例えばドイツ車なら「ブランド品エアロを装着する→最新パーツを取り入れる→高価なチューナーパーツが一番偉い」そんな流れが予想できる。つまり、カスタムショップは、プロデュース的な仕事がメインになる。
だがアメ車の場合はプロデュースに留まらず製作まで手がけられる職人が多いから、そういうショップを探せば思い描いたカスタムカーを、それこそプラモデルのように作り上げることが可能である。時にパーツがなければ作ればいいし、職人によっては互換性のあるパーツ情報も豊富だから、「こうしたい」と思うことがそのまま具現化できるのである。そういう意味ではドイツ車なら、同じカスタムカーが隣に並ぶことが多々あるが、アメ車のカスタムカーにはそれがない。自由度が高いから前例のないもがどんどん産まれるのである。
ラムバンにおいては、低くローダウンされた個体がよく見受けられるが、この車両はリフトアップ車。あくまで一般使用を重要視しているので見た目的には派手ではないが、滅多に見ないリフトアップだけに存在自体が個性的である。
ベースとなっているラムバンは、97年型5.2リッターV8エンジンを搭載したショートボディ。アメ車が好きで、サーフィンが好きなオーナーが手に入れたラムバンである。ほぼノーマルで数年過ごした後、気分転換と共にこれまでの使用経験を生かした実用的な衣替えを模索したのである。
カスタムの主要ポイントは2つ。ひとつはリフトアップ。そしてもうひとつがボディカラーである。
リフトアップは、オーナーの使用目的から導き出された実用的なカスタムであり、また既製パーツが存在しないためにオリジナルの度合いが高いという満足感が得られる。前後3インチアップされた足回りには、某車両のキットに独自加工を施し、カヤバのショック(ストローク長め)と組み合わせることで調整し、またLSDを入れることで2WDオフローダーとしての動力性能を確保している。大型タイヤ装着時独特のステアリングのふらつきをステアリング・スタビライザーにて解消し安定度を増すなど、操縦安定性の確保にも抜かりはない。
一方ボディカラーは、リフトアップをしつつも走る楽しさを忘れないという基本路線から提案さたもの。ダッジといえば原色。原色といえば往年のモパーカラーといった流れである。有名どころで言えば、グリーン、イエロー、オレンジ、ピンク、パープルであるが、その中からオーナー自らがオレンジをチョイス。これにより地味なイメージのあるダッジバンに一転して華やかさが加わったのである。
エンジン自体はノーマルというが、マフラーから奏でられる小気味良いV8サウンドとともに見慣れない視界の高さもあいまって、ドライバーはバンを運転しているような感じではまったくない。実際にはバンであるのだが、衣替えを希望したオーナーさんなら余計にその違いに気付き満足感が高いはずである。
実際に試乗してみたが、高くなった車高にもかかわらず不安定さは微塵も感じさせず、乗り心地の悪化を最低限の範囲でとどめているのは見識である。そして慣性重量の増加で不安定になりがちなブレーキに関してもパッドとスリット入りローターで強化を図っているから、心置きなくアクセルが踏める。
見た目はいかにも普通に存在するかのごとくまとまりがよいし、だからといってありがちなラムバンカスタムでもない。そういった意味でもこのラムバンは、カスタムの自由度を広げる工夫満載が満載であり、カスタムショップの意地みたいなものが充満した1台なのである。
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