう。
ちなみにAさんが乗られていたC7コルベットZ06は、水温対策のみを行っていたフルノーマルモデルといい、6.2リッターV8OHVスーパーチャージャーはカタログスペック値で650hp、最大トルク650lb-ftを発生させていた。
そんなAさんが昨年2020年型のチャレンジャーヘルキャットレッドアイに乗り換えたわけだが、購入後に一つの疑念にかられることになる。
「もしかしてC7コルベットZ06よりも速くない?」と。
ヘルキャットレッドアイに搭載される6.2リッターV8スーパーチャージャーは、797hp、最大トルク707lb-ftを発生させるから、乗れば体感で速く感じるのは当たり前と考えるのが普通だろう。
だが、C7コルベットZ06は650hpだが車重が約1600kg、対してヘルキャットレッドアイは797hpだが2トンを余裕で超える。
パワーウエイトレシオの数値を比較するとZ06は2.4、レッドアイは2.5と若干だがレッドアイのほうが数値が大きく不利な条件。他に公表されている様々なスペックを比較しても、確実にZ06の方が速いとわかる数値となっている。
Aさんもそのことに関して認識されていたのだろう。にもかかわらず、「体感でZ06より絶対に速いはず・・・」
ということで、HPPにてヘルキャットレッドアイのパワーチェックを行った。
HPPには、2000hp以上まで計測可能なダイナモメーターが導入されている。ハブダイノと言われ後輪のハブに直接アダプターを装着してパワー測定を行うタイプで、純粋にタイヤが回る力のみを計測するタイプとなる。
で、まずはエンジンとデフオイルの交換を行う。パワーチェックにおいてエンジンやリアの駆動系に負荷をかけるため、高性能オイルにより各部を守るためである。
使用オイルは、HPP長池氏が絶対的な信頼を置き輸入元にもなっているトライボダイン。エンジンオイルにTRI-EX2 5W-40、デフオイルにTRI-EX 75W-90 LSを使用。
各種オイル交換後にダイノコムのハブダイノにレッドアイをセットし、パワーチェック開始。以下、作業したHPP長池氏のコメントである。
「まず、一番最初の測定で830hp以上の数値が出ました。何度か計測していきますが、計測するごとに油温等が上がってくるので数値はどんどん落ちていくのが普通です。が、今回の結果791hpは最後の計測結果ですから、かなり厳しい数値を出力するこのダイノにおいて、フルノーマル車両でこの計測結果は驚異的といっても過言ではありません。いわゆる「当たりの個体』とも言えるかもしれませんね。
ちなみに、過去の作業で通常のヘルキャットでブーストアップをしていないPCM+αのチューニングを施工した個体を計測した際には650-700hp程度の数値でしたから、今回のレッドアイがいかにすごい数値かお分かり頂けると思います。
もちろん今回の結果には、測定前のオイル交換による効果もあると思います。ちなみに今回のように使用されているエンジンオイル等が不明な場合は、パワーチェックでの万が一のトラブルを懸念し、オイル交換前のパワーチェックは行っておりません」
この結果を見たAさん曰く「体感は間違いではなかったのですね(笑)」
また、実は今回の計測作業と同時にPCM等のチューニングの予約を検討していたそうだが、「少しの間だけノーマル状態で乗ってみようと思う」とも語っていた。
ということで、ノーマルでもバケモノ的パワーのレッドアイ。個人的には、この先のPCMチューニング等でどこまで変貌するのか、にも興味津々である。
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