2台を交えての試乗が遂に始まった。ここでの焦点は単純な「速さ」ではなく、SRT-10が持つ「刺激性」の高さである。相手がフェラーリだけにハードルはかなり高い。もちろん物理的な速さなら、スポーツカー対トラックということでハナから勝ち目のないことは十分に分かっている。だが2台並んで撮影した時のSRT-10の大迫力なデザインとバイパーV10エンジンを搭載しているということで、その刺激性においてはフェラーリを超えるのでは? という事前の期待感がかなり高かった。
試乗は主に高速道路を主体に撮影中心の走行だった。だから最高速だとか、ハンドリングとかの差は、正直分からない。だが、一般道での感触や高速
入り口からの加速感などからは、両者の個性がはっ
きりと体感できたのだ。
さすがにフェラーリV12は初体験だったが、その音色の官能性は、誰もが虜になる理由が分かるほど心地良かった。まさにこのためだけに2000万円出す人の気持ちが一瞬で理解できたのだ。「クォ〜ン」と放たれるV12エンジンの息の長い加速感。まったく濁りのないエンジンのソプラノ音。「これがフェラーリか〜」と、正直マジで感動した(あくまでも初体験ということで)。だが、その感動も一瞬で終わり、その後は気を遣う運転とスポーツカーならではの着座の低さ&シートの苦痛さに、ちょっぴり辟易した部分もあったのだが…。
一方でV10エンジン。体感だがフェラーリと同等の加速を見せつけた、そのパワー感が非常にたくましい。単純比較で車重600キロ近い差があるにもかかわらず、出だしからの体感加速はフェラーリを確実に上回っていたのだ。そしてその際に放たれるV10サウンドの荒々しさ。決して上品とはいえず、どちらかと言えば野蛮系の轟音を放つエンジンは、アメリカンV8とも異なる一種独特の音色である。官能性という言葉では表現できないが、だがそこには確実に個性があった。そしてそのエンジンは、アメリカン・スーパーカーのバイパーのモノ! まさしくアメリカならではのモンスターである。
両者を試乗してみて、この2台に共通する項目はひとつもないことがわかった。そして恐らくフェラーリを好む人がSRT-10に興味を持つことはないだろうし、SRT-10に興味を持つ方はフェラーリを気にしないのでは? という結論にも達した。共にスーパーだが、この2台の方向性はまったく違うのだ。例えて言うなら、20万円近いイタリア製革靴と数万円で買えるアメリカ製ワークブーツの差のように(ダッジが安ものという意味ではない)。
ただ、たとえばフェラーリ数十台集まっている輪の中にSRT-10が混じっていたとしても対等に目立つだけのオーラや迫力は十分放っているし、エンジンひとつとってもその刺激性の高さはスーパーカー並みではある。だからその個性においては、フェラーリを超えずとも、同等の世界観で語れる存在である! といえるだろう。
ちなみに余談だが、SRT-10は本物のバイパーが買えない代わりに買うことだって多いに勧められる。走行性能や加速性能は本物には適わないかもしれないが、トラックでありながらもバイパーを十分感じられるだけに、趣味車として1台持つことが許されるなら、絶好の候補としてみなさんにオススメしたいと本気で思う。
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